『資本論』第1巻を読む III 第8回

第13章 機械と大工業 その4

今回は第4節から第6節までを読んでみたいと思いますが、ここでは少し先に進んで、第7節から後の部分をまとめておきます。

概要

第7節 機械経営の発展に伴う労働者の反発と吸収。綿業恐慌

「反・窮乏化的」発展

最初の3つのパラグラフですが、基本は「就業労働者数の相対的減少はその絶対的増加と両立する」という命題ではないかと思います。第1パラグラフの含意はちょっとわかりませんが。第2パラグラフは絶対的減少もないわけではないという留保でしょう。本体は第3パラグラフと読みました。

「純事実的関係」

第4パラグラフのポイント「この経営様式(工場制度をベースとした機械経営)は、ある弾力性を、すなわち突発的で飛躍的な拡大能力を獲得する」という点です。

少し敷衍すると、その内部で機械も含めて生産手段を大量生産でき、労働市場が市場として機能するようになると(つまり単純な労働が自由にいくらでも買える市場が成立すると、ということですが、この側面は余り明示的ではありませんが、S.661-2に類似な記述があり、また3つ先のパラグラフの最後もそうですが)、特定の産業が急発展し、それが原料と販売市場の制限にぶつかり、外部を急激に解体再編する主導力をもつ、という資本主義観です。蓄積が徐々に進展していって、徐々に労働力商品の量的制限にぶつかり、最後に突発的な恐慌に至る、というのと違う資本主義的発展のすがたです。バブルというのも違うのですが、産業の突発的発展です。

このパラグラフの終わりの部分で、中心部分の工業の発展が、外部の農業を変革してゆく国際的分業に着目しています。

註235の前のパラグラフで「工場制度の巨大な飛躍的な拡張可能性と世界市場への工場制度の依存性とは、必然的に、熱病的な生産とそれに続く市場の過充をつくりだすが、この市場の収縮とともに麻痺が現れる。」と述べられています。

これがこの後にでてくる「景気」の理論でしょう。産業循環といういいますが、おそらく循環性の現象ではなく、突発的な発展とその急縮が間歇的に生じるという話で、宇野弘蔵にいわせれば、資本主義経済に内在的なものとして、法則性が突き止められていない説明ということになるのではないかと思います。

イギリス綿工業の歴史

概要は、最後のパラグラフにまとめられています。

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください