#author("2019-02-19T22:34:21+09:00","default:obata","obata")
#author("2020-10-11T17:03:21+09:00","default:obata","obata")
[[前回>2018年度/冬学期第8講]]<<冬学期第9講>>[[次回>2018年度/冬学期第10講]]
//-[[前回までの得点ポイント>2018年度/冬学期point]]
--「質問」への「回答」にポイントを与えます。
--ポイントは30ポイントを上限とします。
--達成度判定試験 を70ポイントとして、合計100ポイント=100点で「成績表記」をします。

*純生産物の分割・剰余生産物 [#b1b63023]
今回のテーマは
+「投下労働量」の計算
+ %% 純生産物の分割%% &color(red){次回に};

**投下労働量 [#l3e337f5]
-Def: 商品を「生産する」のに直接、間接に必要な労働量(単位は時間)
--間接に≡原材料の生産に必要な
--直接に≡原材料を加工するのに必要な
//--''質問''&number(,1);. [[いま着ているシャツを生産するのに何分かかるか、アバウトでよいので答えてください。そして、どうしてそのくらいの時間だろうと推測したのか、も答えてみてください。>tus2:2018年度/第9講/質問1]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[いま着ているシャツを生産するのに何分かかるか、アバウトでよいので答えてください。そして、どうしてそのくらいの時間だろうと推測したのか、も答えてみてください。>question:lec=9&qst=1&situmon=いま着ているシャツを生産するのに何分かかるか、アバウトでよいので答えてください。そして、どうしてそのくらいの時間だろうと推測したのか、も答えてみてください。]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=1]]
---&color(navy){回答をみて、この質問文に難点があるのに気づきました。「生産するのに何分かかるか」というのがミスリーディングでした。せめて「生産するのに何分&color(navy,red){の労働時間が};かかるか」ときくべきでした。};
---&color(navy){講義時間中に回答をみて、急遽、「生産期間」と「労働時間」の違いについて、説明を補足しました。};
---&color(navy){たとえばウィスキーの醸造では17年も寝かすものもありますが、その間、労働はおこなわれません。生産に必要な労働時間は仕込みと蔵出しに集中します。};
---&color(navy){「生産」と「労働」は違う(概念的には直交関係にある)ことを説明しましたが、ここではそれが「生産期間」と「労働時間」の違いとして、目に見えるかたちで現れています。};&br;
&new{2018-11-18 08:02:07};

-Aim: 純生産物の分割の「計量」

***単一生産物の場合 [#pb1a3713]
-注意:大きな再生産構造をもつ経済を念頭におくこと(「一国経済」「国民経済」((ただし、肝心な、これから考えようとしている、「集計問題」の考察が欠落している「マクロ経済学」といっしょにしないこと。)))
-「単一生産物」であれば異なる商品のセットを集計するという難題は、ひとまず回避できます。ひとまずこれでアウトラインをイメージしておきます。
-「小麦」の経済:19世紀のイギリスの経済学者たち(古典派経済学)が愛用したモデルです。
--「小麦」は、生産手段 かつ 生活消費物資(生活手段)です。両方になりるので、「集計問題」なしに一国の再生産モデルを描けるメリットがあります。
-前提:(単位を1億倍しておーきなスケールの経済をイメージしてください)
>
+小麦2キロ → 小麦4キロ :技術的確定性がある「生産過程」
+コントロールに必要な労働量: 5時間
+以下、これを
>
#mathjax(小麦2キロ + 労働5時間 \to  小麦4キロ \cdots\cdots (1))
< 
と表記します。
--&mathjax{(((小麦2キロ) \gets 労働5時間 ) \to 小麦4キロ)}; です。小麦と労働は合算できません。
--小麦2キロの投下労働量であれば、これをコントロールして4キロを''粗''生産する5時間の労働と合算することはできます。
<
//--''質問''&number(,1);. [[ 小麦1キロの投下労働量を &mathjax{t}; とおき、&mathjax{小麦2キロ + 労働5時間 \to 小麦4キロ};を&mathjax{t};を未知数とする方程式で表し、&mathjax{t};を求めなさい。>tus2:2018年度/第9講/質問2]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[小麦1キロの投下労働量をt とおき、小麦2キロ + 労働5時間 →小麦4キロ をtを未知数とする方程式で表しtを求めなさい。>question:lec=9&qst=2&situmon=小麦1キロの投下労働量をt とおき、小麦2キロ + 労働5時間 →小麦4キロ をtを未知数とする方程式で表しtを求めなさい。]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=2]]
***「''純''生産」に必要な労働量 [#l352db4b]
-(1)の粗生産物は4キログラムの小麦だが、このうち、2キログラムは次回の原料となる。原料として使われた2キロを次回の文として取り戻すことを「補填」とよぶ。
-&mathjax{粗生産物=補填部分 + 純生産物};
-5時間の労働は、純生産物を生産する(「純生産する」)のに用いられたと考えると、
- &mathjax{5時間 \to xキロの小麦};となる。&mathjax{t=5/x}; となることを確かめよ。
-定理:&mathjax(color : red ; font-size : 150%){投下労働量 \equiv 純生産に必要な労働量};
--単一生産物の場合は自明。

***複数生産物の場合 [#k0876e0c]
-複数の生産手段のセット(行列)と複数の生産物のセット(行列)をスカラーに集計して評価する必要が生じます。
「集計問題」です。
-「小麦」と「鉄」の経済:「1を聞いてnを知る」のは無理ですが、「2を聞いてnを知る」ことはできます。洞察力 insight があれば ...
-重要な仮定
>
+''技術の一定性'' 一定の生産方法が継続する。生産方法の変更がないケースである。
+''規模の伸縮性'' 同じ生産方法 &mathjax{input \to output}; で生産規模を拡大縮小できる。 &mathjax{input\times 2 \to output \times 2};
<
-この仮定のもとで、次のようなケースを想定してみます。
#mathjax(\begin{equation}\begin{cases} 小麦~ 2 + 鉄~ 3 + 労働~6 \to 小麦~ 8 \cdots\cdots (2)\\ 小麦~ 4 + 鉄~ 2  + 労働~4 \to 鉄~ 6 \cdots\cdots (3)\end{cases}\end{equation})

-''投下労働量''アプローチ
//--''質問''&number(,1);. [[小麦、鉄 各1キロの投下労働量を &mathjax{t_1, t_2};とする連立方程式をたて、それぞれの値を求めよ。>tus2:2018年度/第9講/質問3]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[小麦、鉄 各1キロの投下労働量を t_1, t_2とする連立方程式をたて、それぞれの値を求めよ。>question:lec=9&qst=3&situmon=小麦、鉄 各1キロの投下労働量を t_1, t_2とする連立方程式をたて、それぞれの値を求めよ。]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=3]]

-''純生産''アプローチ
--小麦の再生産の例では、純生物と粗生産物の区別は簡単だが、
--小麦と鉄を原料に、小麦や鉄が生産される関係では、ちょっと面倒になる。
//--質問&number(,1);. [[(2),(3) の生産規模を&mathjax{q_1, q_2};倍して、小麦1キロが純生産されるように連立方程式をたてて、&mathjax{q_1, q_2};を求めよ。>tus2:2018年度/第9講/質問4]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[(2),(3) の生産規模をq1, q2倍して、小麦1キロが純生産されるように連立方程式をたてて、q1, q2を求めよ。>question:lec=9&qst=4&situmon=(2),(3) の生産規模をq1, q2倍して、小麦1キロが純生産されるように連立方程式をたてて、q1, q2を求めよ。]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=4]]
-生産規模を変化させると、(2),(3)の 労働量も比例的に増減する。
//--質問&number(,1);. [[小麦1キロを純生産するのに必要な労働時間&mathjax{x_1};を求めよ。>tus2:2018年度/第9講/質問5]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[小麦1キロを純生産するのに必要な労働時間x1を求めよ。>question:lec=9&qst=5&situmon=小麦1キロを純生産するのに必要な労働時間x1を求めよ。]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=5]]

-純生産の図解:
-- input を負、output を正 として生産方法をベクトルで表示すると
#mathjax((-2,-3)\to(8,0))
#mathjax((-4,-2)\to(0,6))
--平面ベクトルで図示してみると...[[アニメーション>https://www.geogebra.org/m/dvkhugbg]]

-線形代数
--あとは、線形代数の世界。ただ、この講義では、経済学としての基礎的な考え方のほうにポイントをおく。
>
#region
-行列やベクトルをつかって表記すると簡素化できる。
#mathjax(\begin{equation}\begin{pmatrix}2&3\\4&2\end{pmatrix}  \to  \begin{pmatrix}8&0\\0&6\end{pmatrix}\end{equation})
という問題は
#mathjax(A= \begin{equation}\begin{pmatrix}1/4&3/8\\2/3&1/3\end{pmatrix}  \to  E = \begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}\end{equation})
に「標準化」できる。
-投下労働量アプローチ
#mathjax(\bm t = \begin{pmatrix}t_1 \\t_2\end{pmatrix}, \;\bm l = \begin{pmatrix}6\\4\end{pmatrix})
として、「投下労働量」は以下の連立方程式の解となる。ただし E は単位行列。
#mathjax(A\bm t + \bm l = \bm t\\ \bm l = E \bm t -A\bm t \\\therefore t=(E-A)^{-1}\bm l)
-縮尺行列Qを用いた純生産アプローチ
#mathjax(Q=\begin{pmatrix}q_1&q_2\\q_1'&q_2'\end{pmatrix})
純生産物&mathjax(E-A)をQ倍に拡縮した結果、それが単位行列になる。
純生産物&mathjax{(E-A)};をQ倍に拡縮した結果、それが単位行列になる。
これが、&mathjax{ (q_1,q_2) };で小麦だけが1キロ純生産され、
&mathjax{(q_1',q_2')};で鉄だけが1キロ純生産されるケースにあたる。
#mathjax(Q(E-A) = E \\Q=(E-A)^{-1}, \\\therefore Q~\bm l=\bm t)
#endregion

#mathjax(\left[\begin{matrix}2 & 3\\4 & 2\end{matrix}\right])
<
-「社会的再生産」という概念の現実的意味
--2つの生産過程で考えたことを、一つの国全体のような、大きな経済に広げてイメージしてみよう。
//--質問&number(,1);. [[2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?>tus2:2018年度/第9講/質問6]]
--&color(white,navy){ 質 問  }; ''&number(,1); '' . [[2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?>question:lec=9&qst=6&situmon=2つの生産過程を組み合わせて、ある1種類の生産物だけを純生産することができるという命題は、現実には何を意味するのか?]]
---[[回答:>answer:lec=9&qst=6]]

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