次のようなちょっとかたっ苦しい「趣旨書」を提出してはじめてみました。
「マルクスの著作は、二〇世紀の世界の根本を解き明かしたものとして広く支持され読み 継がれてきた。しかし、ソ連型社会主義が崩壊し、資本主義も大きく変貌しつつある今日 の世界を理解するためには、これまでマルクス主義の名で語られてきたさまざまな常識を 根本から問いなおしてゆく必要がある。この講座では、マルクスの学説の基礎の基礎に立 ちかえり、今日の視点から『資本論』を読み返すことで、資本主義とは何か、新たな原理 像をあらためて考えなおしてゆく。旧来の通説はすべてカッコに入れ、限られた回数では あるが、マルクス自身が自ら刊行することのできた第一巻を対象にして、ポイントとなる テキストを直接精読することにする。大学の講義ではなかなか話せなかった『資本論』に おける「イデオロギー」論などにも自由に論及してみたい。難解な用語に難解な「解説」 を加えるのではなく、だれでもわかるように批判的に読んでゆくことにつとめたい。」
初回5月21日は、『資本論』の初版への序言など読みながら、「不必要な予備知識」をあれこれはなしてみました。
- 第1巻の完結性
- 訳書について(岡崎次郎『マルクスに凭れて六十年』 にふれ、『資本論』の紹介を書いたとき、なぜ、写真を岩波文庫版ではなく国民文庫版に差し替えてもらったのか、なんていうどうでもよい話もしました….)
- 三層の草稿群 (経済学批判要綱+経済学批判-23冊ノート(剰余価値学説史)+現行資本論草稿)
- Werke とMEGA
- 「序言」における「未来の姿」論について
「どう読むか」とUPのものにはふれられず…
日程
Ⅰ 5月21日 ガイダンス序論
第1 章商品
Ⅱ 6月18日 第1節 商品の二要因
Ⅲ 7月16日 第2節 商品に表される労働の二重性
Ⅳ 9月17日 第3節 価値形態または交換価値
Ⅴ 10月15日 第3節 価値形態または交換価値(つづき)
Ⅵ 11月19日 第4節 商品の物神的性格とその秘密
Ⅶ 12月17日 第2章 交換過程
第3章貨幣または商品流通
Ⅷ 1月21日 第1節 価値の尺度
Ⅸ 2月18日 第2節 流通手段
Ⅹ 3月18日 第3節 貨幣