問題関心

重商主義段階をどのように捉えるかは、現代のグローバリズムを段階論的な観点から捉え返すときに避けて通れない問題となる。従来の資本主義像が根本的に狭すぎたのではないか。宇野弘蔵のいう意味での重商主義が狭く、これに対応して自由主義段階、帝国主義段階もサブステージのようにみえる。この三段階を被覆するようなもう一つ大枠の資本主義の枠組を考える必要があるのではないかと思う。その意味で、宇野の重商主義段階論に内在低なかたちで疑問を提示した櫻井論文を検討し、私の仮説を固める手がかりにしたい。

論文の概要

論点

12 重商主義段階について

櫻井論文は、宇野の重商主義段階に関して、産業資本との関連を切断して、宇野によって重商主義段階の特徴とされた諸要因が連続的に自由主義段階につながるわけではない、という否定形の結論で終わっている。この結論には基本的に賛成だが、それは消極的結論であり、積極的にでは資本主義の発展過程をどう捉えるのかのかは示されていない。

自由主義段階という規定も明示的に規定されていないし、産業資本主義段階ともいわれており、あとの段階の規定を見なおして、この側面から重商主義段階をふり返ってみると、これほど決定的な断絶説になるかどうか、疑問となる。櫻井論文では、自由主義段階が逆に、原論的な機械制大工業の理念に昇華されてしまっているように思う。

13 段階規定と過渡期について

14 「支配的」という規定について


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