#author("2019-01-03T09:42:27+09:00","default:obata","obata")
#author("2019-02-19T22:42:43+09:00","default:obata","obata")
[[前回>2018年度/冬学期第4講]]<<冬学期第5講>>[[次回>2018年度/冬学期第6講]]

*概要 [#ob67a0ee]
今回は
+「熟練」について考えてみます。熟練というと、以前は人間の身体活動を中心に考えられてきましたが、今日では、コンピュータと熟練の関係がおもしろい問題です。
//+労働は一人ひとりバラバラにおこなうわけではありません。みんなでいっしょにはたらくのです。「社会的」あるいは「組織的」な労働について考えてゆきます。

**熟練 [#wb28091c]
-熟練=技能=skill とよばれるものの正体
--&ref(wool_spinning_wheel-2.pdf,,労働過程);のどこに熟練は潜んでいるのか?
--「暗黙知」
>
#region
---知っている(人に説明できる)から、実際にやれる ... これが普通だろうが
---知らない(人に説明できない)けど、できちゃう  ...これを 暗黙知というようです
---理屈はわかっているけど、できない ... というもある
#endregion

//--[[制御 control とはなにか?なぜ制御が必要になるのか?>tus2:2018年度/第5講/質問1]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[ 制御 control とはなにか?なぜ制御が必要になるのか?>question:lec=5&qst=1&situmon=制御 control とはなにか?なぜ制御が必要になるのか?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=5&qst=1]]
---[[回答:>answer:lec=5&qst=1]]

-講義ではここまではなしました。まとめると
--目的意識的活動 = 目的設定 + 実行 といわれているが、
--目的設定 には、実現のための手段・手続きの構成、段取りが必要であること
---しかし、予見できなかったノイズで、段取り通りにはゆかない
---たえざるプロセスの調整=コントロールが必要になる。
---自然にコントロールできる能力が「熟練」とよばれるもの
---コンピュータでは広い意味でのプログラム=手続き・手順がこれにあたる
---人間なら、頭のなかで自然にできることを、意識的に分析しないと、コンピュータにやらせることはできない。
---それがある程度できたとしても、コンピュータがプログラムで想定した結果をださないことがある。予期せぬエラー、例外、バグが発生する。
---まだ今の段階のコンピュータでは人間がたえず「監視」モニタリング しないとならない。
---コンピュータがプログラムのバグを「自分で」発見し修正するようにさせることができるか。絶対にできないわけではない。たとえばデバッガーという「道具」はある。この「道具」が発展すれば、プログラマーの熟練の一部はいらなくなるかも。
---人間がいい加減に書いた、バグがあり、うまく動かない、できかけのプログラムX。これをコンピュータがバグをとり、作動するプログラム Y に変更して作動。このとき、Yは人間がXで実現しようとした「目的」に合致した結果をだしたことになるのか?X→ZをX→Yとして作動したとき、これをコンピュータが「暴走」したといってみて.... しょうがないですね。コンピュータに「目的意識」をもたせることは、現段階では難しいですから。クライアントがプログラマーに「目的」を伝えれば、プログラマーは「目的」に合致するプログラムを書く能力はあります(なかには「暴走」するプログラマーもいるかもしれませんが...)しかし、プログラマーが、これと同じように、コンピューターに「目的」を伝えるわけにはいかないのです。現段階では....
--今日の講義では、目的設定のあとの手続き・手段の話をしましたが、目的設定にいたる、そのまえのプロセスも考えなくてはなりません。前々回はなした「欲求」と「目的」です。

-ということで~
宿題:コンピューターの発達は熟練をなくすことになるか? メールで...
--みなさんからの
//[[回答>tus2:2018年度/第5講/質問3]]
[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=5&qst=3]]
[[回答:>answer:lec=5&qst=3]]
--コンピュータと熟練の関係を、簡単な[[プログラムの作成>https://leetcode.com/problems/container-with-most-water/description/]]で説明してみます。
---Container With Most Water という問題です。
---① O(n^2) で遅い。 for + for の2重ループになっているため。
 for i in range(len(height)):
             for j in range(i+1,len(height)):
                 contain = max(contain, (j-i)*min(height[i],height[j]))
---② O(n) に改良
 while ( i < j ):
             contain = max(contain,(j-i)*min(height[i],height[j]))
             if height[i] < height[j]:
                 i = i+1
             else:
                 j = j-1
---現段階のコンピュータでは、①を②にするのはプログラマーの仕事。熟練はここに潜む。
---①で動かそうとしたとき、コンピュータが①を②に自動的に変更して作動すれば、プログラマー(の熟練)はいらなくなる。
>
+①→②をどうやってコンピュータにおこなわせたらよいか?
+コンピュータに「目的」②をどのようにして「自覚」させるか?(「自覚」などと擬人法でしか表現できない限り、まず、コンピュータにさせることは無理ですね。)
+どうやったら、コンピュータに目的意識的活動=労働をさせることができるか?
+まだ、このレベルの「知性」をもったコンピュータをみたことはない。
+AI ? ぜんぜんアプローチが違いますね。大量のデータ → プログラム という帰納が基本で、人間の推論の「原理」:演繹型とは方向が逆です。人間のなかにもこのタイプの人は多いのですが... 「一を聞いて十を知る」のではなく「万を聞いて十を知る」タイプ。
+マルチスレッド?アルゴリズムではなく物理的なCPU利用の効率化による解決。コンピュータが高速になれば①でOKというアプローチ。これはありうるかも....
<
---そうなれば①が書けるだけの「単純労働プログラマー」で足りることになる。これが[[「コンピュータと労働」>http://gken.sakura.ne.jp/pub/compwork.pdf]]という論文で、
>
+「手の労働の単純化」が終わった後の第二ラウンド:「頭の労働の単純労働化」がはじまった、
+コンピュータはまだ道具だ、
<
といった実際のすがたです。

//--[[「技能」skill  と「技術」technology の違いはなにか?>tus2:2018年度/第5講/質問2]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[ 「技能」skill  と「技術」technology の違いはなにか?>question:lec=5&qst=2&situmon=「技能」skill  と「技術」technology の違いはなにか?]]
//--質問:「技能」skill  と「技術」technology の違いはなにか?
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=5&qst=2]]
---[[回答:>answer:lec=5&qst=2]]

*** まとめ [#z96c1181]
+道具と熟練の関係
+機械と熟練の関係
+コンピュータと熟練の関係


*配布物 [#s3e471af]
-[[ハンドアウト>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/handout_w5.pdf]] &new{2018-10-11 14:02:07};

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