#author("2019-01-03T10:31:45+09:00","default:obata","obata")
#author("2019-02-19T22:34:57+09:00","default:obata","obata")
[[前回>2018年度/冬学期第7講]]<<冬学期第8講>>[[次回>2018年度/冬学期第9講]]

-今回から「生産」の理論にはいります。①生産構造論  -> ②生産価格論 が主軸です。
-①の構成は
>
+社会的再生産
+純生産物の分割・剰余生産物
<
-労働論とのつながり
--人間労働の基本規定は...
>
#region
--- 合目的活動 = 目的合理性
--- 目的をきめて
--- 手段を組み立て
--- コントロールすること
#endregion

--この講義ではとくにコンピューターと労働の関係(雇用、労働の変質など)考えてみました。
---単独の労働者とAI という関係だけでは不充分。
---なぜなら、人間の労働は
>
#region
+社会的で組織底な結合・連繋に真の強みをもつ
+協業と分業という形態で
+集団力の原理を基本とする
#endregion
<
から。

---コンピュータがこの領域において、人間の熟練を解体できるか.... 
>
#region
---Xくんの意見:
---「AIの最大の特徴は、コンピュータは人間が組んだプログラムのことしかできないのに対し、AIは、一度作ってしまえば自ら様々なパターンを学習し、そこから考える力が備わっているところである。そのため、AIの発展により、労働の熟練度を高めることは期待できる。しかし、今まで人間が行っていた労働のポジションとAIがそのまま入れ替わるということは、協業という観点から難しい。そのため、AIの発展により全体としての労働組織は変わらず、AIと人間の協業をサポートするような人間が必要になっていくという影響を及ぼす。」
#endregion
<

--この基本規定から一般的に発生するのは、労働主体のコントロール能力すなわち「 A 」と 生産手段の客観的体系性すなわち「B 」です。A とB は?
>
#region
+熟練 skill
+技術 technology
#endregion
<

--生産論の出発点は後者のB
>
#region
***remarks [#c5e96afc]
-この講義のポイントは、「理論的に考える力」を養うこと。
-内容よりは考え方にウェイトをおく(別解あり。別の結論=内容もあり。)
-前提=出発点 → 結論 の合理的な推論をおこなうこと。(すでに「労働」について試みたが...)
-多様な現象の観察・記述ではなく、体系的な整理・基本的な関係を抽出する力
-つねに例外的な事象がいくらでもでてくることは自覚しよう。
--10%でも基本は基本(?)  基本の「部分」が「全体」を規定する関係
--生産価格のところでも典型的なケースがでてきます。
-社会科学における「理論」の意義は
--この「理論」に予測能力を期待するのはむずかしい。
---経済予測は天気予報と同じだという考え方もあるが、やはり違う。
---「経済物理学」:mass 現象では個人の意志は相殺されるので
---「意図せざる結果」として予測可能性が生じるというアプローチ
--前提 $P \to$ 結論 $Q$ の $Q$ は全体$Z$ をカバーできない
--一般的な意義は $Z$ において、&color(red){少なくとも}; すべてが$not~Q$ ということは生じ&color(red){ない};という否定形の命題
--このロジックに慣れよう。何日も雨が降らないことはあるが、永久に降らないということはありえない。
--もう少し積極的にいえば $not~Q$ である''べきではない''という規範的結論
//-質問&number(,1);. [[この演繹的な考え方と統計学的検定の関係は...>tus2:2018年度/第8講/質問1]]
#endregion
<

*社会的再生産 [#f8237a2a]
-テキスト141-151頁
-生産の全体系は、再生産と社会的分業の二つの側面をもちます。両者の関係について説明してゆきます。
**再生産 [#mc16045f]
-前提は モノのinput -> モノのoutput に量的な確定性があること。(モノ's)と(モノ's)の関係
- input < outputを「生産」、 input > output(ふつうは0) を「消費」と定義
--確定性がなければ、そもそも「生産」という概念は成立しない。
-生産の概念から「再生産」reproduction という概念が導きだされる。
-「再生産」はいちばん基礎になる概念ですが、ふつうはいろいろな意味でつかわれています。
//-質問&number(,1);. [[いまだれかに「再生産とは何か」ときかれたら、さしあたりどうこたえますか。>tus2:2018年度/第8講/質問1]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[いまだれかに「再生産とは何か」ときかれたら、さしあたりどうこたえますか。>question:lec=8&qst=1&situmon=いまだれかに「再生産とは何か」ときかれたら、さしあたりどうこたえますか。]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=1]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=1]]
-簡単な例で考えてみよう。
//-質問&number(,1);. [[小麦1kgを播いたら小麦2kgの収穫があった。生産物はいくらか?>tus2:2018年度/第8講/質問2]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[小麦1kgを播いたら小麦2kgの収穫があった。生産物はいくらか?>question:lec=8&qst=2&situmon=小麦1kgを播いたら小麦2kgの収穫があった。生産物はいくらか?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=2]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=2]]
--教科書にもでている例ですが、こんなに収量が低いことはありません。フィクションですが、極端に単純化したかたちですがポイントがつかめます。
- 再生産の基本は、.... A → A'→ A'' →.... という連続過程を A → A' + A'→ A という循環過程に置き換えること。
//--質問&number(,1);. [[この置き換え可能の条件は?>tus2:2018年度/第8講/質問3]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[この置き換え可能の条件は?>question:lec=8&qst=3&situmon=この置き換え可能の条件は?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=3]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=3]]


**社会的生産 [#u1ca28ba]
-「社会的」というのは複数の生産過程の連鎖という意味。
--モノ→モノだけではなく、(モノ's)→(モノ's)
--複数のもっとも一般的なかたちは?
#region
-- 2
-- nで成り立って2で成り立たないことはない
-- 2で成り立ってもnで成り立たないことはある
-- n では成り立たないこともあることに注意しながら、
-- 2で基本的な命題を考える。AとBの「関係」。
-- 2では不充分なとき、「関係」の「関係」が考えたいことには3
-- ((A-B)-C) が複雑さの限度。AとBの関係は、Cには関係ない、といった命題...
--コンピューターにできない''直観 '' ''intuition'' を鍛えよう。「直観」は「直感」じゃないよ...
#endregion
--再生産は、モノ→モノだけではなく、モノ←モノでもあるという意味。
-生産の理論は、社会的+再生産 が「一」。「一」という意味は....
#region
- remarks
--「一」を聞いて「十」を知る。これが「原理論」タイプの「理論」。
--「百」を聞いて「十」を知る。この種の「知性」はAIに任せよう。
--詭弁 sophistry にきこえるかもしれないが、どちらかというと Knowing unKnown タイプの思考。
--AI的思考は、知った「十」からさらに「一」にさかのぼることはできない。
--「本質」というは発想法はむずかしい。「十」で「百」が説明できるなら、それ以上の抽象化はしない。
--「原理論」では「一」から「十」を導きだす(体系化する・関連づける)ことができるが、
--「一」で「百」をすべて説明することはできない。無数に例外が発生する。
#endregion

CENTER:&color(blue){講義はここまでで時間切れとなりました。};

-小麦の再生産の例では、純生物と粗生産物の区別は簡単だが、
-小麦と鉄を原料に、小麦や鉄が生産さえる関係では、ちょっと面倒になる。
//--質問&number(,1);. [[次のケースの純生産物は?>tus2:2018年度/第8講/質問4]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[次のケースの純生産物は?>question:lec=8&qst=4&situmon=次のケースの純生産物は?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=4]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=4]]

#katex

$$
Cone~ 2 + Iron~ 3 \to Cone~ 8
$$
$$
Cone~ 4 + Iron~ 2 \to Iron~ 6
$$
>
#region
--行列やベクトルをつかって表記すると簡素化できる。
,2,3,,8,0
,4,2,,0,6
--あとは、線形数学の応用でわかることも多いが、この講義では、経済学としての基礎的な考え方にポイントをおく。
#endregion
<

-重要な仮定
>
+''技術の一定性'' 一定の生産方法が継続する。生産方法の変更がないケースである。
+''規模の伸縮性'' 同じ生産方法 $input \to output$ で生産規模を拡大縮小できる。 $input\times 2 \to output \times 2$
<
//--質問&number(,1);. [[小麦1 だけが純生産されるようにするには小麦、鉄の生産過程を$k,l$倍?>tus2:2018年度/第8講/質問5]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[小麦1 だけが純生産されるようにするには小麦、鉄の生産過程をk, l倍?>question:lec=8&qst=5&situmon=小麦1 だけが純生産されるようにするには小麦、鉄の生産過程をk, l倍?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=5]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=5]]

//&math{\begin{pmatrix}a_{11} & a_{12} & a_{13}\\ a_{21} & a_{22} & a_{23}\\ a_{31} & a_{32} & //a_{33}\end{pmatrix};

//&math2{a+b};

-図解:
-- input を負、output を正 として生産方法をベクトルで表示すると
$$
(2,3)\to(8,0)
$$
$$
(4,2)\to(0,6)
$$
--平面ベクトルで図示してみると...[[アニメーション>https://www.geogebra.org/m/dvkhugbg]]

-社会的再生産という概念の現実性
--2つの生産過程で考えたことを、一つの国全体の大きな経済に重ねてイメージしてみよう。
//--質問&number(,1);. [[2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?>tus2:2018年度/第8講/質問6]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?>question:lec=8&qst=6&situmon=2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?]]
---[[回答:>http://tus.gken.jp/QandA/answer.php?lec=8&qst=6]]
---[[回答:>answer:lec=8&qst=6]]

//-これは講義内容とは関係ありません。新しい回答フォームの[[実験>http://www.gken.sakura.ne.jp:8080/]]です。

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