• 時間: 2020年6月4日 07:00 PM 大阪、札幌、東京
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第2篇 第1章 労働

基本問題

  • 労働に関する単純労働一元論は、貨幣における金(属)貨幣一元論とよく似ている。両者はこれまで経済原論を、『資本論』が、そして純粋資本主義論が課した狭い枠に押し込めてきた。
  • 信用論の研究の深化は、金属貨幣一元論の突破におおいに貢献した。ただ、その成果を貨幣論に還元するには、方法論の見なおしが必須であったが。
  • これに比べて単純労働一元論から脱却するルートはいまだ未整備のままである。
  • 『資本論』の、そしてこれまでの経済原論の「労働過程論」は
  1. 「生産過程論」から切り離され、
  2. 「相対的剰余価値の生産」の手段として、剰余価値論の臣下に成り下がった「協業」「分業」「機械と大工業」と絶縁状態におかれてきた。
  • あらゆる社会一般に通じる労働は、私的な利得追求という強力な推論エンジンをもつ商品・貨幣・資本のような演繹的構成に向かない」。これが通説だろう。
  • しかしこれはドグマ。「労働」も、「市場」に匹敵する内部構造をもち、演繹的に構成できるもう一つの対象領域なのである。
  • 単純労働一元論からのひとつの脱却ルートは、価値論における労働価値説のほうを、客観価値説の枠組みのなかに正しく位置づることである。
  • 第二のルートは、商品の分析から抽出された価値概念のような、演繹的推論にたえうる基本概念をつくりだすことである。たとえば「目的意識的」という用語に演繹力を注入するというように...
  • これにより原論では脇役な「労働過程論」は、「価値論」に肩を並べる「労働(構造)論」になる。
    • 協業、分業は、「労働過程論」から導出される労働組織論として、労働構造論に内包される。
    • 「機械」の問題も、「労働過程論」に差し戻され、「情報通信技術」とともに、理論に統合される。
    • 「賃金制度論」も、搾取のための(姑息な)方策という端役的ではなく、「制度」を原理的に考察するあらたな実験場となる。
    • さらに、原論のなかに、アルようでナイ労働市場の理論を確立することにつながる。労働市場論は労働(構造)論と相補的な関係にあるが。
  • 労働(構造)論の起動キーが「目的意識的」だとすると、その拡張キーは「熟練(スキル)」の概念である。
  • この拡張キーを奪われために、「目的意識的」という起動キーを何度叩いても、単純労働という答しかかえってこなかったのだ。従来の価値論のオマケとしての単純・複雑労働論から、もうそろそろ卒業するとき。
    問題 2-1
    なんでそんな大改造をする必要があるの?
    2-1 の回答を 
      +  
    3/3 ...1点以上  100%

      分
▶解答
  • だいたい以上が私の基本スタンス。これをふまえて『これからの経済原論』第2篇第1章「労働論」について、検討してみたい。

第1節 労働過程

「自然過程」と「労働過程」の区別

  • 『これからの経済原論』の立場は、図1.2.1 に集約される。これをみると
    1. 「自然過程」と「労働過程」の二重性はよくわかるが
    2. 二つの過程を媒介する「身体」の位置が曖昧。
問題 2-2
図1.2.1 のように「意識⇄労働成果」として、←を「[1]の段階」、→を「[2]の段階」として直結したのはなぜか?
2-2 の回答を 
  +  
4/4 ...1点以上  100%

  分
▶解答

労働の基本構造

  • 第一のネライは、「熟練」概念の分析。
    • 熟練は宙に浮いているのではない。
      問題 2-3
      熟練の内部構造を分析するうえで必要だと考える諸要因(契機)をあげよ。
      2-3 の回答を 
        +  
      4/4 ...1点以上  100%

        分
      ▶解答
    • 熟練の第一の契機は(「意識」「身体」)というユニット化。これで「労働力」=「労働能力」となる。
    • 第二の契機は「労働力」「労働手段」の接合。道具を自在に扱えるようになること。
    • とくに、意識←労働成果という「[1]の段階」も、基本的に外界への知覚には身体を含むモノの媒介レイアが存在する点は明示すべき。
    • 熟練は、このような外界への知覚が、身体・道具を必要とすることにも大きく依存する。
    • 全般に、労働論では意識→労働成果という方向に焦点があてられ、熟練も「つくる」過程のほうに力点がおかれている。
    • 知覚とその結果の操作から、外界を正確に認識することが、熟練の基底をなす。

  • 第二のネライは「技術」の原理的規定。
    • (「労働手段」「労働対象」))の自立性。
    • 主体の意識から独立に、自然科学の法則的世界が存在する。ここで機械の自動性の根本を示しておく。
      問題 2-4
      -『これからの経済原論』では、''機械''が第3節「資本のもとでの労働過程」で定義されている。機械は「資本のもとで」はじめて論じるべき概念か?
      2-4 の回答を 
        +  
      0/4 ...1点以上  0%

        分

  • 第三のネライの目的は、「協業」概念の基礎づけ。
    問題 2-5
    「意志の連結」に「技術」はあるか?
    2-5 の回答を 
      +  
    0/4 ...1点以上  0%

      分
    ▶解答

  • 第四のネライは、「分業」概念の基礎づけ。
    • これは(「労働手段」「労働対象」) の自立性を明確にすることで可能になる。これも後述。

オブジェクトとしての労働

  • このような労働の構造論の外延には、さらに「欲望の目的化」という労働の契機がある。最近ではこれも含めて「オブジェクトとしての労働」のような拡張を考えている。
  • たとえば、労働の基本概念に、相手の漠然とした欲望をハッキリした目的に定式化する活動(これもコミュニケーション)を取りこんむことも必要(か?)

第2節 協業と分業

協業

  • 「労働力の結合」から「協業」に入る展開は妥当。
  • 「協業」で監督労働にふれなかったのは、理由は明示的ではないが、とにかくメリット。監督労働の必要を説くことで、結果的に労働主体が相互に結びつく能力を蔑ろにしてきた従来の協業論の限界を克服している。
    問題 2-6
    「労働の結合」の基本的契機、第一原理はなにか? 一つに絞っていえば。
    2-6 の回答を 
      +  
    0/4 ...1点以上  0%

      分
▶解答

分業

問題 2-7
単純協業という概念が成りたつなら、単純分業という概念も成りたつ。真か偽か、その理由をのべよ。
2-7 の回答を 
  +  
0/3 ...1点以上  0%

  分
▶解答
問題 2-8
「自然過程」の切断・連結の契機となるものはなにか?
2-8 の回答を 
  +  
0/3 ...1点以上  0%

  分
▶解答
問題 2-9
「分業」の最後に次の文がある。「なぜ分業の導入は単位時間あたりの作業量を増大させるのか?ここではこれ以上深入りしないが、別途分析されてよい課題である。」「単位時間あたりの作業量」とはなにか、どのようにしてはかるのか、述べよ。
2-9 の回答を 
  +  
0/4 ...1点以上  0%

  分
▶解答

資本のもとでの労働過程

問題 2-10
第3節「資本のもとで労働過程」をみると、資本家個人の労働からはじまって、その拡張として「労働力の商品化」が説かれている。これにはどのようなネライがあるのか?
2-10 の回答を 
  +  
0/2 ...1点以上  0%

  分
▶解答
問題 2-11
「習得が易しいほうを''単純労働''とよび、難しいほうを''複雑労働''とよぶ」という定義は妥当か?
2-11 の回答を 
  +  
0/3 ...1点以上  0%

  分
▶解答

賃金制度

  • 基本は労働の成果に対する「評価」の問題でしょう。
  • この観点から対を構成するのは、「先決め・時間賃金型」と「後払い・出来高型」(『経済原論 基礎と演習』139)です。
    問題 2-12
    「後払い・出来高型」に理論的意義はなんらかの認めるか?
    2-12 の回答を 
      +  
    0/1 ...1点以上  0%

      分
▶解答

ということで、細かいことはまだまだあるのですが、ここではじめの「基本スタンス」に戻って、みなさんの労働論についての基本スタンスを聞かせてください。


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13