#author("2021-10-28T16:17:48+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2021年度/冬学期/第3講]]&color(#447CFF){第 &size(32){4}; 講}; [[▷ 次回>2021年度/冬学期/第5講]]

#qanda_mathjax
#qanda_setstid(2021-10-21 16:10:00, 90)
#qanda_who
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✔ RECONチェック&br;
✅ 接続チェック

#qanda_set_qst(4,20,0){{
<p>&#x2714;接続状態をおしえてください。</p>

<p>&#x2714; なお、前回学生証番号を登録した人で、今回「氏名不詳」になってしまった人は「再登録」と書いてください。</p>
}}
#qanda(4,20)

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CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;社会的再生産&nbsp;};};
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**今回のネライ [#w9f16f16]



***生産過程の組合せ [#l557b621]
-生産過程は生産物と粗生産物を表す二つのベクトルの関係で示すことができる。
$$(a_1,a_2,\cdots,a_n) \to (0,\cdots,1,\cdots,0)$$
-粗生産物は一種類であると仮定する。そのための手段のセットは複数でも、目的物は一つであるのが正則だから。変則として、副生産物がでてくる場合があり、「結合生産」とよばれる。
-ここでも、nを2に抽象化して考える。データを入れて検証するのであれば、生産過程の数を増やす必要がある。しかし、それをしないのにnに一般化しても、それで得られる知見に違いはない。ただ煩瑣になるだけ。一時流行った数理経済学はムダな努力。
-二種類の生産物からなるベクトル(小麦,鉄)を考える。単位はkgとする。次のような小麦、鉄の生産過程を想定する。
$$小麦生産 P : (9,14)\to (36,0)$$
$$鉄生産 Q : (18,8) \to (0,24)$$
-二つの生産過程には固有の「技術」がある。したがって投入をk倍すれば産出もk倍になると想定する。

#qanda_set_qst(4,1,0){{
  $$ P : (9,14)\to (36,0)$$
  $$ Q : (18,8) \to (0,24)$$
<p>生産過程 PとQからなる社会的再生産における純生産物のベクトルを求めよ。</p>
}}
#qanda(4,1)
#qanda_solution(4,1){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$$(36,0)+(0,24) - (9,14) - (18,8) = (9,2)$$</p>
}}

#qanda_set_qst(4,2,0){{
  $$ P : (9,14)\to (36,0)$$
  $$ Q : (18,8) \to (0,24)$$
<p>生産過程 PとQ の技術で<strong>小麦9kg</strong>だけを純生産物として生産するための生産手段のベクトルを求めよ。</p>
}}
#qanda(4,2)
#qanda_solution(4,2){{
  <h4>解答</h4>
  <p>P,Q の生産過程を $s_1,s_2$倍に変更すると</p>
  $$s_1(36,0)+s_2(0,24) - s_1 (9,14) - s_2(18,8) = (9,0)$$
  <p>となる。これより</p>
  $$36s_1 - 9s_1 - 18s_2 =9$$
  $$24s_2 - 14s_1 - 8s_2=0$$
  <p>整理すると</p>
  $$27s_1 - 9s_1 =9$$
  $$-14s_1 + 16s_2=0$$
  <p>ゆえに$s_1=4/5,s_2=7/10$</p>
  <p>したがって小麦9kgだけを純生産物にもつ生産手段のベクトルは</p>
  $$ s_1(9,14)+s_2(18,8)=(19.8,16.8)$$
}}

#qanda_set_qst(4,3,0){{
  $$ P : (9,14)\to (36,0)$$
  $$ Q : (18,8) \to (0,24)$$
<p>生産過程 PとQ の技術で<strong>鉄9kg</strong>だけを純生産物として生産するための生産手段のベクトルを求める連立方程式を示せ。</p>
}}
#qanda(4,3)
#qanda_solution(4,3){{
  <h4>解答</h4>
  <p>P,Q の生産過程を $s_1,s_2$倍に変更すると</p>
  $$s_1(36,0)+s_2(0,24) - s_1 (9,14) - s_2(18,8) = (0,9)$$
  <p>となる。これより</p>
  $$36s_1 - 9s_1 - 18s_2 =0$$
  $$24s_2 - 14s_1 - 8s_2=9$$
}}

#qanda_set_qst(4,4,0){{
  $$ P : (9,14)\to (36,0)$$
  $$ Q : (18,8) \to (0,24)$$
<p>小麦の生産過程 Pに対して、純生産物のベクトルが(0,0)となる 鉄の生産過程 Q' を表すベクトルを一つあげよ。</p>
}}
#qanda(4,4)
#qanda_solution(4,4){{
  <h4>解答</h4>
  <p>純生産物をもたらさないベクトルは</p>
  $$(36,0) - (9,14) + (x,y) = (0,0)$$
  $$(x,y) = (-27,14)$$
  <p>仮にQと同じ粗生産物(0,15)を産出するケースを考えるなら、そのときの生産手段を表すベクトル(x',y')は次のようになる。</p>
  $$ (-27,14) = (0,24) - (x',y')$$
  $$ (x',y') =(27,10)$$
  <p>つまり Q' に相当する生産を表すベクトルは、たとえば次のようになる。</p>
  $$ Q': (27,10) \to (0,24)$$
  <h4>解説</h4>
  <p>QとQ'を比較すると、同じ粗生産物を生産するのに必要な生産手段の物量がすべて増大しているのがわかる。生産の効率が明らかに低下している。このため、純生産物がゼロとなったのである。</p>
}}

#qanda_set_qst(4,5,0){{
  $$ P : (9,14)\to (36,0)$$
  $$ Q : (18,8) \to (0,24)$$
<p>小麦と鉄の価格を$p_1,p_2$とする。</p>
<p>PでもQ でも、「生産手段の総額と粗生産物の総額の比率」が等しくなるような価格比を求めよ。</p>
}}
#qanda(4,5)
#qanda_solution(4,5){{
  <h4>解答</h4>
  <p>価格を表すベクトルを$(p_1,p_2)$とおく。</p>
  $$(p_1,p_2)(36,0)/(p_1,p_2)(9,14) = (p_1,p_2)(0,24)/(p_1,p_2)(18,8)$$
  <p>$p=p_1/p_2$ とおいて整理すると</p>
  $$27p^2+3p-14$$
  $$(3p-2)(9p+7)=0$$
  <p>$p>0$ゆえに$p_1:p_2=2:3$となる。</p>
}}

#qanda_set_qst(4,6,0){{
<p>Pの10パーセント拡大し、Qが10パーセント縮小して次のようになった。</p>
$$ P : (9.9,15.4)\to (39.6,0)$$
$$ Q : (17.2,7.2) \to (0,22.6)$$
<p>このとき「生産手段の総額と粗生産物の総額の比率」が等しくなるような価格比を求めよ。</p>
}}
#qanda(4,6)
#qanda_solution(4,6){{
  <h4>解答</h4>
  <p>2:3</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>連立方程式の両辺に定数をかけているだけだからトーゼン。</p>
}}

#qanda_set_qst(4,7,0){{
<p>P,Qなどの生産過程を表すベクトルを拡大縮小しても変わらないものはなにか。</p>
}}
#qanda(4,7)
#qanda_solution(4,7){{
  <h4>解答</h4>
  <p>技術</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>P,Qなどは、一定の比率を保ち生産物が粗生産物に変わる関係、つまり生産技術を表している。</p>
  <p>「生産手段の総額と粗生産物の総額の比率」というのは、もうけの比率、マージン率。これが利潤率の基礎になる。他の要件を全部無視すれば、一個あたりの原価に対する上乗せ率が等しいということは、どっちを生産しても有利不利はない、ということ。</p>
  <p>この価格は、技術だけできまる。需要に応じて生産規模は変化するだろうが、それと関係なく、技術が変わらなければ、有利不利がでない価格は一定。</p>
  <p>利潤率が一定になる規制力を価格は、需要供給の変化とは関係なく、生産技術によって客観的に決まるというのが、これから説明してゆく「客観価値説」のコア。ただまだ労働の問題をはじめ、無視した要件があまりに多いので、今回は、あくまでコアを直観してもらえればOKです。</p>
}}

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