・ 18日も議論するには材料不足の報告となってしまいましたが、いろいろなご指摘ありがとうございました。その際話題になったことを手元の資料で調べてみました。

・ 『七つの資本主義』は、アメリカ、イギリス、スウェーデン、フランス、日本、オランダおよびドイツという経済的に成功した七カ国を、以下の七つの評価プロセスにあてはめて比較しています。評価基準は? 普遍主義vs個別主義 ? 分解vs総合 ? 個人主義vs共同社会主義 ? 自己基準vs外部基準 ? 逐次的時間観vs同期的時間観 ? 獲得地位vs既得地位 ? タテ社会vsヨコ社会 ですが、フランスは「危機と矛盾−フランスという名の例外」というタイトルで第13章で扱われています。おおざっぱに言えば、フランスは七つの座標体系の大部分でアメリカ、カナダ、イギリスの反対側に位置する、と分類されています。この本は周知のように山口先生が約3年前に「『七つの資本主義』を読む」という研究ノートを国士館の政経論叢に掲載なさいましたが、もう一度訳書を改めて読み直してみます。   1992年のミシェル・アルベール著『資本主義対資本主義』は、アングロサクソン型とライン型に分類し、ここでもフランスはそのどちらにも属さないと、位置づけられています。どちらにも属さないというのは、中間ということではなくて、仏独自のパターンがある、とも読めます。

・ 19世紀後半のフランスの輸出品として金額的に最大の品目は何か?というご質問があって即答できなかったのですが、ミッチェルの歴史統計によれば、貿易総額は示されているものの、品目毎の数字が出ていません。F.キャロンの『フランス現代経済史』という訳本に、『1860年の工業製品輸出の三つの地位は、絹織物(28.7%)、毛織物(17.4%)、パリ産品(15%)によって占められる』、という記述がありました。この点、数字的な裏づけを取りたいと思います。

・  19世紀のフランス鉄鋼企業の資金調達はどうなっていたかという点ですが、大森弘喜『フランス鉄鋼業史』1996 によれば、20世紀にはいっても基本的には自己金融による拡大再生産であった、ということです。

・  次回報告の機会があれば、実証ですので数値的データを裏づけに使えるようにしておきます。また今までは英独の中間に仏を位置づけようとしていましたが、これでは面白くないというご意見もあり、確かにこれではフランスを積極的に評価することにならないので、少し捉え方を軌道修正してみます。                                  以上  


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