CENTER:[[前回>2018年度/第12講]]<<第13講>>[[次回>2018年度/第14講]] *概要 [#q330fddf] **市場構造の変形 [#ma8e272e] 前回、駆け足で説明した[変形」理論について、別角度で、解説します。 前回のこの部分、復習しておいてください。 **資本の概念 [#l0d565fc] -単純な転売 G -- W -- G' より、一歩進んだ「資本」の概念について解説します。教科書の79-83頁を読み、「運動体」とはなにか、考えておいてください。 - 「100円で買った缶ジュースを120円で売った。この100円が資本である。」というのが、プリミティブな規定。 -120円になった瞬間に、120円は資本ではなくなるのか。NO, これも資本 -買った缶ジュースは資本ではないのか。NO. これも資本 -物的存在視としての缶ジュースが、資本なのか?NO. -じゃ、何が? #region 商品としての缶ジュースがもつ、商品としての属性である、 &color(red){価値};が、資本のレイアに属し、資本として機能するのです。 #endregion -G--W--G' で完結するのか? NO. -なぜ? #region --殖やすこと自体が目的だからです。 --W--G--W'と比べてみれば違いは一目瞭然。こっちは、買った商品を使うことが目的。買った商品は、市場の外にでて、財として消費されるのです。 --そもそも 売る W--G のときには、W'がきまっているわけでありません。さしあたり、Gにしておいて、あとから何を買うか、きめるのです。 --他方、G -- W -- G'では、すでに売ることを想定して、買うのです。商品 Wは手段です。ここで休むことはありません。 --貨幣 G もまた、どこまでいっても、市場のなかを current する存在であり、消費されることはありません。 #endregion - G --- W --G' -- ... と、エンドレスで、かたちを変えることを「運動体」とよぶのです。 -では、この「かたち」って、なんのかたち?商品のかたち、貨幣のかたち?.... NO. - G --- W --G' -- ... と、エンドレスで、''かたち''を変えることを「運動体」とよぶのです。 -では、この「かたち」って、なんのかたち?商品の''かたち''、貨幣の''かたち''?.... NO. -資本は、なにかが、その「かたち」を変える運動体だ、というとき、 --「商品のかたち」を変えるでも、 --「貨幣のかたち」を変える、 でも、意味が通じないでしょう。もう一度ききます、なんの「かたち」でしょう? #region 商品も、貨幣も、ともにもっている属性、つまり&color(red){価値};の「かたち」です。 #endregion -したがって、資本とは、 #region 価値が(主語は価値です!)、その大きさをふやすことを目的にして、そのかたちを変える、エンドレスの運動体である 価値が(主語は価値です!)、その大きさをふやすことを目的にして、その''かたち''を'''変える'''、エンドレスの運動体である #endregion というのが定義になります。 -この「かたち」には、商品価値の表現の「かたち」、すなわち価値形態 Wertform value form と、一般に混同されています。きちんと区別できるひとはけっこう希です。問題57の解説を読んでみてください。この解説の最後は、まだ、ちょっと問題があります。資本における、価値の「かたち」も、商品価値の現象形態も、ともにForm の訳だ、といっているようですが、これは誤り。ほんとうは、 -この「かたち」には、商品価値の表現の「かたち」、すなわち価値形態 Wertform value '''form''' と、一般に混同されています。きちんと区別できるひとは希です。問題57の解説を読んでみてください。この解説の最後は、まだ、ちょっと問題があります。資本における、価値の「かたち」も、商品価値の現象形態も、ともにForm の訳だ、といっているようですが、これは誤り。ほんとうは、 #region --対応関係は ,商品価値,現象形態, Form, &color(red){form};, 形態, &color(red){かたち}; ,資本価値,姿態変換, Gestalt, &color(blue){shape};, 姿態, &color(blue){すがた}; --英語の form と shape の違い、説明できますか。日本語の、すがた、かたちは、私のアイデアです。 #endregion です。 -経済学では、定義が曖昧なまま、日常言語で、複雑な現象を語るため、混乱がはなはなしい。ユークリッドの幾何学原理までではゆかなくても、学問の基礎の基礎は、紛れのない用語法を確立することです。点や線の定義を与えられず、厳密な推論(理論的説明)ができず、いわば、三角形の内角の和が180であることを、図を書いて説明するようなレベルを、経済学の原理論は、いつまでたっても卒業できずにいます。 -経済学では、定義が曖昧なまま、日常言語で、複雑な現象を語るため、混乱がはなはなしい。ユークリッドの幾何学原理とまでではゆかなくても、学問の基礎の基礎は、紛れのない用語法を確立することです。点や線の定義に相当する基本的な定義を与えられず、そのため厳密な推論(理論的説明)もできず、いわば、三角形の内角の和が180であることを、図を書いて説明するようなレベルを、経済理論は、いつまでたっても卒業できずにいます。 -典型的な混乱は、貨幣と資本の区別がハッキリつかない、ことです。 -- 貨幣は #region 支出(貨幣を投下するなどといってはいけません) #endregion するもの、 --資本は #region 投下(資本を支出するなどといってはいけません) #endregion するもの、です。 資本は、まず、某月某日に、貨幣いくら、商品いくらを、もうけるための元手にきめた、とノートに書くことで、投下されます。この元手は、明確な期日を指定した、ストックの額です。ここから、貨幣を支出すれば、費用が発生し、商品を売れば、収入が発生します。この販売と購買の繰り返しが一定期間の間に繰り返され、収入総額から、支出総額を引けば、もうけの額がでます。これは、資本価値が、そのすがたshapeを変えることから生じた、フローの累計額です。某月某日から、某月某日まで、という明確な期間が、必要条件となります。この差額は、キチンのとノートをつけていれば、元手の増加額と一致します。 資本は、まず、某月某日に、貨幣いくら、商品いくらを、もうけるための元手にきめた、とノートに書くことで、''投下''されます。この元手は、明確な期日を指定した、ストックの額です。ここから、貨幣を''支出''すれば、費用が発生し、商品を売れば、収入が発生します。この販売と購買の繰り返しが一定期間の間に繰り返され、収入総額から、支出総額を引けば、もうけの額がでます。これは、資本価値が、そのすがたshapeを変えることから生じた、フローの累計額です。某月某日から、某月某日まで、という明確な期間が、必要条件となります。この差額は、キチンのとノートをつけていれば、元手の増加額と一致します。 -資本というのは、実物レベルの規定でも、貨幣や商品といった個別アイテムのレベルの概念でもありません。価値に関する価値、メタ価値レベルの概念なのです。 -もっと簡単にいえば、価値に関する計算システム、です。 -もっと簡単にいえば、価値に関する''計算システム''です。 -こうした抽象的なレベルで、厳密な定義を与えた後で、実務の世界をみると、そこで実行されていることの基本原理が見えてきます。かなり難しい話をしましたが、あとは、スライドで、財務諸表との関連を説明します。 *配布物 [#x139fe47] -[[ハンドアウト>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/handout13.pdf]] &new{2018-07-12 10:51:20}; *参考 [#eecbc8b1]