#author("2021-12-22T15:29:17+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2021年度/冬学期/第6講]]&color(#447CFF){第 &size(32){7}; 講}; [[▷ 次回>2021年度/冬学期/第8講]]
//#qanda_mathjax
#author("2021-12-25T13:52:04+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2021年度/冬学期/第2講]]&color(#447CFF){第 &size(32){3}; 講}; [[▷ 次回>2021年度/冬学期/第4講]]
#katex
#qanda_setstid(2021-11-25 16:10:00, 90)
#qanda_setstid(2021-10-28 16:10:00, 90)
#qanda_who
-------
✔RECONチェック&br;
✅接続チェック

#qanda_set_qst(7,20,0){{
#qanda_set_qst(3,20,0){{
<p>&#x2714;接続状態をおしえてください。</p>

<p>&#x2714;なお、前回学生証番号を登録した人で、今回「氏名不詳」になってしまった人は「再登録」と書いてください。</p>
}}
#qanda(7,20)
#qanda(3,20)

11月11日は[[第4講のページのここ>2021年度/冬学期/第4講#lec7starthere]]に戻ってはじめます。

-----
CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;生産に必要な労働時間 &nbsp;};};
CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;社会的生産&nbsp;};};
-----
**今回のネライ [#t546d224]
+生産期間と労働時間の関係を整理する。
+生産物1単位を生産するのに必要な労働時間  $t$の計算方法について学ぶ。
+インターネットとブラウザの javascript をつかって、計算を手っ取り早く処理する方法になれる。今回は Geogebra + アルファ を試してみる。
**今回のネライ [#w9f16f16]
+複数の生産過程が連鎖して再生産がおこなわれる現象にアプローチする方法を学ぶ。
+複数の関係を「抽象化」する方法を考える(「抽象化」は単純な単純化ではない)。
+依存関係を分析する手法を考える。
+依存関係のもつ経済学的な意味を理解する(これが大事です)。

**問題の前提と注意 [#ia00bee3]
-現実の経済では、無数の生産物が存在し、無数の生産方法(技術)が存在する。これを二種類の生産物とそれぞれに一つの技術が存在する「社会的再生産」に抽象化して考える。
-たとえば日本経済全体を一つの再生産過程と考えると、生産物の数は数え方にもよるが、何億、何兆にもなる。これをたった二つに抽象化しているのだ。とても実証的な検証に値するようなモデルではない。あくまで、本質を理解するために極限まで単純化した一面であることに注意!直感ではなく直観する力、抽象力をつけよう。
**社会的生産の概念 [#q603b513]
***「社会的」の意味 [#y351781e]
#qanda_set_qst(3,1,0){{
<p>さまざまな種類の生産物があり、それぞれを生産するたくさんの生産過程が存在する。</p>
<p>しかし、それだけではない。それぞれの生産過程の(A)が他の生産過程の(B)となっている。</p>
<p>このため、どの生産過程も単独では再生産をおこなうことはできない。(C)を維持する生産過程の集合 set が必要である。この依存関係を「社会的」とよび、この(C)を社会的(C)とよぶ。</p>
<h4>問題</h4>
<p>(A)(B)(C)に、
再生産、
自然環境、
商品生産物、
純生産物、
粗生産物、
生活物資、
生産手段、
労働力、
から適当な一語をいれよ。</p>
}}
#qanda(3,1)
#qanda_solution(3,1){{
  <h4>解答</h4>
  <p>(A)粗生産物(B)生産手段(C)再生産</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>社会的再生産の「社会的」という修飾句が指す「依存」の概念をシッカリ理解しよう。</p>
}}
#qanda_scorechart(3,1)

**時間と期間 [#qe0f6381]
-生産過程はモノとモノの反応過程であり、あるインプットに対して一定の期間に必ずきまったアウトプットがもたらされる。
-ただし、この原因結果の間の客観性、再現性の実現には、一定期間(生産期間)に、この過程を監視し制御する(身体を通じて)人間主体の労働が、必要となる。
-しかし、監視制御によって実現される生産過程に「技術」があるため、この労働時間も客観性をもつ。
-たとえば、部品を全部そろえても、パソコンにはならない。組み立てなくっちゃ。ただ、組み立てるのに必要な時間は、基本的にだれがやっても一定になる傾向。$生産過程の技術 \to 生産のための労働時間の客観性$
***抽象化 [#kf41efb9]
-現実の経済における再生産は非常に規模が大きく、産業間の関連も多岐で複雑になる。
-ちなみに[[スマホのBOM(部品コスト表)>http://touchlab.jp/2012/09/iphone-5-16gb13200/]]をみてみよう。この部品をつくる生産過程、そのまた部品を... と際限なく広がる。

#qanda_set_qst(7,1,0){{
<p>生産期間と労働時間は一致する。</p>
<p>ある生産物を生産するのに必要な期間が10時間ならば、この生産物を生産するのに必要な労働時間は10時間である。</p>
<p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
#qanda_set_qst(3,2,0){{
<p>一国の経済などを考えると、関連する生産過程が膨大な数になるため、生産過程の間の関係はたいへん複雑になる。しかし、極限まで抽象化すればその基本は三つになる。この三つは何か。</p>
}}
#qanda(7,1)
#qanda_solution(7,1){{
#qanda(3,2)
#qanda_solution(3,2){{
  <h4>解答</h4>
  <p>偽。たとえばクツを1足を生産するのに2時間の労働が必要だとしても、一人が右足、もう一人が左足を同時につくれば、クツ一足を生産するのに必要な生産期間は1時間となる。</p>
  <h4>別解</h4>
  <p>たとえば酒造りの場合、準備段階や最終段階で多くの労働がおこなわれるが、発酵過程では労働はおこなわれない。しかし、この発酵期間も生産期間には含まれる。</p>
  <h4>解説</<h4></h4>>
  <p>期間と時間は別の概念であることを理解しよう。</p>
  <p4>After</p4>
  <p>ポイントは二つ</p>
  <ol>
    <li>労働がおこなわれなくても生産期間である</li>
    <li>1時間という期間にn人が労働すれば、労働時間はn時間になる</li>
    <li>双方向依存型:生産過程Aは、直接間接に生産過程Bを必要とし、生産過程Bは直接間接に生産過程Aを必要とする。</li>
    <li>一方向的依存型:生産過程Aは、直接間接に生産過程Bを必要とし、生産過程Bは直接間接に生産過程Aを必要とする。</li>
    <li>相互独立型</li>
  </ol>
  <p>一つで1点、二つで3点。</p>  
  <h4>解説</h4>
  <p>複雑な関係もその本質を失わないように数を減らすことで、基本的な性格を捉えることができる。</p>
  <p>これを「抽象化」という。あるいは「2を聴いてNを知る」とも。</p>
  <p>実地にやってみよう。</p>
}}

**労働の量 [#m1be819d]
-労働は、人間の目的意識的な活動を指す広い概念である。生産過程をコントロールする労働は、その一つの側面(相)である。
-ここでは、どの生産過程でも互換的な労働を考える。生産過程を観察し、目的から外れないように身体で労働手段を操作する基本活動に個人差はないものと仮定する。
-したがってさなざまな種類の労働が存在するが、労働の量は「時間」を単位にはかることができる。そして、加算することができる。
-革を裁断するのに20分、縫い合わせるのに40分かかれば、クツをつくるのに直接必要な労働時間は $20分+40分=60分$ と「考える」。
-でもよくみれば「縫い合わせる」といっても、1秒たりとも、同じ動作はない、ということもできる。でも、だから「縫い合わせるのに40分かかる」とまとめる(加算する)ことはできない、とは「考えない」。これは、ある意味、約束事。
-ただし、特定の生産手段を扱うには一定のトレーニングが必要である。このスキルの存在と「型づけ」という処理方式については、このあと労働を考察するときに、労働の他の「相」の労働と合わせて論じる。

**簡単な数値例 [#fbb322ce]
-つぎのような小麦と鉄の生産過程を仮定する。
$$\begin{cases}
(8,12) + 6 &\to& 36\\
(16,4) +12 &\to& 24
\end{cases}$$
-ここで1行目、2行目はそれぞれ
--「小麦8kg,鉄12kgを原料に、6時間労働することで、小麦36kgができる」
--「小麦16kg,鉄4kgを原料に、12時間労働することで、鉄24kgができる」
#divregion(2を聴いてNを知る, lec=3 , qnum=2 ,admin)
#qanda_raw{{
    <p style="margin-left:6em;font-size:120%;">生産物の数を<span class='num' id="ten">10</span>,から
    <span class='num' id="nine">9</span>,
    <span class='num' id="eight">8</span>,
    <span class='num' id="seven">7</span>,
    <span class='num' id="six">6</span>,
    <span class='num' id="five">5</span>,
    <span class='num' id="four">4</span>,
    <span class='num' id="three">3</span>,
    <span class='num' id="two">2</span>
    へと抽象化してゆく。
  </p>
    <div id="social_reproduction"></div>
    <script src="https://unpkg.com/konva@7.0.7/konva.min.js"></script>
    <script src="./js/konva/coordinate.js"></script>
    <script src="./js/konva/2020/social-reproduction.js"></script>
}}
#enddivregion
#divregion(二人の関係でいえば,admin,lec=3,qnum=2)
赤とオレンジの二つに「抽象化」すれば三タイプは次のようになる。
>
+双方向依存型:「(赤)+オレンジ → 赤」かつ「赤+(オレンジ) → オレンジ」
+一方向依存型:「赤+オレンジ → 赤」かつ「オレンジ → オレンジ」または...
+相互独立型:「赤 → 赤」かつ「オレンジ → オレンジ」
<
&br;
<
と読む。この + は数学の加算記号ではない。うえのような文章を短くするための符号。
-こういうのは人間関係でもありそう。
+両想い
+片思い
+無関心
-数が増えると、間接的な依存関係がふえ複雑になるが。三角関係?
#enddivregion

**生産に''直接・間接に''必要な労働量 [#vb6dbad0]
-小麦36kgの生産には、''直接の''労働6時間のほかに、その原料 (小麦,鉄) = (8,12) kg を生産するのに必要な''間接の''労働が必要となる。
-小麦1kgを生産するのに、''直接・間接に''必要な労働時間は?
--$6_{ 時間} \div 36_{ kg} = 1/6_{ 時間/kg} $ではない。
--もっとかかっているはず。原料を生産するのに必要な労働時間(間接の)もカウントしなければ...
#qanda_set_qst(3,21,0){{
<p>「抽象化」の意味はOKですか。</p>
<p>疑問があればどうぞ....</p>
}}
#qanda(3,21)

#qanda_set_qst(7,2,0){{
  $$\begin{cases}
  (8,12) + 6 &\to& 36\\
  (16,4) +12 &\to& 24
  \end{cases}$$
  <p>小麦1kgを生産するのに、<strong>直接・間接に</strong>必要な労働時間を$t_1$、鉄1kgのそれを$ t_2 $とする。$ t_1,t_2 $を求める式を立て,
  その値を求めよ。</p>
**依存関係の分析 [#lbfff596]
#qanda_set_qst(3,3,0){{
  <p>つぎのような投入産出の関係がある。</p>
  <p>Oはゼロの意味。たとえば1行目は「AとCでAが生産される」と読む。</p>
  <p>一方的依存関係(従属関係)にある生産物を選べ。どのようにそれを見つけたのか、見つけ方、考え方を書け。</p>
$$
\begin{array}{ccc}
AOC \to A \\
ABO \to B \\
AOO \to C
\end{array}
$$
}}
#qanda(7,2)
&aname(valueEq);
#qanda_solution(7,2){{
#qanda(3,3)
#qanda_solution(3,3){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$ \mathcal{B} $</p>
  <h4>考え方1</h4>
  <p>AにはCが必要、CにはAが必要、でもAもCもBを必要としていない、とたどった。</p>
  <p>コメント:でも、どうして、こんなことがわかったのでしょう。コンピュータのプログラムを書こうとすると、どういう手順で、という「アルゴリズム」を見つけないとできません。「解ける」と「解き方がわかる」とは別です。</p>
  <h4>考え方2</h4>
  <p>$ A \to A $ のような自己循環の有無は依存関係に関係ないので無視。</p>
  <p>1行目から5行目まで、$ C \to A $  のような矢印を書いて、つながりをたどってみた。</p>
  <p>コメント:なるほど、これなら一目瞭然。とはいうものの、それは人間にとっての話。コンピュータにこの画像データを入れると、画像は表示できますが、関係は表示できません。</p>
}}

#qanda_set_qst(3,30,0){{
問題3-3の「覧る」のボタンを押して、すべての回答をざっとながめてみてください。採点するのが不適切な回答が三つあります。何番と何番と何番でしょうか。
}}
#qanda(3,30)
#qanda_solution(3,30){{
  <p>1,22,60</p>
  <p>以下の「After」を1週間掲示しておきましたがいまだ返事はありません。</p>
  <h4>After</h4>
  <p>採点に不適切な同一答案が3つありました。この答案に該当する者は、なぜこのような行為をしたのか、メールで説明してください。納得がゆく説明がなされないかぎり、今後採点対象から除外します。</p>
  <h4>After2</h4>
  <p>1の人からは信頼できる充分な説明を受けました。</p>
  <p>60と22の人からは謝罪のメールを受けとりました。充分な反省の意が読みとれるのでペナルティーを科して採点対象とします。
  <p>他のみなさんには、次回事情を説明します。</p>
}}

#qanda_set_qst(3,4,0){{
  <p>つぎのような投入産出の関係がある。</p>
  <p>Oはゼロの意味。たとえば1行目は「AとCでAが生産される」と読む。</p>
  <p>一方的依存関係にある生産物を選べ。どのようにそれを見つけたのか、見つけ方、考え方を書け。</p>
$$
\begin{array}{ccc}
AOCOO &\to & A \\
OBODE &\to & B \\
AOOOE &\to & C \\
ABOOO &\to & D \\
OOCOE &\to & E
\end{array}
$$
}}
#qanda(3,4)
#qanda_solution(3,4){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$B,D$</p>
  <p>「1行目から5行目まで、$ C \to A $  のような矢印を書いて、つながりをたどってみた。」</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>図を書いて、そのあと、実際に、どうやって従属的な生産過程を見つけたのだろうか?</p>
}}

#divregion(図に描いてみよう,admin,lec=3,qnum=4)
#qanda_raw{{
  <div style="margin: 20px; padding:6px">
  <form id="form1" action="#">
    <label for="item_number">生産物数:</label>
    <input type="text" id="item_number" maxlength="2" size="2">
    <input type="button" onclick="getItemNumber()" value="click">
  </form>
  </div>
  <div id="prod-dependency"></div>
  <script src="https://unpkg.com/konva@8/konva.min.js"></script>
  <script src="./js/konva/coordinate.js"></script>
  <script src="./js/konva/2021/prod-dependency.js"></script>
}}
#enddivregion

#qanda_set_qst(3,5,0){{
<p>従属的な生産過程を見つける手順(アルゴリズム)のポイントはなにか。</p>
<p>「この点に着目すれば必ずみつかる」という、その点を簡明に指摘せよ。</p>
}}
#qanda(3,5)
#qanda_solution(3,5){{
  <h4>解答</h4>
  <p>相互依存的な生産過程にを一つのグループにまとめてしまう。</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>アルゴリズム的にいえば次のようなイメージになる。</p>
  <ol>
    <li>上から順にたどって、$A \to B \to C \to A$ というループを $X$ という一つの生産過程にまとめる。</li>
    <li>そして、$A \to I$ や$B \to J$ などがあれば、$X \to I$ $X \to J$をつけ加える。</li>
    <li>グループ化した$A ,B , C $はリストから消す。</li>
    <li>これを相互依存的なループがみつからなくなるまで、1-3を繰り返す。</li>
    <li>$P \to Q$ のような矢印が外に向かってでていないノードを探す。このノード(グループ)が従属的な生産過程(のグループ)である。</li>
  </ol>
}}

#divregion(数学,admin,lec=3,qnum=5)
-数学をつかって、形式的に考えるという手もある。
-投入があれば1、なければゼロに形式化。
$$
\begin{pmatrix}
1&0&1&0&0\\
0&1&0&1&1\\
1&0&0&0&1\\
1&1&0&0&0\\
0&0&1&0&1
\end{pmatrix}
\to
\begin{pmatrix}
1&0&0&0&0\\
0&1&0&0&0\\
0&0&1&0&0\\
0&0&0&1&0\\
0&0&0&0&1
\end{pmatrix}
$$
-2行目と5行目、2列目と5列目を入れ替える。
$$
\left(
\begin{array}{ccc|cc}
1&0&1&0&0\\
0&1&1&0&0\\
1&1&0&0&0\\
\hline
1&0&0&0&1\\
0&1&0&1&1
\end{array}
\right)
\to
\begin{pmatrix}
1&0&0&0&0\\
0&0&0&0&1\\
0&0&1&0&0\\
0&0&0&1&0\\
0&1&0&0&0
\end{pmatrix}
$$
-これで1,2,3行目、つまり$A,E,C$は、4,5行目$D,B$の生産物を生産手段としていないことがわかる。
-でもこれは、関係有りや無しや、という結論のみ。
-依存関係をもっと突っ込んで考える方法がありそうだ。依存関係を計算してみよう。
#enddivregion

**関係を計算してみよう [#p1592448]
#qanda_set_qst(3,6,0){{
<p>つぎのような生産過程の関係を、うえで説明した 0,1 型の行列で表現してみよう。
</p>
<p>読みやすいように3行にわけて書いてください。括弧はかかなくてOK</p>
<ol>
  <li>AはAとBを生産手段とする。</li>
  <li>BはBとCを生産手段とする。</li>
  <li>CはCだけを生産手段とする。</li>
</ol>
}}
#qanda(3,6)
#qanda_solution(3,6){{
  <h4>解答</h4>
  <p>1,1,0</p>
  <p>0,1,1</p>
  <p>0,0,1</p>
  <p>解説</p>
  <p>つぎのような行列$A$になります。</p>
  $$
  \begin{cases}
  8t_1 + 12t_2  + 6 &=& 36t_1\\
  16t_1 + 4t_2 + 12 &=& 24t_2
  \end{cases}
 \tag{1}
  A =
  \left(
  \begin{array}{ccc}
  1&1&0\\
  0&1&1\\
  0&0&1\\
  \end{array}
  \right)
  $$
  <p>これを解いて</p>
  <p>図で表せば $$ 生産物C \to 生産物B \to 生産物A$$という直線的な一方的投入関係です。</p>
}}

#qanda_set_qst(3,7,0){{
<p>行列 $A$ と $A^2$ の(1,3)の要素を比較し、そこに現れた変化の経済学的な意味を述べよ。</p>
}}
#qanda(3,7)
#qanda_solution(3,7){{
  <h4>解答</h4>
  <p> 0 -> 1 という変化は、Cが、Bを通じて間接的に、Aの生産手段になっていることを示している。</p>
  <h4>解説</h4>
  $$
  (t_1,t_2) = (33/46,27/23)
  \left(
  \begin{array}{ccc}
  1&1&0\\
  0&1&1\\
  0&0&1\\
  \end{array}
  \right)
  \left(
  \begin{array}{ccc}
  1&1&0\\
  0&1&1\\
  0&0&1\\
  \end{array}
  \right)

  \left(
  \begin{array}{ccc}
  1&2&1\\
  0&1&2\\
  0&0&1\\
  \end{array}
  \right)
  $$
  <p>Aの(1,3) という要素は (1,<font color="red">1</font>,0)(0,<font color="green">1</font>,1) というベクトルの内積です。</p>
  <p>赤色の<font color="red">1</font>は「AがBをつかっているよ」という意味で、緑色の<font color="green">1</font>は、「そのBがCを使っているよ」という意味になります。二番目が両方ともON!</p>
  <p>要するに、行列AにAをかけると、生産手段のそのまた生産手段に遡って、両方がONなら、間接的な生産手段もONになる、ということがわかります。</p>
  <p>この基本関係は、要素の数をどんどん増やしても変わらない。</p>
  <p>「図に描いてみよう」にもどって、このことを確かめてみよう。</p>
  <p>講義のときに、ちょっとトリッキーな方法を教えます。</p>
  <p>もし python が使える環境があれば、次のオマケを使って''関係の計算''をしてみよう。</p>
  <p>今回は<a href="https://www.tutorialspoint.com/execute_python3_online.php">codingground</a>というところをちょっと借りて試してみます。</p>
}}
#qanda_scorechart(7,2)
**Supplement [#a4266b4e]
-うえの方程式を[[Geogebra>https://www.geogebra.org/?lang=ja]]で解いてみよう。
#divregion(コピペのためのオマケ)
 8x + 12y  + 6 = 36x
 16x + 4y+ 12 = 24y
#divregion(オマケ,admin,lec=3,qnum=7)
 #! /usr/bin/env python
 # coding:utf-8
 # 生産過程の依存関係をさぐる 2021.winter.lec3
 # 「図に描いてみる」の 関連図の依存関係が、
 #  python の array の形式で、
 # ブラウザーの console.log に出力される。これをコピペして
 # 5回前まで遡って、間接的に投入されている生産過程をたどってみよう。
 # ただしAにはA自身, BにはB自身がつねに投入されるように matrix はちょっと加工してある。
 # 必要なpython のプログラムコードは以下だけ。
 import numpy as np
 mat = np.matrix(
 # ここにconsole.logの出力をコピペする
 [[1,1,0],[0,1,1,],[0,0,1]]
 )
 for i in range(1,6):
   print(i,'回目')
   print(mat**i)
#enddivregion

-小数を分数にする
--ブラウザに備えつけのプログラム言語をちょっとつかってみる。
--スマフォやタブレットの人は、あとでどこかのPCで...
--ディスプレイの一番うえのところ(メニューバー)にでてくる、
---Safariだったら「開発」(「開発」がみつからないときは「環境設定>詳細」をひらき一番下のところにチェックを入れる)、
---Chrome だったら「表示」、
---Firefox だったら「ツール」のプルダウンメニューをひらいて、「Web開発ツール」とか、「javascriptのコンソール」とか、そのあたりをひらく。
---エッジの人は[[ここ>https://qiita.com/kouji-kojima/items/4b18abc200a68751de04]]をみてください。
--「コンソール」を選んで プロンプト(> )のあとに以下をコピペ
#divregion(javascript function)
 // many thanks for https://www.vcssl.org/ja-jp/code/archive/0001/2900-float-to-fraction/FloatToFraction.html
 dec2fact = function(f){
 var maxDenominator = 10000;
 var errorCapacity = 0.0001;
 // 分母 i を変えながら、f に近い分数を探していく
 for(var i=1; i<maxDenominator; i++) {
     // 分母 i のとき、分数の値が f に最も近くなり得る分子
     var j1 = (f*i)|0;     // f より小さい側
     var j2 = j1 + 1;      // f より大きい側
     // 分数の浮動小数点数による近似値を計算
     var v1 = j1 / i;  // f より小さい側
     var v2 = j2 / i;  // f より大きい側
     // 誤差が許容範囲内であれば、結果に i/j を出力して終了
     if (Math.abs(v1-f) < errorCapacity) {
         console.log(j1 + " / " + i + " ( = " + v1 + " )");
         return;
     } else if (Math.abs(v2-f) < errorCapacity) {
         console.log(j2 + " / " + i + " ( = " + v2 + " )")
         return;
     }
 }
 // 結果があれば既にexitしているはずなので、ここが実行される場合は結果なし
 console.log("該当なし")
 return;
 };
#enddivregion
#qanda_set_qst(3,22,0){{
<p>グラフ理論について、学んだことがありますか?</p>
}}
#qanda(3,22)
#qanda_solution(3,22){{
  <p><a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96">有向グラフの理論</a>が一般に使える。</p>
  <p>しかし、数学ばかりにたよると、経済学的な意味を洞察する力が退化するので注意しましょう。</p>
  <p>要素をふやしてどんどん複雑化(一般化)するのではなく、本質を抽出する(抽象化する)ようにしましょう。</p>
  <p>この講義の目的は直観力を養うことにあります。</p>
}}

-これでdec2fact( )という関数が使えるようになる。
-- dec2fact(0.23422) とか打ち込んでみる。たぶんかなり近い分数になるはず。
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-&color(red){2021-11-04 (木)の講義はここから};
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***コンピュータによる数値解 [#p36353c0]
-人間に特有な活動である「労働」とコンピュータの関係を考える一つのヒントとして....
-この「特有な」の一語ですますのではなく、その意味内容を正確に分析する必要があるのですが...
#qanda_set_qst(7,3,0){{
  <p>コンピュータで方程式の数値解を得るやり方は、あなたが子供のころからやってきたのとは違う。式の変形によるのではないのだ。</p>
  <p>コンピュータではどうやって解を求めるのか?</p>
  <p>具体的なやり方ではなく、要する"一般にこういうやり方で...."と答えてみてください。</p>
**依存関係の経済学的意味 [#w872b378]
#qanda_set_qst(3,8,0){{
<p>各生産過程がそれぞれ一産業に該当するとしよう。</p>
<p>「さまざまな産業は、たとえば原料の節約によるコストダウンが、他のすべてに直接間接に影響を与えるコア産業(たとえば問題3-3 ではA,C,E)と、自分自身のコストダウンをもたらすだけで、他にいっさい影響を与えない周辺産業(たとえば B,D)に分かれる。」
</p>
<p>上の命題の誤りを指摘せよ。</p>
}}
#qanda(7,3)
#qanda_solution(7,3){{
#qanda(3,8)
#qanda_solution(3,8){{
  <h4>解答</h4>
  <p>次々に数値を入れて計算し、条件にあっているものを見つけだす。</p>
  <p>「他にいっさい影響を与えない」が誤り。</p>
  <p>周辺産業間で影響を与え合うことはある。(ただ、その影響はコア産業には及ばない。逆にコア産業でコストダウンが生じれば、それは直接間接に全産業に影響する。)</p>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
  <li>「式の変形」の変形というのは、未知数というシンボルを操作することで、これをいきなり、コンピュータ(=生まれは「計算機」)にやらせるのは無理。</li>
  <li>実際に計算そのものは速いので、このメリットを活用して、近似値を求めるのが一般的な使い方。</li>
  <li>コンピュータにできるのは、 x == 1 の関係(同じかどうか)を区別して、if then else 型の論理で条件分岐すること。さらにこれを利用して、繰り返し処理をすること。</li>
  <li>では「解答」の「次々に数値を入れて計算し、条件にあっているものを見つけだす。」って、具体的にはどうやってやるのか?
    <ol>
      <li>「次々に数値を入れて」は?たとえば、-1000から1000まで、0.1 刻みでふやしす</li>
      <li>「条件にあっている」とは?ピッタリ合わう必然性はない。0.1刻みの中間に解があるときも。だから、誤差を認めて「あっている」とする。x0 === x1 ではなく、x0-x1 < 0.00001 なら「あっている」とみなす。</li>
      <li>「見つけだす」とは?「みつかるまで繰り返す」ということ。人間だったら、ここら辺りと「見当をつける」と思うが、こういう見つけ方はしない。端から端まで、if then else 型で、あって条件に合致する値がでてくるまで繰り返す。</li>
    </ol>
  </li>
  <li>でもこれはちょっと芸がなさすぎる。たとえば、幅を小さくしながら左右から挟み込むとか、工夫しないと、いかにコンピュータとはいえ、時間がかかる。</li>
  <li>さらにうえの問題のように、x,y と変数が二つあったらどうするか。</li>
  <li>まず x = 0.1,0.2,.... のそれぞれに、y=0.1,0.2,.... をいれて、左辺=右辺をチェックするか。for の二重ループ。これだち二乗の時間がかかる。</li>
  <li>多重ループをどうやって回避するか?これは人間のプログラマーが考えないといけない。コンピュータは、効率の悪いプログラムを、自動で効率化するようなことはできない。</li>
  <li>かりに、できるようにするとすれば、それはかなり危険だ。コンピュータがそれ自身のプログラムを書きなおして動くとしたら、人間の意図しない結果を生みだしても、人間にはわからない。要するに、人間が使う(管理できる)コンピュータではなくなってしまうのだ。</li>
  <li>ここらに、「コンピュータが発達すると労働はいらなくなるか」という問題の核心に迫るヒントがありそうです。</li>
  </ul>
  <p>ここは素直に「他のすべてに直接間接に影響を与える」の「すべて」を否定して、「他のすべてに直接間接に影響を与えるわけではない」とすべき。「いっさい他に」が強すぎるのです。</p>
  <p>影響は他に及ぶのですが、それが部分的で全体には及ばない周辺産業''群''が存在するわけです。</p>
  <p>BはDに、DはBに影響を与えるのですが、それは両者の相互作用で閉じている、ということです。</p>
  <p>''複雑''なものをみると、すぐ「相互作用」を連発する''単純''な人がいます。関係ときくと''何でも''すぐに「相互作用」のせいだで片づける人は''何にも''考えていない人です。「相互」といっても二種類あることが全然みえていないのです。</p>
  <p>「二種類ある」ことがポイントです。「たくさんある」では、だから複雑なんだ、ということになってしまいます。二種類まで絞れるかどうかはともかく、たくさんではなく、できるだけかぎられた数に「抽象化」できるかどうか、これが原論的思考力のデキを左右するのです。</p>
  <h4>After</h4>
  <p>「他にいっさい」がどうも怪しい、とみなさん、気づいたようです。</p>
  <p>問題は、どこがどう誤っているのか、です。</p>
  <p>残念ながら「他にいっさい」の否定が、即「(直接間接に)すべてに」になってしまっている回答がほとんどでした。</p>
  <p>そんななかで「他にいっさい」の否定が、「周辺産業内部に(かぎって)」「部分的に」になることを見抜いた答案がいくつかありました。お見事!</p>
  <p>ちょっとむずかしい問題でしたね。</p>
}}

***コンピュータによる論理操作 [#w84f36e3]
-とはいえ...コンピュータで分数解を直接(?)得る方法もないわけではない。
-たとえば python のsympy というモジュールをつかえば....
-[[SympyLive>https://live.sympy.org/]]に接続して試してみよう。
-次の式をコピペしてみよう。
#divregion(オマケ,admin,lec=7,qnum=3)
 var('x,y')
 ex1 = 8*x + 12*y  + 6 - 36*x
 ex2 = 16*x + 4*y+ 12 - 24*y
 solve([ex1,ex2],[x,y])
#enddivregion
#qanda_set_qst(3,9,0){{
<p>問題3-6のコア産業は、相互依存的な生産過程グループのうち、そのメンバーが最大多数のものである。</p>
<p>真か偽か、理由を述べよ</p>
}}
#qanda(3,9)
#qanda_solution(3,9){{
  <h4>解答</h4>
  <p>偽。コア産業かどうかは、投入産出で示される「技術」の連鎖構造できまる。</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>上の解説で示したマトリクスをよくみれば、1産業がコア産業で他のすべてが周辺産業群になる極端なケースもありうることがわかります。</p>
  <p>ボーとしてると「多数派が影響力をもつ」のは当然だと思い込みがち。しかし、これも根拠なし。</p>
  <p>「多数派が影響力をもつ」という思い込みは、さらに多数派は平均であり、「平均値が何かをきめるのだ」「個々の事象ではなく全体の平均に(見えない)法則ははたらいているのだ」という、これまた根拠のないドグマになってゆきます。</p>
}}

-これは人間のプログラマが、人間がやる(やりたい)ことを、プログラミングしているから。
-プログラミングすれば「できる」というか、プログラミングしないと「できない」というか、これはよくある水掛け論。愚かです。
-人間とコンピュータの間に絶対的な境界線を引こうとすること自体があやまり。たしかに境界
線は「ある」。でも、&qanda_tooltip(境界線は「動く」){「動く」のらな「ない」というか、「動いても」「ある」というか.....};のです。
#qanda_set_qst(3,10,0){{
<p>次のような生産過程がある。このうち、純生産物にしかならない生産物がある。</p>
<p>どれか?そうなる理由を述べよ。</p>
$$
\begin{align}
AOOOE \to A \\
ABODO \to B \\
AOCDE \to C \\
OBODO \to D \\
ABODE \to E \\
\end{align}
$$
}}
#qanda(3,10)
#qanda_solution(3,10){{
  <h4>解答</h4>
  <p>C</p>
  <p>Cは、他のどの生産過程の生産手段にもなっていないから。</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>経済学では昔から「奢侈品」というのが問題にされてきました。贅沢品。他のどの生産過程の生産手段にもならない生産物です。</p>
  <p>こうした生産物で、生産手段の節約がなされてもその効果は、この奢侈品のコストがさがるだけで、他には影響を与えません。</p>
  <p>ただ、なにが奢侈品なのかは、社会的生産が複雑になってくると簡単に見つけることはできなくなります。</p>
  <p>また、一方的依存関係にある生産物が、すべて「奢侈品」と重なるわけではありません。たとえば、問題3-4のケースで、$B,D$は一方的依存関係にありますが、互いに他の生産過程の生産手段になっているので、必ずしも、そのすべてが純生産物となるとはかぎりません。</p>
  <p>生産過程の相互連鎖、社会的生産は、社会的''分業''ともよばれます。</p>
  <p>国内の分業も国際分業も、単純な相互依存ではなく、一方的な従属関係も含まれています。</p>
  <p>基本的に単線的な川上、川下関係をつくるケースもあれば、相互にループをつくり、他に影響力を与える基幹産業が発生するケースもあります。こうした関係を抽象的に洞察する方法が理解できたでしょうか?</p>
  <h4>After</h4>
  <p>回答42に「ただ、C自身の原料としては使われているので、「純生産物にしかならない」という表現には少し違和感を覚える。」という指摘がありました。</p>
  <p>的確な指摘です。ダブルスコアで6点!</p>
  <p>Cの粗生産物のうち「C自身の原料としては使われている」部分は、純生産物にはなりません。つまりCの生産物の''すべて''が「純生産物」になるわけではありません。</p>
  <p>ただ回答42もふくめ、大多数がCの特殊性には気づいており、その理由も正しく指摘されていたので、この特殊性が正しく指摘されているものを正答としました。</p>
  <p>この「正答」が真の意味で正答になる問題文は?</p>
  <p>「相互依存関係にない生産過程はどれか?」あたりでしょうか。</p>
  <p>あまりにみたマンマなので、少しヒネったのですが、それが誤りを招いたのでした。</p>
}}

#divregion(コンピュータは分数が苦手:なぜか, admin,lec=7,qnum=3)
-コンピュータの数値の扱いは「直感」によるものだから。
--数値の扱い方は、見た目の近さによっている。つまり、感覚の世界。1は0.9999999 と「近い」。
--コンピュータは誤差を許す。"「似てる」は「同じ」を同じだ!"という、論理的にはメチャクチャな話。"ほぼ平行"を認めたら、ユークリッド幾何学の「証明」なんて無意味。
-しかし、"だいたい"、あるいは"限りなく"似ているのだからよいじゃん、というのが「直感」型の思考。
--人間のなかにも、この種の感覚的思考(?)で生きている人がけっこう多い。というか、ほとんどそうだ。
-でも、人間は分数を扱える。「直観」する力があるから。
--人間の数の認識の基本は「離散的」。1,2,3,4 と数えるはず。子供はそうだが、大人だってそうだ。自動車が通過すると、1台、2台、と数える。いろんな車が通ったのだが、それを捨象するから、1,2,3 と離散的な数え上げができる。抽象力がないと数えられないのだ。
-たしかに、コンピュータのデータはビット型の離散データ。バネばかりのようなアナログデータではない。しかし、どんどん細かくビット数をふやし、アナログ値に近似させる方法で発達。要するに、アナログ型感覚型の世界からでようとしないのだ(もともとできないのだ)。
-分数とは何か?抽象力を駆使して一気に言ってしまえば、離散したものの間を、離散的に捉えるもの、ということになる。
--0と1の間を、たとえば3で等間隔に区切る。そして、自動車の数を数えたのと同じように、1/3,2/3,3/3 というように、1,2,3 と数え上げる。離散的に数えるという基本原理は分数でも同じ。
--コンピュータはのほうはこの分母の3が使えない。三等分したら、0.33333333 あたりで1/3(この概念がないのだが)と同じと「みなす」。だから 1/3*3 が1にならない。0.999999を1と「みなす」。
--この誤差は、コンピュータで、1/3*1/3 のような累乗計算をやると、どんどん広がる。紙の上でやっている 1/3 * 1/3 = 1 /9 には、誤差なんてない。数学は、誤差がでない、論理的一貫をもつ演算の世界が前提。これが、コンピュータのデータでは保証されない。
-要するに、コンピュータは抽象的な数学が「わからない」のだ。とまでは言わないが...苦手なのだ。
--しかし、人間も現実の生活では、感覚(知覚)の世界で生き、近似で処理している。顔の識別など、人間も「感覚」で処理しているはず。論理的に「この顔とあの顔が同じだ」とは、だれも言い切れないだろう。
--そして、この領域でなら、コンピュータをつかった処理が、人間の能力をどんどん上まわってゆく可能性がある。
--ということで、感覚でものを処理している人、似ている回答をインターネットで探してコピペしてすまそうとしている人、こういう能力をいくら磨いても、所詮、コンピュータにはかないません。そんな能力は、すぐにいらなくなるのです。
--この講義では、「コンピュータをつかって、コンピュータにできない抽象能力を身につける」ことを隠れた目的にしています。くれぐれも、あちこち探ってコピペするのではなく、地頭=自アタマで考えてください。

#divregion(今回のまとめ,admin,lec=3,qnum=10)
+全体の性格を保存しながら要素の数を減らすことを「抽象化」といいます。代表的な要素をピックアップして要素の数を減らす、単純な「単純化」とは違います。全体を縮小するのです。
+生産過程の依存関係は、大きくいって支配型と従属型がある。
+依存型の生産過程は、他から影響をうけるが、他に影響を与えることはない。
+従属型での生産手段の節約効果は、その生産過程(グループ)内にとどまる。
+これに対して、支配型での節約効果は、直接間接の経路を通じて全体に及ぶ。
+従属型の生産過程の生産物は、必ず純生産物を構成する。
#enddivregion

**今回のまとめ [#gb99c923]
-生産期間とその間におこなわれる労働時間とは一致しないが、生産過程に技術があれば、生産期間は客観的にきまり、その結果、生産過程をコントロールする労働量も客観的にきまる。
-複数の生産過程が連鎖し、生産物を生産手段として受渡する社会的再生産のもとでも、各生産物1単位を生産するのに必要な労働時間は、生産技術のみに基づいて、客観的にきまる。


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