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: 貨幣価値の安定性について : 商品貨幣説と貨幣数量説 1 : 商品貨幣説と貨幣数量説 1

商品貨幣について

商品貨幣という用語は、ときには、貴金属の欠乏のため、やむなくタバコやビールなどの物財が代用された場合に、金属貨幣と区別する目的で用いられることもある。商品貨幣と商品貨幣説とでは、商品貨幣の指示する内容が異なる。商品貨幣に関して、初期合衆国の貨幣史について、いくつか気になる論点が生じてきたので、議論してみたい。

浅羽[1991]第4章「マサチューセッツ植民地における代用貨幣」によると、植民地初期から17世紀末18世紀まで存続、トウモロコシが法貨規定をうけていた。さらに、バージニア植民地では「タバコ・ノート」が貨幣となったという。「政府はタバコ保蔵のための倉庫を各地に設立し、あわせて任命された検査官がそこに搬入されるタバコを調査・吟味して、良質と認められたタバコに対してのみ、預り証たるタバコノートをタバコ保蔵者に対して渡した。」(141頁)「タバコ準備通貨」である。タバコ通過は1600年代初頭から流通していたが、タバコというマテリアルには通貨としての不適合があり、「安定した譲渡可能なタバコ・ノート」(155頁)の発行を見るに至った。1713年、金属貨幣の不足とタバコ貨幣の基本的な欠陥とを背景に、より安定した植民地内通貨の発行を企図」していた。(160頁)以上の歴史的現象に理論的な反省をいくつか加えてみよう。



obata 平成18年10月18日