訪問者:氏名不詳
コンピュータと労働 2
第8講のまとめ †
- 20世紀になるとさまざまな素材の大量生産が普及
- しかし大量消費には、なお
- 手による組立や
- 機械の操縦による加工や機械の運転による運搬
が必要だった。
- 20世紀 後半になると、コンピュータが登場。
- コンピュータは複雑な条件分岐を高速におこなう能力をもつ。ただの計算機ではなくなる。論理マシン。
- 人間による「判断」の一部を代わりにおこなう可能性。あくまで潜在的な可能性だが。
- (同じ動作の繰り返しを基本とする「19世紀型の機械」+「操縦・運転型労働」)=(20世紀型生産システム)を変える潜在力をもっていた。
- しかし、コンピュータが人間労働(その中心は人力エネルギーから判断能力へ)に変わる過程は、20世紀後半を通じて、のろのろと進んだ(漸進的だった)。
今日の課題 †
- なぜ、漸進的にしか進まなかったのか?考えてみます。
- 2010年代にはいり、現在、コンピュータによる人間労働の影響は、段階的な画期にさしかかっている。そのきっかけ(契機)はなにか?
コンピュータの影響 †
原理 †
▶解答
▼解答
- コンピュータの画期的な意味は「判断」ができる点。
- これによってコンピュータは計算機をこえた。
- 電卓とコンピュータのこの違いは、物理的には些細にみえるが、労働にとっては決定的。
- 思い切り抽象化していえば「もし〜ならば〜、でなければ〜」 if ..... then ....else .... という「分岐」を複雑に何層にも組あせて処理することが、20世紀型の労働の中心的な役割。
- 「判断」を人間の外部の装置に移せるなら、それは20世紀における労働の中心部分に、大きなインパクトを与える。
漸進的導入 †
- しかし、それはあくまで潜在的な可能性。
- 実際にコンピュータが多くの労働に直接影響を与える過程は、少しずつゆっくりと進んだ。
- 溶鉱炉の温度管理にも、化学コンビナートの反応制御にも、かなり早い段階からコンピュータが導入されてきた。「プロセス工業」
- 「組立加工型工業」における早い例としてたとえばNC旋盤
- 「マイコンという、見えないコンピュータの浸透。
- しかし、「組立」においても「操縦」においても、コンピュータによる制御は理論的には可能でも、なかなか普及しなかった。
転換点 †
- 2010年代、とくに後半に入ると、「AI化」というバズワードが広く流布。
- たしかに、大きな転換点にさしかかっていることは事実。
- 製造業にかぎってみても、大きな転換*1
- ただし、「人工知能」AIなるものが、ただ一人の主役かどうかは疑わしい。
- 「AI化」は「AI」によらざる現象も含む大きな構造転換にはられたラベル。
- 大半は「コンピュータによる情報処理」というべきもの。「AI化」という言葉は、中味を正確に表してはいない。
- 2010年代に多用されるようになった「AI化」の実態は、コンピュータの登場以来、少しずつ漸進している長期のトレンドにおける一つの飛躍、屈折点。
問題 9-1
「部品組立」「操作操縦」「運転」など、20世紀型の労働の構造を転換させた要因はなにか、思考力とか、高速化、とかなるべく一般的な用語でキーワードをつくり、その意味を解説せよ。
9-1 の回答を +
77/77 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 知覚=センサーの発達
- 手先の器用さ=アクチュエーターの発達
- データ量の激増=2から派生+インターネットによる共用
- パターン認識のソフトウェア技術=3から派生。
▶解説
▼解説
- 基本をなすのは「知覚」と「器用な動作」。
- いずれも「身体」に埋め込まれている基礎機能。
- コンピュータに対するデータの入力は人間の「知覚」にたより、
- コンピュータからの出力は、人間が読みとり解釈して、動作させてきた。
- 入出力における革新が、データの激増をうみ、人間の知覚に依存してきたパターン認識をコンピュータにさせることができるようになった。
- パターン認識を中心に、状況を判断し、対象をコントロールしてきた、操縦型、運転型労働が、広範囲にコンピュータに転換されようとしている。
▶補足
▼補足
- ただ、労働不要化論はこの一面を虫眼鏡で拡大したような議論。
- コンピュータのパターン認識は、人間の認識とは本質的に異質なアプローチによるもの。
問題 9-2
人間の知覚の基本は、パターン認識ではない。たくさん三角形のかたちをみせないと、「三角形なるもの」がわからないということはない。
三角形と四角形は、一対みただけで区別できるはず。どうしてだろうか?
9-2 の回答を +
87/93 ...1点以上 94%
▶解答
▼解答
- 生まれながらに空間のイメージをもっているから。(空間概念の先天性、悟性の超越性、ただしこんなむずかしい言葉は棄却)
- 「直観」がはたらくから。(ただし直観の説明はむずかしい)
▶解説
▼解説