#author("2022-05-20T10:14:23+09:00","default:obata","obata")
#author("2022-05-20T10:24:55+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2021年度/夏学期/第3講]]&color(#447CFF){第 &size(32){4}; 講}; [[▷ 次回>2021年度/夏学期/第5講]]

-----
#qanda_setstid(2021-06-03 16:10:00,90)
#qanda_who
#qanda_mathjax
------

✔  REC ON&br;
✅ 接続チェック

#qanda_set_qst(4,20,0){{
<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
<p>&#x2714; 前回学生証番号を登録した人で、今回、「氏名不詳」になっていた人は「再登録」と書いてください。</p>
}}
#qanda(4,20)

#qanda_set_qst(4,21,0){{
<p>オブジェクト指向プログラミングをどこかで勉強したことがありますか。</p>
<p>知っていたらオブジェクトとはなにか一言で。知らなければ「未習」でOKです。</p>
}}
#qanda(4,21)


-----
CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;見えぬ価値を表すには...&nbsp;};};
----
**基本問題 [#e5bedc3e]
-見えない何かを見えるかたちにするには?
**価値量(価値の大きさ) [#ef8230bc]
-商品の価値=(潜在的+全面的な)交換可能性(←前回)
-価値量:価値という性質には&qanda_tooltip(一定の大きさがある){しかし、どうやって量化するのか、が大問題};。これを「価値量」あるいは「価値の大きさ」とよぶ。
-商品はモノのサブセット。したがってモノがもつ「物量」という性質を継承する。
-物量は&qanda_tooltip(はかれる){はかるというのは客観的に誰がやっても同じになるという意味です。};が、価値量ははかれない。
-1リットルの牛乳の物量はもちろん1リットル。でも1リットルの商品牛乳の価値量は1リットルではない。

**価値表現 [#ra84b5d0]
-基本命題1:価値が&color(red){「ある」};ならば、その価値は&color(blue){必ず同時に};&color(red){「あらわれる」};。
-&qanda_tooltip(「あらわれる」){(モノの側からみて「現象する」という用語も同義で使用する。また同じことを人の側から述べたものとして、「表現される」という用語も同義で使用する。};とは、&qanda_tooltip(目に見えない){正確には目だけではなく、「五感 five senses( "see", "hear", "feel", "smell" "taste" ) でわかるかどうか、が問題です。頭で考えてわかるというのではありません。こうしたわかり方を西洋の哲学では「知覚」perception とよぶようです。};性質が目に見えるモノの「かたち」form をとること。
-商品の価値が現れた「かたち」form を「価値形態」value form とよぶ。
-表現されも、現象しもしない価値の「実体」がまず存在する、とは考えない。「実体」subject という用語は基本命題に反するのでボツ。
#qanda_set_qst(4,1,0){{
<blockquote>
  <p>P: 物体には一定の質量があり、それが重力場に応じて異なる重量となって現れる。</p>
  <p>同じように</p>
  <p>Q: 商品には一定の価値量があり、それが市場に応じて異なる価格となって現れる。</p>
</blockquote>
<p>しかし、PとQの間には「同じように」といえない面がある。どこがどう違うのか、説明せよ。</p>
}}
#qanda(4,1)
#qanda_solution(4,1){{
<p>【解答】</p>
<p>Pは客観的な計測計量における「一定の質量」の現象形態。Qは、同じ市場でも、時間に応じて異なる価格で現れる。</p>
<p>【解答】</p>
<p>一見したところ、うまい具合に対応しているようだが....しかし</p>
<p>Pはだれがはかっても同じ結果になる物理的な世界であり、その原理を、個性をもち同じ状況でも違う振る舞い方をする人間の社会に形式的にあてはまめると、後者の本質を見失うことになる。</p>
<p>ただ外形を比べたとき、形式が「似ている」からという理由で、物理学のモデルを経済学の市場モデルに移植することは、人間の経済の特徴をかえって隠蔽してしまう恐れがある。</p>
<p>【After】</p>
<ul>
<li>難問でした。</li>
<li>価値はそもそも「(存在し)ない」とか、どのようにしてもそもそも「はかれない」という回答はボツとしました。</li>
<li>質量は同じ重力場ではつねに同じ重量となる。価値は同じ市場でも違う価格をもつから。... という類に2点</li>
<li>質量と価値の関係を明確に区別するのはむずかしい。</li>
<li>たとえばこんな回答はどうだろうか。「質量比 m1:m2 は重量場が変わっても変わらない。価格比 p1:p2 は事情が変わると変わる可能性がある。」というのはどうでだろうか?</li>
</ul>
}}
#qanda_set_qst(4,22,0){{
第4回目のライブの講義内容について、質問があればどうぞ。
}}
#qanda(4,22)

**等価物 [#od43c04e]
-価値は《等しい》というかたちで表現される。たとえば
>
1リットルの商品牛乳は、タマゴ10個に《等しい》
<
というように。
#qanda_set_qst(4,2,0){{
<ul>
  <li>P:1リットルの牛乳がタマゴ10個に《等しい》</li>
  <li>Q:1リットルの牛乳はタマゴ10個と《同じ》である</li>
</ul>
<p>PとQが、かならずしも同義にならないことを説明せよ。</p>
}}
#qanda(4,2)
#qanda_solution(4,2){{
<p>【解答】</p>
<p></p>
<p>1リットルの牛乳はタマゴ10個と、外見は「同じ」でないが、価値の大きさが「等しい」とという文が成り立つから。</p>
<p>【解説】</p>
<p>《等しい》というのは、人が「評価」していっているのである。《同じ》というのは、人の「評価」ぬきにいえることである。</p>
<p>だれがみても、1リットルの牛乳とタマゴ10個は全く別物。外見が違う。</p>
<p>1リットルの牛乳パックと「同じ」1リットルの牛乳パックは、スーパーの棚にたくさん並んでいる。並べ替えたら区別のつかない牛乳パックは、すべて「同じ」だという。</p>
<p>「等しい」というのは、外見は全く違うが、一方の何かが他方の何かで「表される」という意味である。</p>
<p>この講義では、この意味で《等しい》と《同じ》を区別して使う。単語としては、両者は入れ替えて使うこともできる。でも、単語をいれかえても、区別はなくらないのだから、入れ替えるなら一貫して入れ替える必要がある。</p>
<p>【After】</p>
<p>これも難問。</p>
}}
#qanda_set_qst(4,3,0){{
次の文章のA,B,Cは?
<blockquote>
「1リットルの牛乳はタマゴ10個に等しい」というのは、1リットルの牛乳の(A)が、タマゴ10個という(B)で表現されるという意味である。このタマゴ10個はただのモノではなく(C)であり、(C)である1リットルの牛乳と同じく(A)をもつ。ただ、「1リットルの牛乳はタマゴ10個に等しい」といっても、この文は「10個のタマゴは牛乳1リットルに等しい」ことを少しも意味しない。タマゴの(A)が牛乳の(B)で表現される必然性はないのである。
</blockquote>
}}
#qanda(4,3)
#qanda_solution(4,3){{
価値、物量、商品
}}

----
&color(red){第6回目のライブ講義はここまで。};
----

#divregion(等価物の定義,admin,lec=4,qnum=3)
-何か(この例では牛乳)に''等しい''とされる対象(この例ではタマゴ)を''「等価物」'' equivalent とよぶ。
-商品の価値は、等価物で''表現''される。
-等価物は、単なる商品ではない。価値表現のために、
>
+表現する側の商品 P が、
+別の商品 Q の、客観的に計量できる 物量Qmを、
+Qのもつ価値に、
<
結合させた合成体である。
-結合のさせ方には、
>
-①単一の商品で、その価値とその物量を結合させる直接型
-②ある量の商品を受けとる権利を使って、価値と物量を結合させる間接型
<
がある。
-金貨幣の基礎は①の直接型の結合である。
-現在の日本銀行券の基礎は、②の間接型の結合である。
-基本命題2:商品の価値は、価値をもつ別の商品から、等価物を''構成する''ことで、表現される。
-「商品 P の価値は、等価物Qに等しい」という。等価物では、物量と価値量が結びつているので、「等価物の価値」といういいかはたしない。「等価物の価値に等しい」のではなく「等価物に等しい」。
-商品P1の価値と商品P2の価値が「同じ」という言い方はOKだとしても、「商品P1の価値と等価物Qの価値が同じ」という言い方はNG、とします。
-重量の計測と、価値の表現(現象)形態の区別は、キチンと区別しようとするとむずかしいですが、一生に一度くらいは考えてみてよい問題です。
#enddivregion

#divregion(等価物による価値表現,admin,lec=4,qnum=3)
#qanda_raw{{
    <div id="equivalent"></div>
    <script src="https://unpkg.com/konva@7.0.7/konva.min.js"></script>
    <script src="./js/konva/coordinate.js"></script>
    <script src="./js/konva/2021/equivalent.js"></script>
}}
#enddivregion


**一般的等価物 [#nc7cc884]

-定義:すべての商品が共通の単一の等価物でその価値を表現するとき、この等価物を「一般的等価物」とよぶ。
 牛乳1リットル = タマゴ10個
 小麦粉1キログラム = タマゴ20個
 豆腐1丁 = タマゴ4個
 .......

#qanda_set_qst(4,4,0){{
次の文章のA,B,Cは?
<blockquote>
<p>等価物が共通で単一のものになるのは、商品の価値が、(A)にだが、他の(B)の商品と交換可能な性質だからである。</p>
<ul>
<li>P:すべての商品が共通の単一の等価物でその価値を表現すれば</li>
<li>Q:この(C)を媒介に間接的に、どの商品も他のどの商品とでも交換可能となる。</li>
</ul>
<p>P → Q は真である。</p>
<p>しかし、だからといって Q → P となるとはかぎらない。無数にある(B)の商品は、すべて(A)にだが、(C)になる可能性をもっている。</p>
<p>したがって、 Q → P を証明するには、どの商品がいかにして(C)になるのかをする必要がある。</p>
<p>ところが、価値の定義であるQのなかに、等価物を特定する内的条件を見つけることはできない。(C)の存在証明は「外的条件」を必要とするのである。<p>
</blockquote>
}}
#qanda(4,4)
#qanda_solution(4,4){{
  <p>【解答】</p>
  <ul>
    <li>潜在的</li>
    <li>すべて or 任意</li>
    <li>一般的等価物</li>
  </ul>
  <p>【解説】</p>
  <ul>
    <li>価値の性格からして、一般的等価物が必要だ、ということまではいえるが、必要なら必ずそれがあるとはかぎらない、という話です。</li>
    <li>「ワクチンがあれば(P)感染症は防げる。だからワクチンは(Q)必ずできる」って、こんなにうまくゆく保証はありません。</li>
    <li>商品価値の定義を基礎に、一般的等価物(そして次の貨幣もふくめて)がどのようにして形成されるのかを説明する理論が「価値形態論」です。詳細は教科書1.3.2「価値形態の展開」に委ねることとし、この講義では深入りしません。</li>
  <li>次の「等価物のつながり」をひらいて、個々の商品の特定の等価物の連鎖を追ってみましょう。</li>
  </ul>
}}

#divregion(等価物のつながり,admin,lec=4,qnum=4)
-乱数をつかって配列をつくってみる。
-0,1,2 .... 番目の商品が、順に下の配列 to の商品を等価物にしている。
#qanda_raw{{
    <form id="form1" action="#">
      <label for="item_number">品目数:</label>
      <input type="text" id="item_number" maxlength="2" size="2">
      <input type="button" onclick="getItemNumber()" value="click">
    </form>
    </div>
    <link rel="stylesheet" href="./barter-circle.css">
    <div id="barter-circle-ransu">
      <p>ここに表示</p>;
    </div>
    <link rel="stylesheet" href="./css/konva/2021/barter-circle.css">
    <div id="barter-circle-ransu"></div>
    <div id="barter-circle"></div>
    <script src="https://unpkg.com/konva@8/konva.min.js"></script>
    <script src="https://unpkg.com/konva@7.0.7/konva.min.js"></script>
    <script src="./js/konva/coordinate.js"></script>
    <script src="./js/konva/2021/barter-circle.js"></script>
}}
-等価物の連鎖構造をみてゆくと、あるパターンをもっていることがわかります。どんなパターンか?
-バラバラな指向性をもつ価値表現であっても、その連鎖を通じて、中心となる商品群が'発生します。
-しかし、この作用だけで、単一で恒常的な一般的等価物ができるわけではありません。
#enddivregion

#qanda_set_qst(4,5,0){{
<p>「バラバラな指向性をもつ価値表現であっても、その連鎖を通じて、中心となる商品群が'<span style="color:red">かならず</span>発生します。 」</p>
<p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(4,5)
#qanda_solution(4,5){{
  <p>【解答】</p>
  <p>真</p>
  <ol>
    <li>0,1,2,.... と最後までいってもループができなかったとする。</li>
    <li>しかし、この最後のものは、自分以外のどれかを等価物にしているはず。(一つ前なら、両思い、二つ前なら三角関係、...)</li>
    <li>だから、商品の数が有限であるかぎり、かならずループができる。</li>
  </ol>
  <p>【解説】</p>
  <ul>
    <li>なるほど、理屈ですね。</li>
    <li>「商品の数が有限である」ことが、暗黙の前提といて含まれているわけですね。</li>
    <li>この条件は、もう少し吟味する必要がありそうです。</li>
  </ul>
  <p>【After】</p>
  <ul>
    <li>「その連鎖を通じて発生する中心となる商品群が存在する」という問題文の意味は、かならずループが発生するという意味です。</li>
    <li> 「0->1->2-> .... ->0 という一つの円環になることがあるから」という回答が多くありました。これも円環で閉じてループをつくっているという意味では、全体が中心になっているので、「閉じない」=「中心が存在しない」という例にはなりません。1点。</li>
    <li>因みに全体が一つの円環になる確率は?</li>
    <li>次のような理由で「偽」とした回答がありました。
<ol>
<li>どれだけ連鎖を通じても途中で途切れてしまうものがあるかもしれないから</li>
<li>関係性が一直線の時などのような状況があるから</li>
</ol>
</li>
    <li>これらは、少なくとも、考えてほしかった命題は、正しく捉えられています。</li>
    <li>これらを論理的に「否定」して「真」という結論を引き出せれば満点です</li>
</ul>
}}
#qanda_set_qst(4,6,0){{
<p>n人が独立にそれぞれ他の商品で価値を表現したとき、0 -> 1 -> 2 .... -> n ->0 という一つの大きなサイクル(ループ)をつくる確率は?</p>
}}
#qanda(4,6)
#qanda_solution(4,6){{
    <p>【解答】(n-1)!/n ** (n-1)</p>
    <p>【解説】</p>
    <ul>
      <li>possibility と probability の問題です。</li>
      <li>問題4-5で「一つサイクルになることもあるから」というのを反例にあげて、偽と応えた回答がおおかったのですが</li>
      <li>これは <font color='red'>可能性 possibility </font>を指摘したものです。論理的な真偽としては、0.0000001 パーセントでも、可能性があれば偽、これでOKです。</li>
      <li>ただ、数学や論理学ではなく、対象科学の分野では、非常にレアーなケースをどこまで考えるか、という問題があります。<font color='red'>蓋然性 probability </font>が重要になってくるのです。経済学も対象科学です。この講義は「理論」中心ですので、質問によく「真か偽か」と問いがでてきますが、真偽だけでは片付かない問題があることに、十分注意してください。</li>
    </ul>
}}
&aname(AfterOfAfter);
#divregion(After of After,admin,lec=4,qnum=6)
- メールで回答があったのでちょっと補足。肝心なのはこれではないのですが....
------
 zoomのチャットにも送りましたが、問題4-6について質問です。(自分は回答が間に合いませんでしたが)
 数字が初めから与えられていて、順番通りになる場合は、自分以外のn-1個の中から自分の次の数字を選ぶので
 1 / (n-1)^n
 ですが、一つのループになる場合は
 (n-1)!
 通りあるので、
 (n-1)! / (n-1)^n
 ではないですか?
 n=3 を代入すると 1 / 4 になります。
 講義のwebページの乱数で品目数を3にして160回試したところ、39回ループになりました。
 n=4 を代入すると 2 / 27 になります。
 品目数を4にして270回試したところ、19回ループになりました。
-----
 正解でしょう。
 n = 3,4,5, … とすると、ループになる確率は
 nに比例してさがるのではなく、加速度的にさがります。
 すこし大きい規模でかんがえれば、
 全体が一つのループになる possibility はあっても probability はない、という話です。
 横軸に n 縦軸に (n-1)!/(n-1)^n  をとったグラフを考えると
 急速にゼロに収束するでしょう。
 おばた
-----
- ブラウザーで 全体が一つの大きなサイクルを計算してみよう。
- chrome だったら「表示>開発・管理>javaScript コンソール」, safari だったら「開発>javaScript コンソールを開く」などで開発ツールをひらき、javaScript コンソールの「>」のところに次に二行をコピペしてみてください。

 var 階乗 = n => n ? n*階乗(n-1) :1 ; // 階乗を計算する組み込み関数はないようなので自前で定義
 Array(100).fill().map((_, n) => {n += 3;console.log(階乗(n-1)/(n-1)**n);}); //[3, 4, 5, ...]の配列をつくって 確率を計算してみよう
//Array(100).fill().map((_, i) => i+3).forEach( n =>{ console.log(階乗(n-1)/(n-1)**n ) }); //[3, 4, 5, ...]の配列をつくって 確率を計算してみよう
//[...Array(100).keys()].forEach( n =>{ console.log(階乗(n-1)/(n-1)**n ) }); // 0,....99 までの配列をつくって計算させてみよう。
- ブラウザーに表示したければ、以下を「>」の後にコピペすればOKです。

 var listOfProb =""; // 確率の値をしまう文字列を初期化
 var 階乗 = n => n ? n*階乗(n-1) :1 ; // 階乗を計算する組み込み関数はないようなので自前で定義
 Array(100).fill().map((_, n) => {n += 3; listOfProb += "<li>"+階乗(n-1)/(n-1)**n +"</li>" ;});
// Array(100).fill().map((_, i) => i+3).forEach( n =>{ listOfProb += "<li>"+階乗(n-1)/(n-1)**n +"</li>" }); // 3,4,5 ...  の確率を計算し、リストタグで囲って文字列に追加
 listOfProb = "<ol start=3>" + listOfProb + "</ol>"; // order list のタグで囲って
 var expr = document.getElementById("expr"); // 空の element #expr を探して
 expr.innerHTML = listOfProb; // 中身を置きかえる

#qanda_raw{{
  <div id="expr"></div>
}}

#enddivregion
&new{2021-06-13 (日) 21:38:59};

**貨幣 [#c3d94c5d]
-定義:一般的等価物が固定され持続性をもったとき、これを&color(red){貨幣};とよぶ。
-はじめに注意。この項で「交換」といっているのは、実際の物々交換ではありません。それは基本的にあり得ません。厳密には「置き換える」という意味で「置換」というべきですが、この点を了解したうえで「交換」という用語を使ってゆきます。
-商品価値は、いつでも交換「できる」という可能性である。かならず今すぐに交換「しなければならない」というわけではない。
-交換「できる」という可能性(=価値)を、交換せずに、ある期間保持する性質を資産性、資産性をもつものを&color(red){資産};とよぶ。
-商品は、多かれ少なかれ資産性をもつ(すべての商品は売れるまでの期間、資産として存在する)。
-瞬間瞬間の一般的等価物と異なり、持続的な貨幣の存在は、資産としての商品の価値を表現することを可能にする。
-貨幣とは、すべての商品価値を、統一的かつ持続的に表現できる%%商品%%等価物である。
-商品の価値表現から必然的に導きだされるこのような貨幣を、&color(red){商品貨幣};とよぶ。
-商品価値の表現、つまり「値段をつけるのに使える貨幣」は、必ず商品貨幣となる。


#qanda_set_qst(5,6,0){{
<blockquote>
  「商品は資産だが貨幣は資産ではない。」
</blockquote>
<p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(5,6)
#qanda_solution(5,6){{
  <p>【解答】</p>
  <p>偽</p>
  <p>商品の資産としての性質は、商品貨幣に継承されるから。</p>
  <p>【解説】</p>
  <ul>
    <li>うえの解答の理由は、完全ではありませんが、「商品価値の表現に用いられる貨幣は、それ自身、価値と結びつきをもっている」わけですから、貨幣をもっている間、価値つまり「交換できるという性質」を保持する性質を持ち続けることになります。</li>
    <li>これはここでの「資産」の定義から推論できる命題ですが、日常のことば使いでも、「貨幣は資産だ」は自然でしょう。ぎゃくに資産じゃない、といえば不自然。ただ、ここでは、日常の言葉遣いがそうだから、「貨幣も資産です」というのではなく、ここでみんなときめた「約束事」にしたがえば、「貨幣も資産である」ことになるよ、と説明してほしいわけです。</li>
    <li>貨幣は、''いつでも''即座に、''どの''商品とでも交換できるという普遍性をもった資産になります。</li>
    <li>これに対して、商品は潜在的にはどのよう商品とでも交換できるという特殊性を帯びた資産になるわけです。</li>
  </ul>
}}

#divregion(貨幣による価値表現,admin,lec=4,qnum=4)
#qanda_raw{{
    <div id="geld-circle"></div>
    <script src="./js/konva/2021/geld-circle.js"></script>
}}
#enddivregion
-5-6は採点外

**価格 [#t5f206d5]
-商品の価値を等価物で表したものが&color(red){価格};である。
--牛乳1リットル = タマゴ10個(牛乳1リットルはタマゴ10個に「等しい」)というとき、「10個は牛乳1リットルのタマゴ価格である」。
-商品の価値を貨幣量で表したものが、商品の貨幣価格である。
-貨幣が存在すれば、すべての商品の価値は貨幣価格(だけ)であらわされるから、以下では断らないかぎり「貨幣価格」のことを短く「価格」とよぶ。
-貨幣量には、法律で定められた単位がある。これは、価格の単位であるが、価値の大きさの単位ではない。
-貨幣が存在する市場では、商品価値はつぎのように表現される。
 牛乳1リットル = 200円
 小麦粉1キログラム = 400円
 豆腐1丁 = 40円
 .......

#qanda_set_qst(5,7,0){{
 <blockquote>
   <p>千円札10枚は一万円札と同じ(A)をもつ。</p>
   <p>しかし、(B)の単位を変更して千円を一万円とあらため、千円札を新しい一万円札に置き換えても、商品の(C)が10倍に増えるだけで、元の千円札(新しい一万円札)の(A)が10倍に増えるわけではない。</p>
   <p>千円札で商品の(A)を表すことはできるが、千円札で千円札の(A)を表すことはできない。(B)には他の商品と共通の(C)は存在しない。千円札のもつ(A)は、さまざまな商品の(C)として、結果的に現れるのである。</p>
 </blockquote>
<p>(A)(B)(C)は?</p>
}}
#qanda(5,7)
#qanda_solution(5,7){{
<p>【解答】</p>
<p>価値、貨幣、価格</p>
}}


-------
#divregion(今回のまとめ,admin,lec=5,qnum=7)
-商品には価値がある。
-商品の価値は、かならず表現される(現象する)。
-価値表現には、かならず等価物がいる。
-等価物が、一つに統一され、持続性をもったものが貨幣である。
-商品があれば、かならず同時に貨幣がある。
-商品の価値は、価格で表現される。
#enddivregion

----
&color(red){第7回目のライブ講義はここまで。}; &new{2021-05-27 (木) 17:42:42};

-今回は出題数が少なかったので退屈だったかもしれません。
-むずかしいけれど重要なところなので、質問を三つ追加しておきます。
----

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