#author("2021-01-05T14:49:00+09:00","default:obata","obata")
#author("2021-01-05T14:49:53+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/冬学期/第7講]]&color(#447CFF){第 &size(32){8}; 講}; [[▷ 次回>2020年度/冬学期/第9講]]
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#qanda_setstid(2020-11-05 16:10:00,90)
#qanda_who
#qanda_points_chart
#qanda_points_hist

#qanda_set_qst(8,20,0){{
<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
<p>&#x2714; 前回学生証番号を登録した人で、今回、「氏名不詳」になっていた人は「再登録」と書いてください。</p>
}}
#qanda(8,20)
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CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;資本主義と労働&nbsp;};};
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*今日の目的 [#zdc67e2e]
-協業と分業の区別と関係を理解する。
-資本主義の経済は、どのような労働組織とフィットするのか、考える。

*資本主義 [#j6cbc945]
RIGHT:1 mini
#qanda_set_qst(8,1,0){{
<p>これまで、市場に一切ふれずに、労働そのものについて考えてきた。しかし、今日では市場と労働は不可分である。</p>
<p>では、労働と市場を結びつけるものはなにか?市場とは商品が売買される場であるという定義をふまえて、なにかを一語で示し、それが通常の商品売買のなににあたるか、答えよ。</p>
}}
#qanda_solution(8,1){{
<p>解答:</p>
<ul>
  <li>賃金</li>
  <li>商品の価格</li>
</ul>
<p>解説:</p>
<ul>
  <li>売られているのは、労働能力であり、労働力商品です。その価格が賃金です。</li>
  <li>売られる労働の量が、基本的に労働時間を基準にはかられるとき、1時間あたりの賃金、つまり時給を「賃金率」といいます。単価です。</li>
  <li>たとえば一日8時間はたらけば、賃金総額=賃金率×労働時間 gain = w × L のかたちになります。</li>
  <li>「賃金が上がる」というとき、本来の意味であれば、賃金率w があがることを意味するはずです。</li>
  <li>しかし、しばしば賃金所得 I がふえることを「賃金が上がる」といってしまうことも多いので、区別に注意しよう。</li>
  <li>個人の所得の場合はまだ混乱は少ないが、社会全体でたとえば、雇傭 L が増大して、賃金所得が増大することを「賃金が増えた」ということは多い。</li>
  <li>この意味では、賃金(率)がさがっても、賃金が増えることはあるわけです。</li>
</ul>
}}
#qanda(8,1)

RIGHT:2 mini
#qanda_set_qst(8,2,0){{
<p>「賃金」と似たことばに「報酬」がある。</p>
<p>両者が明確な<対>をなすのように、<賃金>と<報酬>の定義を与えよ。</p>
}}
#qanda_solution(8,2){{
<p>解答</p>
<ul>
  <li><賃金>は労働の外形に応じて支払われるもの</li>
  <li><報酬>は労働の成果に応じて支払われるもの</li>
</ul>
<p>解説</p>
<ul>
  <li>時給1000円で8時間はたらけば<賃金>は8000円。</li>
  <li>8時間の生産物が多くても少なくても、あらかじめ決めたレートとで支払われるのが<賃金></li>
  <li>1個あたり80円という出来高賃金であれば、100個生産したら8000円。何時間かかろうと、賃金はあらかじめ決めたレートできまる。</li>
  <li><報酬>は労働の成果を評価してた結果で額がきまる。</li>
  <li>はじめに<報酬>の額が決まっているのではなく、後から成果に応じて額を決めるもので「報償金」「謝礼金」も含む。</li>
  <li>資本主義のもとで、労働に対して支払われるのは原則「賃金」だが、現象としては「報償」の色合いが多かれ少なかれついてまわる。</li>
  <li>食べた料理がうまかろうとまずかろうと、値段は同じ。これは、料理が完全に商品になりきっているか。</li>
  <li>でもうまかったら、ちょっとチップを... というときには、謝礼を支払っているわけ。</li>
  <li>労働も、よく働こうとサボろうと(うまかろうとまずかろうと)、1時間は1時間、という場合は、完全に商品になりきっていることになる。</li>
  <li>売買されているのは、1時間という外形をもった労働力という能力であり、それをどう使うか(料理して食べるか)は買ったものの自由。</li>
  <li>このようの完全に商品になりきった労働力を、労働力商品とよび、その単位あたりの価格を「賃金率」という。時間単位でうられるのであれば、時給1000円というのが労働力商品の価格。</li>
</ul>
}}
#qanda(8,2)

*協業と資本主義 [#y48711d1]
RIGHT:2 mini
#qanda_set_qst(8,3,0){{
<p>「資本が賃金労働者をつかって生産をおこなう資本主義の労働組織は、協業を基本とする。」</p>
<p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda_solution(8,3){{
<p>解答</p>
<p>真</p>
<ul>
  <li>資本は賃金を支払うことで、多数の労働者を集め、集団力を自由に手に入れることができるから。</li>
</ul>
<p>解説</p>
<ol>
  <li>一人ひとり分散した個別労働者が、たとえ、同じ道具、同じ技術で同じものを生産できたとしても、資本はこれらの労働者を賃金を支払って集めることできれば、組織化することでプラスアルファの集団力を手にすることできます。</li>
  <li>資本主義の初期の段階では、実際に、同じような技術水準にありながら、家内工業をおこなう独立の小生産者たちを、工場生産をおこなう資本主義的企業が打ち負かしていったのです。</li>
</ol>
}}
#qanda(8,3)


#divregion(協業・分業, lec=7 , qnum=3 ,admin)
#qanda_raw{{
    <div id="coOP-DoL"></div>
    <script src="https://unpkg.com/konva@7.0.7/konva.min.js"></script>
    <script src="./js/konva/coordinate.js"></script>
    <script src="./js/konva/default.js"></script>
    <script src="./js/konva/2020/coOP-DoL.js"></script>
}}

#enddivregion


RIGHT:2 mini
#qanda_set_qst(8,4,0){{
<p>資本主義では、個別資本の生産規模が大きくなる傾向があるが、その最大の原因は協業による集団力の利用にある。</p>
<p>真か偽か。</p>
}}
#qanda_solution(8,4){{
<p>解答</p>
<p>偽</p>
<ul>
  <li>集団力の利用は、各資本の生産規模が大きくなる原因の一つであるが、最大の要因は機械装置など生産設備の巨大化による。</li>
</ul>
<p>解説</p>
<ul>
  <li>集団力の利用は、技術水準に格差のない小生産者との競争では有効にはたらくが、</li>
  <li>生産規模が大きくなる主たる要因は、やはり生産技術の格差にある。</li>
  <li>紡績織布や鉄鋼など、均質な生産物を大量に生産する産業では、巨大装置が有効で、大規模工場が中小工場を淘汰してきた。</li>
</ul>
}}
#qanda(8,4)

*分業と資本主義 [#ibc57e82]
RIGHT:3 mini
#qanda_set_qst(8,5,0){{
  <p>スニーカーをつくっている工場で10人の職人が1日に1400足生産している。しかし、スニーカー生産には多くのエ程があり,そのうち,材料を運んできたり,製品を包装したり,後片づけをしたりする工程は職人でなくてもできる。職人がやっていたこれらの工程を8人の補助労働者にまかせれば,職人を4人に減らしても1日1400足が生産できる。</p>

  <p>職人の日当は28000円だが,補助労働者の日当は7000円である。職人だけのケースAと,職人と補助労働者によるケースBを比較して,次の問いに答えよ。</p>

  <ol>
    <li>ケースAとケースBそれぞれの1人あたりの1日の生産量を求めよ。</li>
    <li>ケースAとケースBそれぞれの1足あたりの日当を求めよ。</li>
  </ol>
}}
#qanda_solution(8,5){{
  <p>解答</p>
  <ol>
    <li>1400足 ÷ 10人 = 140足/人, 1400足 ÷ (10-4+8)人 = 100足/人</li>
    <li>(28000 × 10) ÷ 140足 = 2000円/足, (28000 × 6 + 7000 × 8) ÷ 100足 = 1600円/足</li>
  </ol>
}}
#qanda(8,5)

RIGHT:3 mini
#qanda_set_qst(8,6,0){{
  <p>6-1と7-1の分業を比較して、「分業は専門化を通じて労働者のスキルを向上させることで生産力を高める」という命題を評価せよ。
}}
#qanda_solution(8,6){{
  <p>解答</p>
  <ul>
    <li>専門化によるスキルの向上がなくても、作業を細分化し低賃金労働を導入しすれば、コストダウンできる可能性がある。</li>
    <li>資本主義における分業の重要な効果は、生産力の上昇より、アウトソーシングによる低コスト化にある。</li>
  </ul>
}}
#qanda(8,6)

#divregion(バベッジの原理, lec=8 , qnum=6 ,admin)

#qanda_raw{{
    <div id="dol_babbage"></div>

    <script src="./js/konva/2020/dol_babbage.js"></script>
}}

#qanda_konva{{

  const layer = new Konva.Layer();

  // 背景を塗り分ける
  // 上半分
  layer.add(
    new Konva.Rect({
      x:0,
      y:0,
      width:konvaContainer.width,
      height:konvaContainer.height,
      fill: 'hsla(80,20%,70%)',
    })
  )
  // 左下
  layer.add(
    new Konva.Rect({
      x:0,
      y:konvaContainer.height/2,
      width:konvaContainer.width/2,
      height:konvaContainer.height/2,
      fill: 'hsla(120,20%,70%)',
    })
  )
  // 右下
  layer.add(
    new Konva.Rect({
      x:konvaContainer.width/2,
      y:konvaContainer.height/2,
      width:konvaContainer.width/2,
      height:konvaContainer.height/2,
      fill: 'hsla(240,20%,70%)',
    })
  )

  const O = new Coordinate(0,0); //原点

  const shiftCloud = -150;
  // main API:
   var imageObj = new Image();
   var moyamoya = new Konva.Image({
     x: O.x,
     y: O.y + shiftCloud,
     offsetX: 200,
     offsetY: 100,
     width: 400,
     height: 200,
     draggable: true,
   });

   imageObj.onload = function () {
     moyamoya.image(imageObj);
     // add the shape to the layer
     layer.batchDraw();
   };
  imageObj.src = './assets/moyamoya.png';

  moyamoya.on('dblclick', function () {
            moyamoya.width(200);
            moyamoya.height(100);
          });
  moyamoya.on('click', function () {
            moyamoya.width(400);
            moyamoya.height(200);
          });

  layer.add(moyamoya);


  // unskilled を表す長方形をクラウドのなかにバラまく
  const unskilled = new Konva.Rect({
    x: moyamoya.attrs.x,
    y: moyamoya.attrs.y,
    stroke: 'black',
    width: 20,
    height: 10,
    draggable:true,
  });

  for(let i = 0; i < 12 ; i++){
    layer.add(
      unskilled.clone({
        offsetX:  -70 + Math.random()*140,
        offsetY:  -35 + Math.random()*70,
        fill: Konva.Util.getRandomColor(),
        draggable:true,
      })
    )
  }

  ///////// 以上に追加 /////
  // add the layer to the stage
  stage.add(layer);

}}
#enddivregion

RIGHT:5 mini
#qanda_set_qst(8,7,0){{
  <blockquote>
    <p>市場が広がれば(A)が発達する。マーケットが広がれば買い手はみつかるから、かなり特殊な部品に特化しても割りにある。資本主義は市場志向の資本が中心になる経済だから、当然、分業とも相性がよい。</p>
    <p>他方、資本は労働者を集め、集団力を利用するのに優れている。どんなにがんばっても、同じモノをつくっているかぎり、個人の労働で集団力に太刀打ちするのはむずかしい。資本主義の生産は実は意外に(B)と相性がよいのだ。</p>
    <p>ということで、これまで資本主義の労働組織は(B)にもとづく(A)が基本だった。しかし、今日の情報通信技術の発達は、この基本的なあり方にインパクトを与えてる可能性を秘めている。</p>
    <p>一方では「集まる」傾向をどんどん強め、共通のコミュニケーション手段をベースにした巨大企業をうむ。他方では、「分かれる」傾向を強め、なにも工場やオフィスに集まらなくてもはたくことはできそうだ。(B)にもとづく(A)を基礎としてきたこれまでの資本主義は大きく変わろうとしている。</p>
  </blockquote>
  <p>(A)(B)は?</p>
  <p>「集まる」傾向、「別れる」傾向、それぞれある、などという、この優等生的な答案で良しとせず、どっちが基本か、なぜそうなのか、答えてください。</p>
}}
#qanda_solution(8,7){{
  <p>解答</p>
  <ul>
    <li>(A)分業、協業</li>
    <li>「インターネットを介して「集まる」ことではじめて意味をもつ土台プラットフォームは、本来共有され、やがてフリーになる。地球環境や学問的な知識が、だれのものでもないのと同じ。そうなれば「分かれる」傾向はますます強まる。その結果、各自の個性に合わせ「分けて」自由に「結びつく」傾向が強まると信じます。」</li>
  </ul>
  <p>解説</p>
  <ul>
    <li>この解答を書いた人は、ちょっと楽観的すぎるかも。</li>
    <li>「個人の違いは見て目ほど大きいものではない。インターネットを通じて、人々は同じような反応を示す<ruby>大衆<rt>マス</rt></ruby>になり、ますますかぎられた標準に群れるようになる。みんな同じようなものをつかうことで安心し満足する、つまらない社会になってゆく。」などと、逆をゆく人もいるでしょう。</li>
  </ul>
}}
#qanda(8,7)

**今日のまとめ [#u351b055]
#divregion(まとめ, lec=7 , qnum=7 ,admin)
-協業と区別された分業とは、労働の成果であるモノを媒介とした間接的な労働の結びつきである。
-作業を分け特化することで、分業は一方で労働を「標準化」すると同時に、かぎられた範囲で各自のスキルを向上させる。
-資本は、労働を集め集団力をつくりだすと同時に、市場で売買される商品種類をふやすことで分業のメリットも享受してきた。
-コンピュータサイエンスとインターネットの発達に代表される近年の情報通信技術は、これまで資本が支配してきた労働組織のあり方に変化を促す大きな可能性を秘めている。
#enddivregion

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