#author("2020-05-29T07:51:47+09:00","default:obata","obata")
#author("2020-06-07T07:15:15+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/夏学期/第2講]]&color(#447CFF){第 &size(32){3}; 講};  [[▷ 次回>2020年度/夏学期/第4講]]

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#qanda_setstid(2020-05-21 16:10:00,120)
#qanda_who
-----
CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 商品の二要因 };};
----

//#qanda_set_qst(3,20,0){{
//<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
//<p>&#x2714; 前回学生証番号を登録した人で、今回、「氏名不詳」になっていた人は「再登録」と書いてください。//</p>
//}}
//#qanda(3,20)
&br;

*概要 [#f3b26f54]

-&color(red){①商品の特性を分析する};ことにより、
-&color(red){②貨幣の本質を明らかにする}; ことが課題です。


-今回もかなり抽象的で、たぶんむずかしい話をします。
-むずかしいといっても、考え方がちょっと馴染みにくいというだけです。
-すでに「知っている」と思っている用語を、厳密に定義しようとすると直面する困難です。
--ユークリッドの幾何学原理の公理や、ニュートン力学の質点の定義とか、思い浮かべてみてください。

**前回のまとめ: [#j8f1955b]

&new(){2020-06-07 07:06:00};
#divregion(モノ・財・商品のレイア)
-次のレイアの区別が参考になるかもしれません。
&br;
CENTER:次のレイア layer (層次)の区別が参考になるかもしれません。
|BGCOLOR(blue):COLOR(yellow):|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|>|>|>|>|BGCOLOR(yellow):↓ 物 象 層 ↓|
|>|>|>|>|BGCOLOR(yellow):↓ 物 理 層 ↓|
|モノ-モノ relation|>|>|モノ|Perception|
|人 - モノ relation|>|財|非財|Recogniton|
|人 - 人 relation|COLOR(red):''商 品''|非商品||Expression|
|人 - モノ relation|>|財|非財|Recogniton|
|モノ-モノ relation|>|>|モノ|Perception|
|>|>|>|>|BGCOLOR(yellow):↑ 物 理 層 ↑|
|>|>|>|>|BGCOLOR(yellow):↑ 物 象 層 ↑|

-直接目に見えない「人 - 人」レイアの商品の属性である「価値」(交換できるという性質)を
-目に見える「モノ-モノ 」レイアのモノの量(物量)で ''表現'' することを
-この講義では''レイア越え''とよんでみました。
-リンゴ1個+リンゴ2個 = リンゴ3個 というのは、「モノ-モノ 」 レイアのなので左辺と右辺は''同じ''といいます。
-リンゴ1個 = ミカン3個 は、''同じ''ではないが、レイアをまたいで  ''等しい'' のです。
-リンゴ1個の( A )は、ミカン3個という( B )に等しい、というわけです。
#region
-A 価値
-B 物量
#endregion
-このときミカンはただのモノではありません。
--それ自身価値をもったモノ(つまり商品です)で、
--しかも、その価値と物量が結びついています。
--この結合体を''等価物'' equivalent とよびます。
#enddivregion

*商品 [#b7c9acd3]

#qanda_set_qst(3,1,0){{
「自分のもっているものを思い浮かべてみると、いまとても役にたつものもあれば、もういらなくなったものもある。役立ち方にはグラデーションがあって、その末端に「他人のための使用価値」らしきものが存在する。財を「他人のための使用価値」をもつものと、そうでないものとに二分するのは無理だ」という人に、両者がハッキリ分離できる事情を説明してみよ。
}}
#qanda(3,1)

#divregion(解答,3,1,admin)
-商店にいってみればよい。完全に「他人のための使用価値」がならんでいる。
-買うまえのことを考えてみれば、「他人のための使用価値」になりきった財はいくらでも実在するのだ。
#enddivregion
#divregion(解説,3,1,admin)
-ちょっと見、ナルホド、なんですが、
-じゃ、その商店ってなんなの?と聞かれたとき、チャンと説明できますか。
-商店は商店じゃないか?!じゃ、すみません。
#enddivregion

#divregion(after)
-入室が遅れた人がいたため採点外
#enddivregion

#divregion(要するに,lec=3,qnum=1,admin)
-商品の定義
--特殊な「財」:財は役に立つという性質、つまり「&color(blue){使用価値};」をもつが...
--その使用価値が、自分には役に立たないが、だれか他の人の役には立つという状態、つまり「&color(red){他人のための};&color(blue){使用価値};」になりきったものが「商品」です。
#enddivregion


#qanda(3,2)
#qanda_scorechart(3,2)

#divregion(解答,lec=3,qnum=2,admin)
-別のいろんな%% 財 %%  商品を手に入れる手段になるから。
#enddivregion

#divregion(解説,lec=3,qnum=2,admin)
-売れるためさ、といいたくなると思いますが、
-「売る」は「未定義語」です。
-貨幣を定義しないと、「売る」も「買う」も定義できません。
#enddivregion

#divregion(after)
-自分の役にたつ(役にたった)、あるいは将来自分の役にたつ、という回答はゼロ点。
- 貨幣をこれから定義しようといている段階、「貨幣」や「売る」をつかった説明は1点。
-「財と交換するため」も減点。
#enddivregion

#divregion(要するに,lec=3,qnum=2,admin)
-「他人のための使用価値」。これは自分には役に立た「&color(blue){ない};」という&color(blue){ネガティブ};な言い方です。
-商品を所有することは、持ち主にとってどんなメリットが&color(blue){ある};のか?&color(blue){ポジティブ};にいうと、自分にとっては....?
-自分にとって役に立つ別の商品と「交換&color(blue){できる};」=交換&color(blue){可能性};をもっている。
-この交換可能性を「&color(red){価値};」とよぶ。この価値の定義は重要です。
#enddivregion

----
#divregion(まとめ,lec=3,qnum=2,admin)
-商品には二つの相反する属性がある。すなわち
>
+使用価値
+価値
<
である。
-両者を商品の二要因という。
#enddivregion

#divregion(注意!!,lec=3,qnum=2,admin)
-価値ということばにはもっと広い意味があるが、この講義では「価値」=「商品の価値」の意味で用います。
-よくこの「価値」のことを「交換価値」といってしまう人がいますが、
-この講義ではNGとします。理由は....
>
--「交換価値」という用語は「交換比率」と同じ意味で使われます。
--交換比率なら、「リンネル20ヤール=1着の上衣」⇄「1着の上衣=リンネル20ヤール」となります。
--しかし、商品の二要因としての「価値」は、交換律 ⇄ は成りたちません。
--したがって「交換価値」=「交換比率」ではありません。
--「交換できるという性質」で、「リンネル20ヤール=1着の上衣」とリンネルの「価値」を「1着の上衣」で表現しても、
--この比率ですぐに、直接交換できるとは限りません。
--この点はこの後、もう少しちゃんと説明しますが、ともかく、何も考えずに「価値」のことを「交換価値」と呼んでしまうのはNGです。
--商品の価値から、貨幣を説明する方法を台無しにしてしまうので....
<
-これからは、自分の身の周りのモノ=''財''ではなく、
-商店の棚に並んだ''商品''をイメージしよう。
-原理論の出発点になるのは、この「純粋な商品」(百パーセント他人のための使用価値になった財)です。
#enddivregion

#qanda_set_qst(3,3,0){{
物々交換サイトで交換されているのは、モノ、財、商品?
そう考えた理由を述べよ。
}}
#qanda(3,3)
#qanda_scorechart(3,3)
#divregion(解答,lec=3,qnum=3,admin)
-財でしょう。
-役にたたなくなった財を、もっと役にたちそうな別の財と直接交換しているから。
#enddivregion
#divregion(解答,lec=3,qnum=3,admin)
-インターネットが発達するまえは、物々交換は交換相手を見つけるのがたいへんだからアリえない、といわれていたのですが、
-[[こう>https://hacktsu.com/service/app/15070/]]いうのや[[こう>https://meotalk.jp/life/5893]]いうとか、Web で検索すると、いろいろでてきます。
-でも、インターネットの世界をのぞいていると、物々交換できたらって、すぐ思いつくのでしょう。
-でも実際に、インプリメントしようとするとうまくゆかないようです。
-物々交換サイトがでてくると、逆に私たちのみている市場が物々交換といかにかけ離れているのか、ハッキリ理解できるはず。
-ところが、経済理論のモデルのなかには、実は抽象化された物々交換モデルが、昔から蔓延しているのです。
--市場といっても、それは財と財を(間接的にだが)''交換''する場だ。
--貨幣は''交換''の仲立ちをするだけ、結果をみれば、相対的に不用な財が有用な財に替わるだけ。
--だから、「貨幣は交換をおおうヴェールにすぎない」という貨幣軽視の経済理論になるのです。
-これから、この通説を徹底的にやっつけてゆきます。
-その第一歩は、市場でおこなわれているのは、’’財の交換ではない'' と悟ること。
-じゃ、なんだ?....それが知りたければ、まず、主役をハッキリさせましょう。
//主役は''商品''です。
-そして、この主役は交換されるのでなくて....
#enddivregion


#divregion(after)
***物々交換とは [#qbc85d08]
-物々交換なんだから「物」だろうという人は、さすがにいませんでしたが、「商品」だと答えた人が大多数でした。
-物々交換というのは、「机1台とベット1台を直接交換しましょう」というスタイルです。
-交換する机は自分のために多少は役にたっているので、粗大ゴミにださず使っている、ソコソコの「財」なのですが、
-まえから欲しかったベットとだれか取り替えてくれるならハッピーだ、ということです。
***貨幣を先取りしてよいなら... [#vbb37df0]
-ちょっと先取りになりますが、自分で使うつもりで買った(「買う」が先取り)ものは、買ったあとは「財」です。
-買うまえのことを思いだしてみてください。机は店のなかでは、完璧な「商品」でした。
-店の主(あるじ)は、はじめから、自分で使うつもりで買ったのではないからです。
-売るつもりで買ったものは、買われたあともずっと商品です。
-使うつもりで買ったものは、買われたあとはすぐに財になります。
-この財と別の財を交換しようというのが物々交換サイトです。
***交換と売買 [#c11148d5]
-「この机、交換したいです。」と掲示するのでしょう。
-だれかが「このベットとどう?」といってきたら「OK」と応じるのでしょう。
-机とベットの交換は、財と財の交換です。
-物々交換では、価格はつけません。
-机が商品なら、はじめに価格をつけて売るはずです。
-机の持ち主 A は、貨幣 G をもっているだれか別の人 X に売って、売って得た貨幣でベットを買います。
-ベットを売った人 B に、机をX から買う義務はありません。
-売って手に入れた貨幣 G でスキな商品を買えばよいのです。
-この関係は、教科書 57頁 図 1.2 . 1 「商品流通と貨幣流通」をみれば一目瞭然。なのですが、この図にたどり着くにはまだちょっと道のりがあります。
-後から振りかえれば
 商品は売買されるもの(財と財なら交換されることもあろうが)
 商品と商品が交換される(商品交換)なんてナンセンス
ということがよーくわかります。お楽しみに。
***経済学の分かれ道 [#m8529279]
-「財だったものが使っているうちに、だんだん飽きてきて商品になる」とか、「商品だったものが売れなから、しょうがない、財として自分で使おうか」とか、財と商品の間にこういうグラデーションを考えないのです。
-商品は実は、生まれたときから(つまり生産されたときから)売るための商品であり、ショップが仕入れたときも、売られるために棚にならんでいるときも、ずっと商品です。そして、使う目的で買われると財になるのです。
-商品だと答えた人は、是非もう一度、講義のなかで示した三つの輪の、あの赤い輪をしっかり描いて、
-商品と財を峻別(ここは難しい漢字がいい)してください。
-市場に関する経済理論はここで大きく二つに分かれます。
>
+市場は、財と財の交換の場だと考える、目下、アタリマエとみなされている理論
+市場は、商品が売買される場だ、売ると買うとは雲泥の差、と主張するコレカラの理論
<
***中古市場は... [#g948c8da]
-持ち主(消費者)どうしで、不要品が互いに交換されるのは、財と財との交換です。
-でも、耐久消費財が普及した現代では、使ったものがもう一度売られる、中古品市場が発達しています。
-その意味では、財が商品になる、ということはあります。
-ただし、中古車を売るときは、商品だと割り切って値づけをします。
-値づけをするときは、それが自分にとってどのくらい役にたっているか、は考慮外。
-商品の使用価値は、他人のための使用価値。自分にとっての使用価値(どのくらい役にたっているか)は、値段には反映できません。
-自分にとってこの車はけっこういい感じ、だから高くしようったて、それはできない相談。
-中古車は、これまでは、買い取り業者がいて、査定額があり、これで売るしかありませんでした。
-自分で直接買い手を探すには、たいへんな時間とコストがかかるからです。
-買い取り業者は、はじめから売るつもりで中古車を仕入れるプロの商人ですから、中古車は彼のもとでは完全な商品です。
-自分がどんなに愛着を語ってみても、「そんなに気に入っているなら、お客さん、自分で乗れば... 」と、ニベもなくツレれない返事。ビシッと他人目線で査定してきます。これが商品の価値なんで、あなたの使用価値なんか、ぜんぜん影響ありませんよ、商品の使用価値は他人のための使用価値なんですから... というわけです。
-たしかにインターネットの発達は、自動車にかぎらず、いろいろな中古品市場が現れてきています。
-しかし、これはあくまで商品売買の場なので、そこでは財を交換するのではなく、商品を売るんだ、ということを身につまされると思います。私は、やったことないですが、おそらく...
#enddivregion
---
** Intermission [#id0612cf]
-ちょっと休憩

#qanda_set_qst(3,10,0){{
ここまででよくわからなかったところ、どこかありましたか?
}}
#qanda(3,10)

#divregion(after all)
-今やっているのは、幾何学における点の定義のような問題です。
-厳密には点は見えないはずなのですが、
-黒板にチョークをグリグリとやってこれが「点」だよ、というのです。
-純粋な商品というのも、なかなか、イメージしにくいものです。
-とくに消費者が身の回りのモノを考えると、100パーセント他人ために使用価値になりきった財なんて、みつかりません。
-「例えばクッキーを売る場合、クッキーは他人のための使用価値を持ちますが、自分のための使用価値(余ったら食べる)を持つと思うのです。この場合はクッキーは「商品」ではないのでしょうか?」と3-10の回答82のかたは質問しています。
-こういうのは、広がりのある「点」のようなもので、二点を通る直線は一つしかない、という定理を証明することはできないように、このようなグラデーションのかかった「商品」では、「商品があれば貨幣が必ず存在する」という命題を導きだすことはできません。
-純度100パーセントの商品は、位置だけあって広がりをもたない点のようなもので、理論を展開するうえで必須の存在なのです。
-ただ、幸いなことに、純粋な商品の場合は、ショップにゆけば99パーセントそれに近いものを実際に目にするわけで、ぜひこれからは、ショップ目線で市場をみてください。
-「余ったら食べればいい」などと考えていては、クッキー製造販売会社をやっていけるはずがありません。製品は全部他人のための使用価値しかもちません。売れなかったら従業員にクッキーを配ればすむわけではないのです。
-点を厳密に定義することが、幾何学に必須だったように、商品を純粋に限定することが、貨幣の実在する市場の理論の基礎になるのです。
#enddivregion


**貨幣への道 [#c6a929f3]
***等しいもの [#ye177cbc]
-ここが、いちばん難しいけれど、だいじな点です。

#qanda_set_qst(3,4,0){{
 <p>商品なら必ず「価値がある」はずだといったのですが、</p>
 <p>①「リンゴがある」の「ある」と</p>
 <p>②「価値がある」の「ある」は、同じ「ある」でも違いがある。</p>
 <p>さて、どんな違いでしょうか?</p>
}}
#qanda(3,4)
//#qanda_scorechart(3,4)

#divregion(解答,lec=3,qnum=4,admin)
-①の「ある」は、目で見て触ってわかる存在。だれにでも同じように「ある」けれど、
-②の「ある」は、直接、見たり触ったりできない存在。
#enddivregion

#divregion(別解,lec=3,qnum=4,admin)
>
-①はモノの実在を意味し、
-②はモノの性質を意味する。
<
とか
>
-「リンゴがある」は単独で成りたつが、「価値がある」はホントは何の価値かをいわないと意味をなさない。
-たとえば「(リンゴが商品ならそのリンゴには)価値がある」というように。
<
とか
>
-②「価値がある」は「リンゴは価値をもつ」というのと同じで、属性の存在を意味する。
-①「リンゴがある」をもし「リンゴをもつ」にするにれば主語が必要。
-たとえば「かれはリンゴをもつ」というかたちになり、
-このときリンゴは、広い意味で、彼の属性(リンゴをもっている人という特徴)を表す。
<
#enddivregion

#divregion(after)
-出題に混乱があり、3-10の回答が混入。採点枠外とします。
-3-4の回答をみると、予想以上によくできていました。
-①が is,exists であり、②が has だ、というのは大正解です。
-オブジェクト指向のプログラミング言語をかじったことのある人は、IS-A 関係と HAS-A 関係を思いだしてください。
-②がクラスのプロパティのことだ、とわかるはずです。
-商品クラスをつくって、それに使用価値と価値というプロパティをもたせている(has)わけです。
 class Commodity:
  def __init__(usevalue, value):
     self.usevalue = usevalue
     self.value=value
  def getvalue(item):
     print(self.value[item])
 
  apple = Commodity('sweet',{'orange':3, 'tea':5})
  orange= Commdity('soure',{'apple':2, 'tea':10})
  tea = Commodity('bitter',{'apple':0.2, orange':0.4})
 
  apple.getvalue('orange'))        // で 3 って表示されるかな?
 
  ...
-usevalue の規定のしかたにもうちょっと工夫が必要かも....
-商品クラスを規定するには、最低限、さらに ower という属性ももたせる必要があります。
-プログラミング言語以下は脱線です。無視してかまいません。あくまで知っている人へのサービスです。
#enddivregion

#qanda_set_qst(3,5,0){{
 <p>「リンゴ1個はミカン3個に等しい」というが、</p>
 <p>リンゴ1個とミカン3個は、どう見ても「同じ」ではない。</p>
 <p>「同じ」ではないミカン3個に「等しい」ものは、なにか?</p>
 <p>「同じ」と「等しい」の関係を説明せよ。</p>
}}
#qanda(3,5)
#qanda_scorechart(3,5)

#divregion(解答,lec=3,qnum=5,admin)
-モノの量であるミカン3個に「等しい」のは、リンゴ1個の「価値」
-「同じ」というのはモノどうしの関係。
-「等しい」というのは、直接見えない性質(価値)と、「はかる」ことのできるモノの一定量の関係。
-「同じ」は同一レイアの関係、「等しい」は''レイア越え''の関係。
#enddivregion

#divregion(解説,lec=3,qnum=5,admin)
-「等しい」equal というのは「同じ」same ということではない。
-直接触れることのできない商品の価値は、計量できるモノの量で表される。
-この「等しい」ものを''等価物'' equivalent という。
-モノの量を物量という。
-&color(red){商品の価値は、別の商品を等価物とする''かたち''で''表現''される};。
-この「かたち」のことを「形態」Form という。
-「表現」というのは、直接目に見えない(五感で感じることのできない)性質を目に見えるすがたで示すこと。
-このとき、目に見えない何か something は、目に見えるモノ thing として''現れ''ます。この「現れ」を「現象」といいます。
-「リンゴ1個はミカン3個に等しい」というのは、商品ミカンを「等価物」とする、商品リンゴの「価値の表現形態」(ちじめて「価値形態」)である。
-いちばん難しいところです。といっても、別に難しい言葉はでてきていません。よく知っている(と思っている)言葉をチャンと定義してつかうことです。ポイントは、
>
+「等しい」は 「同じ」と違う。
+「表現」(「現象」)は''レイア越え''である。
<
という二点をしっかり理解することです。
#enddivregion

***価値 [#pdc1d9db]
#divregion(価値の定義,lec=3,qnum=5,admin)
-商品の価値は、
>
+いろいろな種類の商品と
+潜在的には
<
''交換できるという商品の性質''である。
#enddivregion

#divregion(注意,lec=3,qnum=5,admin)
-価値は、モノの重さのように、直接「はかる」ことはでない。
-私のもっている、この量の商品は、あなたのもっているその量の商品に「等しい」というかたちで「表現」される。
#enddivregion

#divregion(after)
-「同じ」がモノのレイアでの一致であることは理解されているよう。
-「等しい」はちょっと難しいようで、3点にならなかった人が多発。
-「等しい」というのは「リンゴ1個の価値がミカン3個の価値と同じことである」は誤りです。
-価値が計量できるなら価値が「同じ」(「同等」と書いている人もいました)もアリ。でも直接計量できない性質です。
-価値には「単位」がない。「円」のような価格が単位じゃないの、と思った人は、第4講でミッチリ説明します。
-円が価値の単位だと思っている人は、世の中、けっこう多いのですがNGです。
-キチンといえば、リンゴ1個の価値が...... に等しいのです。...... はなに?
-みなさんの回答は、ここがかけていなくて、「価値が等しい」「等しいのは価値」 といったものがほとんど。
-故に2点にしました。
-3点の答案は、
--リンゴ1個の価値がミカン3個というモノの量(物量)に「等しい」で
--リンゴ1個の価値がミカン3個の価値に「等しい」ではありません。価値と価値なら「同じ」でよいのです。
#enddivregion


#qanda_set_qst(3,6,0){{
<p>次の文の( )に適切な言葉を入れてください。<p>
「私のもっているリンゴは、どの1個をとってみても、みんな( A )だが、リンゴとミカンは( B )ではない。しかし、リンゴの( C )の大きさは、ミカン3個に( D )。」</p>
}}
#qanda(3,6)
#qanda_scorechart(3,6)
#divregion(解答,lec=3,qnum=6,admin)
-復習問題です。
-「私のもっているリンゴは、どの1個をとってみても、みんな(同じ)だが、リンゴとミカンは(同じ)ではない。だが、リンゴの(価値)の大きさは、ミカン3個に(等しい)。」
#enddivregion

#divregion(補足,lec=3,qnum=6,admin)
-教科書32頁問題13 の解答を是非みてください。
-価値の表現形態の発展を段階を追って理論的に説明する理論が価値形態論です。
-講義では扱いませんが、教科書1.3.2 を読んでください。
#enddivregion

#divregion(after)
-99%できていました。ただし、これはゼロ点でない人の割合ですが...
-基本的に、同じと等しいの区別ができたようなので、来週は、等しいもの=''等価物''の話をします。
-貨幣は等価物の発展したすがたなのです。
#enddivregion

#divregion(まとめ,h1,lec=3,qnum=6,admin)
+商品は、財一般からハッキリ区別できる特殊な財である。財は商品に連続的にかわってゆくと考えてはならない。
+商品の''使用価値''は100パーセント他人のためのものだが、持ち主にとっては、他のあらゆる商品と交換できる''価値''という性質をもつ。
+価値の大きさは''等価物''によって''表現''される。
+次回は「貨幣とは等価物の発展したすがたである」という貨幣の定義に進みます。
#enddivregion

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