#author("2019-07-18T10:38:44+09:00","default:obata","obata") #author("2019-07-19T07:05:19+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回>2019年度/第11講]]<<第12講>>[[次回>2019年度/第13講]] CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 資本について(4) };}; ------ #qanda_who ~ #qanda_setstid(2019-07-011 16:10:00,90) ------ **復習問題 [#t38d4ab0] 前回の問題10-8にはミスタイプがありました。 #divregion(訂正した問題です) #qanda_set_qst(12,1,0){{ <ol> <li> xx年1月1日に100万円を投下した。</li> <li>2月1日に商品Wを40万円で買った。</li> <li>3月1日商品W'を20万円で買った。</li> <li>4月1日商品W'を30万円で売った。</li> <li>4月1日商品W'の倉庫代(保管費)5万円を支払った。</li> <li>5月1日商品Wを50万円で売った。</li> <li>5月1日商品W'の倉庫代(保管費)5万円を支払った。</li> <li>6月末日を迎えた。 </ol> さてこの半年の利潤率は? }} #qanda(12,1) #enddivregion #divregion(訂正せずに考えてみます...) #qanda_set_qst(12,2,0){{ <ol> <li> xx年1月1日に100万円を投下した。</li> <li>2月1日に商品Wを40万円で買った。</li> <li>3月1日商品W'を20万円で買った。</li> <li>3月1日商品W'を20万円で買った。</li> <li>4月1日商品W'を30万円で売った。</li> <li>4月1日商品W'の倉庫代(保管費)5万円を支払った。</li> <li>5月1日商品Wを50万円で売った。</li> <li>5月1日商品W'の倉庫代(保管費)5万円を支払った。</li> <li>6月末日を迎えた。 </ol> <p>さてこの半年の利潤率は?</p> <p>3月1日の2回の購入をどう処理したかも説明してください。</p> }} #qanda(12,2) #enddivregion **概要 [#l95c618c] -前回予定していた「資本のもうけ方」について解説します。 -資本と利潤の理解がしっかりできたところで、''利子''について話します。 -利潤と利子の区別ができない人が多いのですが、 -今回の講義をきけば、区別と関係がハッキリするはずです。 -ただちょっとむずかしいので、問題を解きながらゆっくり進め、できなかった分は次回まわしにします。 *利潤と利子 [#f92f8cc5] ***貸借とは [#d6f39cd3] -利子は、''貸す''ことで発生します。 -が、そもそも'''「貸す」とはどういうことか?'''から考えてみましょう。 -貸されるモノがあり、一定期間たった、返すわけですが.... #qanda_set_qst(12,3,0){{ <p>「貸されるモノXと返されるモノYは<同じ>である。」</p> <p>真か偽か?<同じ>の意味について考えてみよ。</p> }} #qanda(12,3) ~ #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > +真です。 +土地を一定期間借りるということは、期限がきたら''同じ''土地を''そのまま''返すのです。 +ただし、「同じ」の意味は、「同種同量」という意味を含みます。 +米を借りてそれは炊いて食べてしまったら、もう借りた米と同一のものはありません。 +でも、返す米は食べてしまった米でなくても、同種同量のものがあればそれを返せばよいのです。 +ただし、この「''同じ''」は「''等しい''」ではありません。「''等しい''」米を返す、という意味は[[問題 4-1>2019年度/第4講#lend]]と[[問題 5-1>2019年度/第5講]]で説明しました。 +返すべきは「等価物」ではなくて、混ぜたら区別できなくなるという意味で''同種''の「同一物」です。 < #enddivregion ~ #qanda_set_qst(12,4,0){{ たとえば米を借りて味噌を返すというように、 「あるモノXを借りて、違うモノYを返す」ということは可能か。 }} #qanda(12,4) ~ #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > +不可能です。 +これはXとYの交換です。 +ただし、渡すのと受けとるのとに時間差がありますが。 < #enddivregion ***貸借と売買 [#b9414805] -つぎに''貸す''と''売る''の関係について考えてみましょう。 -貸し借りには、対価の支払が伴うものがあります。 -たとえば「ある土地を1年間借りて、地代を100万円支払った」というケースです。 #qanda_set_qst(12,5,0){{ <p>「地代100万円は、借りた土地のなにかが減少したのを埋め合わせる対価だ。」 (1000万円の土地を1年間貸すと、土地から100万円分のなにかが失われるのだ)</p> <p>これは真か偽か?理由も...</p> }} #qanda(12,5) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > +偽です。ありえません。 +借りたら同じモノを返すのです。もしもほんとに借りた土地が元の状態でなければ、元の状態にして返さなければなりません。 +元どおりにするのに費用がかかるなら、別途支払うべき補修費で、地代そのものではありません。 +借りた部屋ならもっとハッキリするでしょう。元どおりにして返す義務があります。敷金から差し引かれる分です。 < #enddivregion ~ #qanda_set_qst(12,6,0){{ <p>「地代は価格である」</p> <p>これは真か偽か? もし真なら、なにの価格か?</p> }} #qanda(12,6) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > +真です。 +地代は土地の一定期間の''利用権''の価格です。 +土地の価格ではありません。 +土地そのものは元の状態にして返すのですから、土地は&mathjax{1m^2};も買っていません。 < #enddivregion -貸借に伴う対価を''賃料'' =レントとよびます。 -レントをとって貸すのがレンタルです。 -要するに賃料を支払って''借りる''ということは、 #divregion(....することと同じだ。,admin) > -用益権を''買う'' < #enddivregion ***貨幣の貸借 [#a183fb73] -最後に貨幣を借りることについて考えてみましょう。 #qanda_set_qst(12,7,0){{ <p>「利子は価格である」</p> <p>これは真か偽か? もし真なら、なにの価格か?</p> }} #qanda(12,7) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > -真です。 -土地の貸借と同じです。 < #enddivregion ~ #qanda_set_qst(12,8,0){{ <p>「100万円を貸して1年後に110万円を返してもらった。」</p> <p>「100万円は1年間に10パーセント増えた。」</p> <p>これは真か偽か。</p> }} #qanda(12,8) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > -偽です。 -土地の貸借と基本は同じです。 -100万円は貸した現物です。同種同量、返してもらいます。 -利子の10万円は100万円の貨幣の1年間のレンタル料です。 -米100kgを貸して一年後に110kgを返してもらったとしても、100kgの米そのものが110kgに増えたわけではありません。 -経済理論のなかには、モノは時間とともに自然に増えるのだ、という仮定をおくものもありますが、根拠薄弱ゆえリジェクトします。 < #enddivregion #qanda_set_qst(12,9,0){{ <p>土地の貸借と貨幣の貸借で違う点は何か?</p> }} #qanda(12,9) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > -土地の場合は、返すモノ(土地の現物)と地代(一般に貨幣地代)が違うが -貨幣の貸借の場合は、返すモノ(元本)と利子(貨幣利子)が同じ貨幣である。 -このため、レントである利子は利子率というレートで表される。 -土地の場合は何パーセントの地代というかたちはとりえない。 -しかし、レートのかたちをとるのは貨幣だけではありません。米を借りて米を返すような同種同量型の貸借であれば可能です。 < #enddivregion #qanda_set_qst(12,10,0){{ <p>利子率も利潤率も、貨幣の増殖率を表すもので、利子率はその一般的なすがた、利潤率の特殊なすがたである。</p> <p>真か偽か。</p> }} #qanda(12,10) #divregion(ヒント,admin) #divregion(解答) > -偽です。 -利子は販売価格です。増殖率を示すものではありません。 -利潤は仕入れ原価と販売価格のマージンから流通費用を差し引いて算出されます。 -自分の貨幣を貸しても原価が定まりません。 -安い利子率で借りて、高い利子率で貸せば、いちおうマージンがでます。 -しかし、現代の銀行は単純に安く借りて高く貸して、利ざや=マージンを利潤の源泉にしているのではありません。 -銀行業資本の利潤については、冬学期に説明します。 -結論:貨幣を貸して利子をえることは、資本を投下して利潤をえることは、異なる活動である。 < #enddivregion