#author("2020-06-16T09:40:25+09:00","default:obata","obata")
#author("2020-06-16T09:48:12+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/夏学期/第4講]]&color(#447CFF){第 &size(32){5}; 講};  [[▷ 次回>2020年度/夏学期/第6講]]
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#qanda_setstid(2020-06-11 16:10:00,90)
#qanda_who

//✔  REC &color(red){ON}; ?


//✅ 接続チェック
//#qanda_set_qst(5,20,0){{
//<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
//<p>&#x2714; 前回学生証番号を登録した人で、今回、「氏名不詳」になっていた人は「再登録」と書いてください。</p>
//}}
//#qanda(5,20)

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CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 価値は価格で表現される};};
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#divregion(概要)
-持続的な一般的等価物=貨幣による価値表現について学んだので、
-価値と価格という用語の使い方について整理します。
-
#enddivregion


**価格とはなにか [#j31a4931]
#qanda_set_qst(5,1,0){{
<p>「こりゃ、掘り出し物だ。値段以上の値打がある。」</p>
<p>値段、値打を別の漢字二字に置きかえ、この発言はどういうことを意味しているのか、述べよ。</p>
}}
#qanda(5,1)
#qanda_scorechart(5,1)

#divregion(解答,lec=5,qnum=1,admin)
-値段は価格、値打は価値。
-売り手が自分の商品の価値を表現した価格が、買い手からみて低い、ということ。
#enddivregion

#divregion(解説,lec=5,qnum=1,admin)
-英語でも value and price という区別があります。
-日本語でも昔から「ねうち」と「ねだん」は別のもの。「この値段ならお値打ちだ」とかいいます。
-では、価値と価格の関係は?
-価格とは、商品の価値を等価物で表現したときの等価物の物量です。
-だから、「リンゴ1個=ミカン3個」なら、「3個」がリンゴのミカン価格となります。
-ただ、貨幣が存在する世界では、すべての商品が貨幣をつかった価値表現をしますから、
-この世界で「価格」といえば「貨幣価格」のことになります。
-この講義でも、断りなしにただ「価格」といったら、「貨幣価格」を意味するものとします。
-ある本の冒頭の一句を引用します。
>
「商品には価値がある。この価値は価格とは違う。価格は何かに「付ける」もの、「付けられる」何かが価値だ。別にむずかしい話ではない。ところが、「価値があるというけれど、そんなもの、どこにあるのだ」ときかれるとちょっと困る。価格な
ら目にみえるが、価値となると、だれもじかにみることはできない。だから価格を付けるわけで、できれば、わざわざ値付けをしたりはしない。だから、何かしら、価値のようなものはありそうだ。でも、ありそうなものをちゃんと説明しようとすると途端にむずかしい問題になる。
~
この厄介な問題を追求してゆくと、やがて貨幣が実在する市場のすがたが浮かびあがってくる。そしてさらに進めば、資本の運動もちょっと見えてくる。しかし、このような基礎の基礎を明かすことは容易ではない。そもそもどう考えたらよいのか、それがわからないのである。」
(『価値論批判』2013年弘文堂)
<
-迷路にはまりたい人は続きを読んでください。私は進めませんが....
-要するに
>
-「缶ジュース1本 = 100円」というのは
-缶ジュースがもつ、ほかのどの商品とも交換できるという性質を100円と表現した形態である
<
ということがわかればOKです。
#enddivregion

#divregion(after,lec=5,qnum=1,admin)
-価格、価値は両方できて1点
-意味の説明に、《売り手がつけた...》 《買い手からみて...》 という視点が入っていれば加点しました
-《買い手からみて...》のかわりに、《ほかの多くの人からからみて...》でもOKでしょう。
-この後説明する「市場」という《場》では、「通り相場」とか「市価」といか、いろいろな言い方がありますが、ある種類の商品には共通の価格があるもので、これに対して低いときが「掘り出し物」となります。
-まちがっても、自分にとって有用だから、とか、使用価値があるから、とは答えないこと。
-100円のジュースを100円で買っても、自分はそのときスッゴくのどが渇いていたから、「こりゃ掘り出し物だ」とはいわぬはず。
-100円のジュースを50円で売っているのを見つけとき、「こりゃ掘り出し物だ」というはずです。
#enddivregion

#qanda_set_qst(5,2,0){{
<p>「商品は価値形態と価格形態をもつ。」</p>
<p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(5,2)
#qanda_scorechart(5,2)

#divregion(解答,lec=5,qnum=2,admin)
-偽。
-価値「形態」は価格であり、価格形態というのは「形態」のそのまた『形態』となり、
-「価値形態と価格形態」というように、同じ「形態」という用語を、断りなく違う意味でつかうことはできない。
#enddivregion

#divregion(解説,lec=5,qnum=2,admin)
-だめ押しの問題です
-価値の表現形態=価値形態=価格です。
-価値形態と併記しないのであれば、「価格形態」という用語を別に定義してつかうことはできるでしょう。
-たとえば、リンゴのミカン価格とか茶価格とか、いろいろな「価格」のすがたを、貨幣価格も含めて「価格形態」とよびたいという人もいるでしょう。
-私は進めませんが..... こういうときはたとえば「価格形式」とか、いくらでもよびようはあるもの、レイア越えにつかった、大事な「形態」という用語を濫用するのは愚です。
-言葉を正確につかうこと、これが論理的に考えることの基本です。別に数式にすることだけが「理論」じゃありません。
#enddivregion

#divregion(after,lec=5,qnum=2,admin)
-でてきた回答のなかでは、「価値形態の1つとして価格があるので偽。価格は価値形態に含まれる。」というのが正解に近い。
-「の1つ」が余計で、「価値形態が価格である」とキッパリ言い切ろう。
-価格形態では「形態の形態になる」というのもOK。
-《価値の表現形態=価値形態=価格》です。価格形態=(価値形態)形態で、「形態」がダブルミーニングになります。「三角形の面積の面積」みたいな感じ?ちょっと違うか?
-「商品の価値を表現した形態が価格である」という定義を繰り返した回答には点を与えませんでした。
-価値形態はない、あるのは価格形態だ、という完全ポイントを外した誤答もありました。
-価値形態はあるのです。ないというなら、ないのは(A)(B)。(A)ならあるけれど...
#region
-A: 価格
-B: 形態
#endregion
#enddivregion

-ダメ押しのダメ押しですが、価値と価格についてもう一度尋ねてみます。


#qanda_set_qst(5,5,0){{
<ol>
<li>価値がある</li>
<li>価格がある</li>
<li>価値を付ける</li>
<li>価格を付ける</li>
</ol>
さて、このうちで、違和感をあたえる文はどれでしょう。なぜ変な感じがするのか、そのわけを答えてください。
日本語が母語でない人は「価値がある」を母国語でどういうか、教えてください。
}}
&new{2020-06-07 (日) 12:51:03};
#qanda(5,5)
#qanda_scorechart(5,5)

**単位の問題 [#wcae89bb]
#qanda_set_qst(5,3,0){{
<p>100円とか1000円とかいうときの「円」とはなにか。厳密に答えよ。</p>
}}
#qanda(5,3)
#qanda_scorechart(5,3)

#divregion(解答,lec=5,qnum=3,admin)
-貨幣量の単位
#enddivregion

#divregion(after,lec=5,qnum=3,admin)
-「通貨」という用語を使った人がけっこういましたが、定義済みの用語で説明しよう。
-「単位」を「基準」とか「尺度」とした場合も減点しました。
-「価値の尺度」とか「価値の単位」という回答はゼロ点にしました。
-厳密には計量と違いますが、価値は「質量」のようなもので、無名数です。質量が特定の「重力場」で1kgのように現象するように、価値も特定の「市場」(←未定義語)で、1000円というように表現されると考えてください。「円」は「kg」のような単位です。これはだれがみても共通の「円」で貨幣の(物)量の単位。価値には単位はありません。表現に用いられる貨幣にほうには、モノ-モノのレイアの「単位」があるのです。
#enddivregion

#divregion(そもそも単位とは,h1, lec=5,qnum=3,admin)
-モノの量を計測するには、共通の単位が用いられる。基本は、重さのグラムとか長さのメートル、時間の秒など。そのほかに、いろいろな呼び方があり、リンゴ1個2個など個数もあるし、1着とか....
-基本的な単位は、法律で決まっている。この単位を使えば、だれがはかっても同じなる。
-貨幣にも特別な単位が法律で決められている。日本の場合は円。
-現在の法律では、貨幣の単位は円とすると定義するのみ。
-かつては。純金0.75グラムを円と呼ぶという定義がなされたこともあった。
-貨幣の単位を金の重量で定義するのが、広い意味での「金本位制」である。
-ただ、共通単位を定めるだけで国はそれ以上何かをするわけではない。
-狭い意味での「金本位制」は、実際に、この一円に当たる金貨を国が鋳造し普及させることまで含む。
-といっても、国がおこなうのは、民間人がもってきた金0.75グラムを鑑定して、刻印をおすこと。
-金貨をつくっても、金の量を殖やすことはできない。
-地球の円周の何分の1を1メートルと定めるという法律と同じで、国がそれ以上のことを何かするわけではない。
-国が貨幣の単位を定めることができるということを、国が貨幣をつくることができるということだと勘違いしてはならない。
#enddivregion

#qanda_set_qst(5,4,0){{
<p>「貨幣量の単位を1円→1.1円に変更すれば、商品の価格は10パーセント上昇し、所得も10パーセント増加する。」</p>
<p>「1円→1.1円に変更する」実際のやり方を示せ。</p>
<p>価格や所得は10パーセント上昇増加するか。</p>
}}
#qanda(5,4)
#qanda_scorechart(5,4)

#divregion(解答,lec=5,qnum=4,admin)
-新しい日本銀行券を発行し、現行銀行券を無効とし、1100円の新札と1000円の旧札を交換させる。
-だけではなく、債権債務も1.1倍の金額にする、とか、預金や株式価格などもみな1.1倍にするとか....
-やらなくてはならないことがいっぱいある。しかも、一斉に。
-アレコレ煩瑣なことをやっても、価格や所得の実際の大きさは変わらない。
-1キログラムとよんできたのを1.1キログラムとよぶと単位を変更したら、モノがそれだけ重くなったという話はきいたことがない。
#enddivregion
#divregion(解説,lec=5,qnum=4,admin)
-たしかに、100円を1円とよぶというようなデノミネーション(貨幣単位)の変更をすれば、1ドルも1ユーロもだいたい1円ちかくになる。
-月給が30万円、ではなく3000円になるが、ドル単位でいえば、約3000ドルで、合衆国との比較がしやすい。週80ドルということは、1日だいたい10ドル前後で生活する、という感じでしょうか。
-とはいえ、貨幣が実在しする世界では、デノミは口でいうほど簡単なことではないようです。
#enddivregion

#divregion(まとめ,h1,lec=5,qnum=4,admin)
-商品の価値は、貨幣の量で表示される。これが価格である。
-貨幣の単位は、日本では円であり、価格は円で表示される。
-貨幣の単位を変更しても、商品の価値は少しも変化しない。
#enddivregion

#qanda_set_qst(5,6,0){{
<p>次の( A )( B )( C )に当てはまる用語を半角スペース1つで区切って順に答えよ。</p>
<p>この講義では、客観的に計量できるものをモノとよび、モノのうちで( A )をもつものを( B )と名づけた。</p>
<p>商品とは、持ち主には( A )がまったくないかわりに( C )をもつ( B )である。</p>
}}
#qanda(5,6)
//#qanda_scorechart(5,6)

#divregion(解答,lec=5,qnum=6,admin)
//#null{{
知覚性 サービス 価格尺度 
//}}
&br;
なんてまったくデタラメ。正解は
&br;
//#null{{
使用価値 財 価値
//}}
#enddivregion

#qanda_set_qst(5,7,0){{
<p>次の( A )( B )( C )に当てはまる用語を順に答えよ。</p>
<p>商品には、必ず( A )がある。</p>
<p>この( A )の大きさは、別の商品の( B )で表現される。</p>
<p>価値の表現に用いられる、この別の商品を( C )とよぶ。</p>
}}
#qanda(5,7)
#qanda_scorechart(5,7)

#divregion(解答,lec=5,qnum=6,admin)
#divregion(解答,lec=5,qnum=7,admin)
//#null{{
知覚性 サービス性 価値尺度 
//}}
&br;
なんてまったくデタラメ。正解は
&br;
//#null{{
価値 物量 等価物
//}}
#enddivregion

#qanda_set_qst(5,8,0){{
<p>次の( A )( B )( C )に当てはまる用語を順に答えよ。</p>
<p>価値の表現形態は、すべての商品に共通で持続性をもつ( A )を生みだす。</p>
<p>この講義では、この持続性をもつ一般的( A )を( B )と定義した。</p>
<p>( B )の量には独自の単位が与えられ、商品の価値は( B )( C )によって統一的に表現される。</p>
<p>この意味で、( C )は価値形態の発展したすがたなのである。</p>
}}
#qanda(5,8)
#qanda_scorechart(5,7)
#qanda_scorechart(5,8)

#divregion(解答,lec=5,qnum=8,admin)
//#null{{
価値価格 価値基準 価値物 
//}}
&br;
なんてまったくデタラメ。正解は
&br;
//#null{{
等価物 貨幣 価格
//}}
#enddivregion
#qanda_scorechart(5,8)

#divregion(参考)
//-[[お金の歴史(日銀貨幣博物館)>https://www.imes.boj.or.jp/cm/history/]]
//-[[造幣局>http://www.mint.go.jp/operations/exam/operations_certification-01.html]]
//-[[ロイヤルミント>http://www.royalmintmuseum.org.uk/history/index.html]]
//-[[お金の歴史雑学コラム>https://manabow.com/zatsugaku/]]
-[[貨幣法(原文)>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/M0000000000001738005_023710101734.pdf]]
-[[貨幣法(旧)>https://ja.wikisource.org/wiki/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E6%B3%95]] 第1条に「金本位規定」第7条に「法貨規定」
-[[度量衡法(旧)>https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%BA%A6%E9%87%8F%E8%A1%A1%E6%B3%95]]
------
-[[通貨法>http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=362AC0000000042&openerCode=1#1]] 第2条に通過の「単位規定」
-[[日本銀行法>http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=409AC0000000089_20150801_000000000000000#E]] 46条2に「法貨規定」
-[[計量法>http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404AC0000000051#1]]
//-[[補助貨幣・硬貨について>http://www.stat.go.jp/data/chouki/04exp.html]]
-[[財務省の「貨幣」定義>https://www.mof.go.jp/currency/coin/lot/2018kaheikeikaku.html]]
-[[日本銀行営業毎旬報告>https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2018/ac180510.htm/]]
#enddivregion


}}

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