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*概要 [#q330fddf]
**市場構造の変形 [#ma8e272e]
前回、駆け足で説明した[変形」理論について、別角度で、解説します。
前回のこの部分、復習しておいてください。

**資本の概念 [#l0d565fc]

-単純な転売 G -- W -- G' より、一歩進んだ「資本」の概念について解説します。教科書の79-83頁を読み、「運動体」とはなにか、考えておいてください。

- 「100円で買った缶ジュースを120円で売った。この100円が資本である。」というのが、プリミティブな規定。
-120円になった瞬間に、120円は資本ではなくなるのか。NO, これも資本
-買った缶ジュースは資本ではないのか。NO. これも資本
-物的存在視としての缶ジュースが、資本なのか?NO. 
-じゃ、何が?
#region
商品としての缶ジュースがもつ、商品としての属性である、 &color(red){価値};が、資本のレイアに属し、資本として機能するのです。
#endregion
-G--W--G' で完結するのか? NO. 
-なぜ?
#region
--殖やすこと自体が目的だからです。
--W--G--W'と比べてみれば違いは一目瞭然。こっちは、買った商品を使うことが目的。買った商品は、市場の外にでて、財として消費されるのです。
--そもそも 売る W--G のときには、W'がきまっているわけでありません。さしあたり、Gにしておいて、あとから何を買うか、きめるのです。
--他方、G -- W -- G'では、すでに売ることを想定して、買うのです。商品 Wは手段です。ここで休むことはありません。
--貨幣 G もまた、どこまでいっても、市場のなかを current する存在であり、消費されることはありません。
#endregion

- G --- W --G' -- ... と、エンドレスで、かたちを変えることを「運動体」とよぶのです。
-では、この「かたち」って、なんのかたち?商品のかたち、貨幣のかたち?.... NO. 
- G --- W --G' -- ... と、エンドレスで、''かたち''を変えることを「運動体」とよぶのです。
-では、この「かたち」って、なんのかたち?商品の''かたち''、貨幣の''かたち''?.... NO. 
-資本は、なにかが、その「かたち」を変える運動体だ、というとき、
--「商品のかたち」を変えるでも、
--「貨幣のかたち」を変える、
でも、意味が通じないでしょう。もう一度ききます、なんの「かたち」でしょう?
#region
商品も、貨幣も、ともにもっている属性、つまり&color(red){価値};の「かたち」です。
#endregion
-したがって、資本とは、
#region
価値が(主語は価値です!)、その大きさをふやすことを目的にして、そのかたちを変える、エンドレスの運動体である
価値が(主語は価値です!)、その大きさをふやすことを目的にして、その''かたち''を'''変える'''、エンドレスの運動体である
#endregion
というのが定義になります。
-この「かたち」には、商品価値の表現の「かたち」、すなわち価値形態 Wertform value form と、一般に混同されています。きちんと区別できるひとはけっこう希です。問題57の解説を読んでみてください。この解説の最後は、まだ、ちょっと問題があります。資本における、価値の「かたち」も、商品価値の現象形態も、ともにForm の訳だ、といっているようですが、これは誤り。ほんとうは、
-この「かたち」には、商品価値の表現の「かたち」、すなわち価値形態 Wertform value '''form''' と、一般に混同されています。きちんと区別できるひとは希です。問題57の解説を読んでみてください。この解説の最後は、まだ、ちょっと問題があります。資本における、価値の「かたち」も、商品価値の現象形態も、ともにForm の訳だ、といっているようですが、これは誤り。ほんとうは、
#region
--対応関係は
,商品価値,現象形態, Form, &color(red){form};, 形態, &color(red){かたち};
,資本価値,姿態変換, Gestalt, &color(blue){shape};, 姿態, &color(blue){すがた};
--英語の form と shape の違い、説明できますか。日本語の、すがた、かたちは、私のアイデアです。
#endregion
です。
-経済学では、定義が曖昧なまま、日常言語で、複雑な現象を語るため、混乱がはなはなしい。ユークリッドの幾何学原理までではゆかなくても、学問の基礎の基礎は、紛れのない用語法を確立することです。点や線の定義を与えられず、厳密な推論(理論的説明)ができず、いわば、三角形の内角の和が180であることを、図を書いて説明するようなレベルを、経済学の原理論は、いつまでたっても卒業できずにいます。
-経済学では、定義が曖昧なまま、日常言語で、複雑な現象を語るため、混乱がはなはなしい。ユークリッドの幾何学原理とまでではゆかなくても、学問の基礎の基礎は、紛れのない用語法を確立することです。点や線の定義に相当する基本的な定義を与えられず、そのため厳密な推論(理論的説明)もできず、いわば、三角形の内角の和が180であることを、図を書いて説明するようなレベルを、経済理論は、いつまでたっても卒業できずにいます。
-典型的な混乱は、貨幣と資本の区別がハッキリつかない、ことです。
--
貨幣は
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支出(貨幣を投下するなどといってはいけません)
#endregion
するもの、
--資本は
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投下(資本を支出するなどといってはいけません)
#endregion
するもの、です。
資本は、まず、某月某日に、貨幣いくら、商品いくらを、もうけるための元手にきめた、とノートに書くことで、投下されます。この元手は、明確な期日を指定した、ストックの額です。ここから、貨幣を支出すれば、費用が発生し、商品を売れば、収入が発生します。この販売と購買の繰り返しが一定期間の間に繰り返され、収入総額から、支出総額を引けば、もうけの額がでます。これは、資本価値が、そのすがたshapeを変えることから生じた、フローの累計額です。某月某日から、某月某日まで、という明確な期間が、必要条件となります。この差額は、キチンのとノートをつけていれば、元手の増加額と一致します。
資本は、まず、某月某日に、貨幣いくら、商品いくらを、もうけるための元手にきめた、とノートに書くことで、''投下''されます。この元手は、明確な期日を指定した、ストックの額です。ここから、貨幣を''支出''すれば、費用が発生し、商品を売れば、収入が発生します。この販売と購買の繰り返しが一定期間の間に繰り返され、収入総額から、支出総額を引けば、もうけの額がでます。これは、資本価値が、そのすがたshapeを変えることから生じた、フローの累計額です。某月某日から、某月某日まで、という明確な期間が、必要条件となります。この差額は、キチンのとノートをつけていれば、元手の増加額と一致します。
-資本というのは、実物レベルの規定でも、貨幣や商品といった個別アイテムのレベルの概念でもありません。価値に関する価値、メタ価値レベルの概念なのです。
-もっと簡単にいえば、価値に関する計算システム、です。
-もっと簡単にいえば、価値に関する''計算システム''です。
-こうした抽象的なレベルで、厳密な定義を与えた後で、実務の世界をみると、そこで実行されていることの基本原理が見えてきます。かなり難しい話をしましたが、あとは、スライドで、財務諸表との関連を説明します。
*配布物 [#x139fe47]
-[[ハンドアウト>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/handout13.pdf]] &new{2018-07-12 10:51:20};

*参考 [#eecbc8b1]

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