#author("2020-07-19T11:40:13+09:00","default:obata","obata")
#author("2020-07-19T11:41:17+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/夏学期/第8講]]&color(#447CFF){第 &size(32){9}; 講};  [[▷ 次回>2020年度/夏学期/第10講]]
#katex
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#qanda_setstid(2020-07-02 16:00:00,100)
#qanda_who

//#qanda_set_qst(9,20,0){{
#null{{
<p> 接続状態のチェックとして、次のメールに対して、<span  style= "background-color: #FFFF00">もしあなたが講師であったら</span>、どのようにリプライしますか?</p>

<blockquote style="color:blue;">
以前の講義で、質問時間が来る前に問題が見れるようになっていた問題が数問あったそうなので、直し//ていただきたいです。これでは公平性がなくまた、瞬間的な発想のトレーニングにならないと思います。
改善お願いいたします。
</blockquote>

<p>&#x2714;なお、前回学生証番号を登録した人で、今回「氏名不詳」になってしまった人は「再登録」と書いてください。</p>
}}

//#qanda(9,20)

//#qanda_solution(9,20){{
#null{{
<p>講師からのリプライ。</p>
<blockquote>
了解です。

ところで、何が起きているか、自分で考えてみましたか?
何がどうみえたか、もうすこし、説明がほしいところです。

<blockquote>

<p>学生からはノーリプライ。</p>
<p>すでに次のように「直した」ことは、講義中に告げました。</p>
<ol>
<li> ミスタイプ:たとえば3-3の回答〆切時刻のあとに3-3の解答がひらく仕様。このとき「3-2」とパラメターを書いてしまった。対処:ミスタイプした問題は採点範囲外とした。</li>
<li>ソースファイルからのカンニング:「ありえない解答」でチェック。大きなマイナス点。自主的に反省文を送ってきた人に対しては、その人の全回答をみて得点を訂正。</li>
<li>解答の表示にリロードを必要とする仕様を変更。</li>
</ol>

<p>最後のところですが、「リロード(再読み込み)する」とはどういうことでしょうか。「ブラウザの渦巻ボタンを押すことさ」って、それはサルにもわかること。ボタンを押すと何が起こるのか、考えてみてください。</p>
}}

//#qanda_set_qst(9,21,0){{
#null{{
<p> 解答の表示に関して、リロードしない/する仕様で何がどう変わるのか?</p>
<p>コンピュータの知識の問題ではありません。推論能力一般の問題です。</p>
}}

//#qanda(9,21)

//#qanda_solution(9,21){{
#null{{
<ol>
<li>ブラウザーはサーバーから「なにか」(ソースファイル)を受けとる。</li>
<li>リロードせずに「解答」が表示される→「なにか」にすでに「解答」が含まれているはず</li>
<li>見えないのは、ブラウザが表示していないだけ。「なにか」ルを開けてみれば隠されている解答はみつかる(答案用紙を伏せておけといってもこっそりのぞく学生はいる)。</li>
<li>「解答」の含まれなものを送る。→「解答」をみるにはリロードが必要。</li>
</ol>
<p>ということで、サーバーサイドで、時間コントロールをして、同じリクエストに対して、違うソースファイルを送る仕様にする、というのが当面の考えた拙劣な対処策。これでいいかどうか???</p>

<p>コメント</p>
別の人からは、こんなメールが届きました。
<blockquote>
<p>お忙しいところ失礼します。東京理科大学理学部第一部応用物理学科 **** の **** です。</p>

<p>経済学のここ最近の授業でのHP質問解答時、毎回1度サーバーエラーになり打ち込んだ解答が消え、打ち直して2度目の送信をクリックすると半々くらいの確率でそのまま送信、または回答が消えてしまい3度目に打ち直してようやく送信できると言った状況になっており、自分なりの答えを出しても時間内に送信できずに終わってしまうことが多々あります。</p>

<p>他の受講者から同様のエラーの話は聞いたことが無いのでおそらく私の環境と相性が悪いのかと思いますので、次回から別の方法でHPにアクセスして改善があるか試してみようと思い、試しに先ほどスマホでサイトを開いてみたのですが学籍番号登録をする入力欄が見当たりませんでした。</p>

<p>これは次回の授業時間中になれば自動で入力欄が表示されますか?前置きが長くてすみません。お時間あるときで構いませんのでご返信していただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。</p>
</blockquote>

<p>とりあえず</p>
<blockquote>
<p>ネット環境にトラブルはつきもの、エラーゼロのプログラムを目指すと労力が指数関数的に増大するので、かんべんしてください。</p>
</blockquote>
<p>とリプライしたものの、この要望には、非力ながら対応してあげたいな、と思いましたね。不具合の状況も具体的に説明されおり、なにより「改善があるか試してみよう」というあたり、なかなか見込みあり、です。</p>

<p>でさしあたり、私の推測は、データベースサーバに同時書き込みで衝突が生じているのではないか、というもの。窓口が一つしかないのに、数名の人が一度に押し寄せ、口々にいろいろなことをしてちょうだいと言っている感じ。こういうことは、一人でプログラムを書いて動かしているかぎり、生じない事態です。キーボードは一つしかないし、自分ひとりなら、アレやって、次にコレやって、もしこうだったらソレやって.... とシーケンシャルに進めますが、ネットワークでは一斉にリクエストがきます。どう処理するか、このあたり、サーバー型データベース技術者の腕の見せ所でしょう。</p>

<p>今回はとりあえず、transaction - commit というかたちの例外処理を追加してみました。が、たぶん、これは書き込まれるデータに誤り(混交)が生じないようにするだけ。書き込みができなかったとき、どう対応するかは、おそらく、送った側のブラウザーの仕事になりそう。こちらからはみえない、人それぞれの世界なので厄介です。</p>

}}

#divregion(コンピュータを「使う」)
-コンピュータとインターネット、若いみなさんは、これから、なが〜いつきあいになるでしょう。目に見えるディスプレイやキーボードの背後で、見えない何がどう動いているのか、推理する力をみにつけてください。論理の力です。エラーメッセージなら、コンピュータもだせます。これこそ、コンピュータが得意とするところ。しかし、コンピュータはエラーの原因を推理する能力はもっていません(いまのところかもしれませんが)。自分でエラーを修復して作動する対処能力はありません。コンピュータをつかっていて、ただただ、エラーを訴えるだけの人は、コンピュータ以下です。コンピュータにうまく「使われる」ようにはなれても、コンピュータを「使う」能力は身につきません。ぜひぜひ、直面した不具合から、つまり結果から原因を論理的に推理する力を養ってください。

-「経済学に関係ないだろう」って思っている人がいたら、それは逆です、現象から原因に遡る推論がチャンとできないかぎり、どんなに勉強しても経済理論のコアは習得できませんといわれて「ああ、貨幣のあの話ね」と推察できればOKです。見えるモノと見えない価値を結ぶレイア越えの話か、と。教えられた原因→結果型の思考は、コンピュータのほうが、みなさんよりずっと高速に正確にできる(ようになる)でしょう。しかし、論理に関わる領域にかぎっても、人間の能力はコンピュータをこえています。このあたり、労働ってなに? というテーマで、冬学期にさらに突っ込んで考えてゆきます。
#enddivregion



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CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 商品売買の基本形:売れなければ買えない };};
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*講義の概要 [#d0b01c07]
-前半では、前回積み残した、フィアットマネーの話をします。
-後半では、売ってから買う、商品売買の連鎖について考えてゆきます。
--これまで「貨幣とはなにか」について考えてきた。
--つぎに「貨幣はどのように機能するのか」について考える。
--「貨幣が実在する市場」の特徴を理解することが目的。

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*貨幣が実在する市場 [#rbe8c77c]
#divregion(貨幣一極集中型,lec=9,qnum=21,admin)
-記号
--商品 Ware から W
--貨幣 Geld から G
-すべての商品は、一種類の貨幣で、価値を表現する。
#ref(W-G.png,,,貨幣による商品価値の集中的な表現)
#enddivregion

**貨幣の機能 [#ef9b6647]
#divregion(価値尺度,lec=9,qnum=21,admin)
-「価値尺度」と教科書には書いてあるが、ポイントは価値の大きさを実際に''はかる''こと。
-「尺度」というのは計測単位のことであるが、教科書には細かい弁明あり。
-要するに、''はかる''ことを「尺度する」などという、ヘンな日本語が使われていた名残です。
#enddivregion

#qanda_set_qst(9,1,0){{
リンゴの重さをはかるのと、リンゴの価値をはかるのとでは、どこがどう違うのか?
}}
#qanda(9,1)

#qanda_solution(9,1){{
リンゴの価値は、売り手が貨幣量で表現した価格を、買い手が認め買うという、表現+実現の2ステップでではかられる。
リンゴの重さは、だれがはかっても同じなので、共通の計測装置(はかり)にかけるという、1ステップではかられる。
}}
#qanda(9,1)
#qanda_scorechart(9,1)

#divregion(after,lec=9,qnum=1,admin)
-価値の大きさは、はかる人によってまちまちになるという、不完全な答えが多かった。
-価値の大きさは同じだが、表現がまちまちなのである。
--「不特定多数の買い手を想定して,買い手の目で自己の 商品がどの程度の価値をもつかを吟味しなくてはならない.周囲の同種商品の 価格や,さらに異種の商品価格を横目でみながら,値づけはなされる•価格の 設定は売り手の主観的評価であるといっても,それはあくまで客観的状況を読 んで下すものである. しかし, どんなに第三者的に振る舞っても,やはり個々 の 売 り 手 の 判 断 を で る も の で は な い • 売 り 手 の 数 だ け 「客 観 」 も あ る の で あ る.」教科書51頁
-価値の表現が、即、価値の計量だ、という回答も多かったが、これも基本的に誤り。だが、価値の表現はともかく、計量のための必要条件と考えて、1点与えた。
--「価値の大きさを「量る」 ということ(計量)は,商品の 価値を貨幣量として「表す」 ということ(表現)とは別のことである. 重さや 長さのようなモノの自然的属性と,商品価値という社会的属性とでは, この点に大きなズレがある. 商品サイドからの価値表現と,価値量の計量とは区別して考える必要がある. 価値量の計量には,貨幣サイドに属する独自の要因が加 わる. 」教科書50頁
#enddivregion

#qanda_set_qst(9,2,0){{
「100円玉があれば、100円の缶ジュースは、いつでも手に入る。しかし、100円の缶ジュースをもっていても、いつでも100円玉が手に入るとはかぎらない。同じ100円とい つても、100円の缶ジュー スには、本当は100円玉と同じ価値はないのだ。」この主張は真か偽か。
}}

#qanda_solution(9,2){{
「ジュース1 缶に100円という 価格をつけたとしよう. これは「100円玉には,ある大きさの価値があり,ジュー ス 1 缶の価値の大きさもそれに等しい」 というのと同じだ. では,両方とも大きさが同じなのだから,ジュース1 缶と100円玉はまったく対等か,というとそう ではない. 100円玉をもっていれば,すぐにジュース1 缶が手に入るが,ジュース 1 缶をもっていても,すぐに100円玉が手に入るわけではない.ジュースは買われ る の を 「待つ身」 なのである.
同じ大きさの価値でも,100円玉の100円はどのような商品に対しても100円 として交換する能力をもつ. ところが,缶ジュースの100円は,ジュースを求め ているものに対してだけしか,交換する能力をもたない. 缶ジュースと100円玉 で,価値の大きさに差があるわけではないが,いつでもすぐに買えるという主導
権,イニシャティブをもっている貨幣の価値と,買い手が現れるのを待つしかない 100円の缶ジュースの価値とでは性質が異なるのである. 100円玉も缶ジュースも 同 じ 「交換力」 をもっが,そ の 「交換性」が決定的に異なるのである.」(教科書 53頁 問題28の解答)
}}

#qanda(9,2)
#qanda_scorechart(9,2)

#divregion(流通手段,lec=9,qnum=2,admin)
-「商品流通と貨幣流通」の図解をおってみよう。
-「流通」とはなにか?
#ref(W-G-W.png,,,商品流通と貨幣流通)
-商品の流通を媒介する貨幣の機能を、貨幣の流通手段機能とよぶ。
#enddivregion

#qanda_scorechart(9,2)

#qanda_set_qst(9,3,0){{
商品の「流通」 circulation というのは、商品が持ち主を次々にかえて、人々の手から手に流れることである。この商品の「流通」の定義は妥当か?
}}
#qanda(9,3)

#qanda_scorechart(9,3)

#qanda_set_qst(9,4,0){{
貨幣は、次々の購買が繰り返されることで、基本的に元の持ち主のところの還流してくる。これが貨幣の流通 current である。この貨幣の「流通」の定義は妥当か。
}}
#qanda(9,4)
#qanda_scorechart(9,4)

#qanda_set_qst(9,5,0){{
<p>次の( )にはいる、適当な言葉をかんがえてみよ。</p>
<p>互いにgive and take をおこなう物々交換は、二人で(  )するだが、貨幣による商品流通は二人だけでは(  )しない。</p>
}}
#qanda(9,5)
#qanda_scorechart(9,5)

#divregion(蓄蔵手段,lec=9,qnum=5,admin)
-購買力を保持する機能を蓄蔵手段という。
-一方的に溜め込むことではない。将来の支出に具える準備機能を含む。
#enddivregion

#qanda_set_qst(9,6,0){{
<p>「貨幣があれば、いつでもなんでも、その価格で買える。だから、余裕があれば人々は購買力を貨幣のかたちで蓄える。したがって、社会全体でみて、所得が増大すれば貨幣の保有量も増加する。」真か偽か。判断の根拠を示せ。</p>
}}
RIGHT:3 minutes
#qanda_solution(9,6){{
<p>偽。購買力を蓄える手段は、貨幣だけではない。資産となるさまざまな商品が存在する。</p>
}}
#qanda(9,6)
#qanda_scorechart(9,6)

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