CENTER:[[前回>2018年度/第7講]]<<第8講>>[[次回>2018年度/第9講]] *概要 [#y2939c4f] 前回の銀行の話はまだ多くの人にとって未消化だったようですので、金貨幣と比べながら、もう一度ポイントをおさらいします。バランスシートの発想法も話したので、少しその応用でわかる[[トピック>https://toyokeizai.net/articles/-/223198]]にもふれてみます。 不換銀行券、そして預金通貨について理解できれば、これをもとに「仮想通貨」がどこまで貨幣といえるのか、考えてゆくことができます。 **仮想通貨 [#b3ecb1fa] ***仮想通貨のすがた [#mb8e9222] -ビットコインを例に見てみると、その実装のコアをなすのは > #region 公開キー:個別の送金の確認方法として&br; f(Data) --- > g(f(Data)) = Data, g(Data) -- > f(g(Data)) = Data となるf,gのうち、gを公開&br; #endregion #region ブロックチェイン:取引記録の安全性&br; フローのデータしかない。ストックはフローの連鎖をたどることでjustifyされる(かな)&br; hash(Data+N) = 0000abc.... になるNの発見に支払うかたちで、正当な取引だけからなるブロックを作成・検査。一種の流通費用によって仮想通貨の額は、10分単位で[[リニアに増加>https://blockchain.info/ja/charts]]。&br; #endregion #region P2P : 全ノードで同一データを分散保有(共有)&br; #endregion < の3つ。 ***貨幣論からみた特徴 [#p2e24ce7] -経済理論の貨幣論に対して無関心な設計になっている -「貨幣とは何か」という問題は money is money という答え -貨幣の「機能」が中心で、それに先行する貨幣の本質論を欠く。 -「実装された」既存の貨幣に対して、代替のメリットを主張 -その結果、経済学における貨幣論からみると次のような特殊性(欠陥)が目につく。 > #region 価値表示という第一規定を欠く(仮想通貨の単位で価格表示することの困難&br; 円で値付けされ売買された後の支払手段として仮想通貨は登場 #endregion #region 仮想通貨の量が売買に対応して増減する関係がビルトインされていない。&br; 時間の経過に比例して、増加してゆくという硬直性 #endregion #region ブロックチェインの記録台帳は、フローの記録の連鎖。ストックのデータはない。&br; 銀行の通帳のような「残高」記録は存在せず、支出関係から逐次算定して、支払能力を算定。 #endregion < ***仮想通貨の貨幣性・非貨幣性 [#a966285c] -仮想通貨は商品貨幣か? > #region 典型的なフィアット・マネー。&br; それゆえ、独立で商品価値の表現はできない。BTCで値付けはできない。円で取引した後の送金(支払)手段。&br; 送金と支払の関係。決済機能をもたせうるか? #endregion < -その基本機能(可能性としての)は > #region 送金。&br;国際間では「全銀システム」のような送金システムは存在しない。 #endregion < にかぎられる。 -それでも仮想通貨が「流通」するのは > #region 信用貨幣の「堕落」(フィアット・マネー化) &br; 国際通貨としてキーカレンシーが弱体化。円 --> ドル --> 元、元 -->ドル-->ユーロというハブの位置にたつドルに問題。&br; しかし、BTCは、転送の媒体、送金手段。どこまでもいっても、決済手段にはならない。 #endregion < のため。 *配布物 [#x139fe47] -[[ハンドアウト>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/beamer8.pdf]] &new{2018-05-30 00:31:50}; *参考 [#eecbc8b1] -[[ビットコインデータ>https://blockchain.info/ja/charts]]