#author("2020-08-06T08:07:02+09:00","default:obata","obata") #author("2020-08-06T08:07:37+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/夏学期/第12講]]&color(#447CFF){第 &size(32){13}; 講}; [[▷ 次回>2020年度/夏学期/第14講]] ---- #qanda_setstid(2020-07-30 16:10:00,90) #qanda_who //#qanda_points_chart ----- CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 市場の中心軸としての資本};}; ---- *講義予定 [#pb85f2ff] -一回分遅れています。第12講の内容からはじめます。教科書 86-95ページ。。 ---- *三つの市場観 [#ab90af13] **間接的物々交換 [#nd3d3892] #ref(microGE.png,,,60%) #divregion(ミクロ経済学一般均衡論) -(貨幣)は一般均衡価格を決めるための暫定的な尺度 ニュメレール -どの財でも(貨幣)になれる。 -いったん一般均衡価格が成立したら(貨幣)はいらない。 -すべての財に関して需要と供給が一致しているのだから、 -欲しい財の持ち主に、一般均衡価格(交換比率)で交換を申し込めば、 -喜んで交換してくれる。 -交換した財が欲しい財でなければ、同じように欲しい財の持ち主に申し込めばOK -そして最後には、すべての財が市場から消える。 -美しいお伽噺...でもこれってホンマっかいな。 #enddivregion **商品所有者だけの市場 [#a8f2f78e] #ref(2020年度/夏学期/第9講/W-G-W.png,,,60%) #divregion(ふつうは...) -通常の市場観は W--G--W' によるもの -貨幣を仲立ちにして -不用なWを必要なW’と -間接的に交換。 -100円で売って100円で買う「等価交換」。 -もちろん、だれだって、もっと安く買いたい、高く売りたいと思うだろうが、 -そうした競争の結果、「等価交換」になってしまう、それでも.....だからいいじゃないか、 というのが「ふつうは...」の市場観。 -「.....だから」というのは、「価値」の面では何の得もないけど「使用価値」の面では得になるから、ということ。 #enddivregion **商人が中心の市場 [#rb4da4cf] #ref(G-W-G-market.png,,,50%) #divregion(ホントは .....) ***うえの図の見方 [#ib923100] --商品Wを売って商品W'を買う W -- G -- W' という商品売買は > +資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G'' にWを売り、 +資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G'' から W' を買う < かたちになる。 --図では、中心をなす資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G''-- は一つだが、 --多数の資本をまとめて一つにしたものと理解すべし。 ***市場のリアル [#m75cf796] -市場のリアルは、カネもうけ。 -安く買ったり、高く売ったりしたいという動機自体は W--G--W'でもはたらく。 -でも、安く買ったり、高く売ったりを、バラバラにおこなうのではなく、 -二つをキチンと結びつけて、はじめから&ruby(マージン){差 額}; ネライで、転売を繰り返す。 -別に買った商品が自分に役だつから買うんじゃない。 -「いいものをそろえてます」といったって、自身にとってはすこしも「いいもの」ではない。 -自分にはつまらないものでも、お客さんにとって「いいもの」。商売やるなら自分の好みは捨てろ。 -はじめからもうけ目当て、計算ずくで、取引しているのだ。 ***マイナスを怖れるな [#s8dad9ad] -さらに、差額を生みだすために、''積極的に流通費用を支出し''、これも勘定にいれ、 -はじめの元手の額(投下された資本)をトータルでふやすことが重要。 -転売を通じて資本の増殖をはかる主体を、広い意味で「商人」とよぶ。 -市場の中心にいつもいるのは「商人」。 ***リスクはあるが [#tbf57584] -もちろん、いつでもだれでも転売でもうかるという保証はない。 -しかし、市場の中心に、このような転売活動が存在しているはたしか。 -こころみに自分の持ち物を考えてみよ。たいてい「商人」から買っているはずだ。 -生産者どうしが互いに直接交換しているような市場はマレ。 ***リアルの意味 [#gcb0c0d6] -別にカネもうけがいいの悪いのといっているわけではない。 -これが市場のリアルだ、といっているだけ。 -リアルというのは、アレコレの個々の事実ではない。 -理論がもっているリアリティのこと。 -抽象化された全体像がもつリアリティ。 -いくらでも例外はある、というより、個々の事実はすべて例外。 -反例を1つあげれば棄却されるようなリアルではない。 -三角形の一般的定義と、黒板に描いた個々の三角形''もどき''の関係。 #enddivregion *まとめ [#m93caa73] *全体のまとめ [#m93caa73] #divregion(市場を組み立てる) -基礎の基礎から''組み立てる''ことが経済原論。 -出発点は財ではなく''商品''。 -商品には''価値''がある。 -商品が存在すればかならず、その価値を表現する''貨幣''が同時に存在する。 -ただし価値を表現することと、価値の大きさを「はかる」ことは別。 -表示された価格はいつでも変更できる。「はかる」のは販売による価格の確定。 -同じ価値をもつ同種商品でも、販売にはランダムな期間と経費がかかる。 -そのため「売ってから買う」だけではなく、売れるまえに買うさまざまな取引が派生し、 -「買って売る」転売を繰り返し増殖を目指す''資本''がうみだされる。 -「商品が在庫として存在し、貨幣でなんでもすぐに買える市場」は「商人が中心の市場」になる。 -これが、市場のリアル、リアルな市場である。 #enddivregion