#author("2022-10-26T16:34:34+09:00","default:obata","obata") #author("2022-10-27T15:18:04+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回◁>2022年度/冬学期/第4講]]&color(#447CFF){第&size(32){5};講};[[▷次回>2022年度/冬学期/第6講]] #qanda_setstid(2022-10-20 16:10:00,90) #qanda_who #qanda_mathjax ------ ✔ REC ON&br; ✅ 接続チェック #qanda_set_qst(5,20,0){{ <p>✔ 接続状態をおしえてください。</p> }} #qanda(5,20) CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 自然環境とレント };}; #qanda_points_chart #qanda_points_hist ------ #contents **自然環境の不均質性=有限性 [#qf3830ad] ***有限の意味 [#cb2ccb55] -しばしば自然は「有限」であるといわれる。有限の意味は、同種のモノとしては限られているという意味。 -言い換えれば、自然が多様で不均質であることと同じ意味になる。 -人間が利用しようとするとき、同種のモノとしては有限だが、それに代わるモノはありうる。 -同種のモノの社会的再生産のシステムは、外部の自然環境の不均質性をどのように処理するのか。 ***例解型モデル [#e64bca7e] -電力の生産について、簡単な例解型モデルをつくって、基本原理について考えてみる。 -例解モデルというのは、原理を理解するために極端に単純化し例示イラスト。現実のデータを入れて検証したり、予測したりするための実証型モデルとは違うので注意。経済学では、実証型モデルをつくるのは難しい。 RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,1,0){{ <p>経済学では、自然科学に比して、実証型モデルをつくるのは難しい。最大の理由は?</p> }} #qanda(5,1) #qanda_solution(5,1){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>対象が複雑で、原因・結果の関係を特定しにくい。</li> <li>検証したい内部を外部から、閉じた関係をつくりにくい。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>そのほかにも、観察する人間自体を含んでいること。</li> <li>予測される人間が、予測結果をみて、行動を変更する可能性があること。予測の再帰性。</li> <li>宇宙のかたちを外から観察できないように、経済社会もその内部からでられない人間には、外から観察することができない。</li> <li>...といった側面もあるのですが、この後の例解型モデルでは「解答」に示した点のほうに注意してください。</li> </ul> }} #qanda_scorechart(5,1) ***電力生産による例解 [#ec72fc94] -[[風力発電量>https://www.jwd.co.jp/faq/]] --日本には2019年12月末現在約3,923MW (392.3万kW)、台数にして2,414基(JWPA調べ)の風車 --二酸化炭素(CO2)削減量 =(発電量×0.000488(t-CO2/kWh))-(発電量×0.000025(t-CO2/kWh)) --1kWの発電設備が1時間フル稼働して得られる発電量が1kWhです。 --1500kW風車1基で年間300万kWh程度の発電量が見込まれます。これは一般家庭の800~1,000世帯で使用する電力使用量に相当します。 -[[風力発電コスト>https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denki_cost.html]] --2020年:石炭12.5円/kWh, 陸上風力 19.8円/kWh --2030年:石炭13.6~22.4円/kWh, 陸上風力 9.8~17.2円/kWh RIGHT:3分 #qanda_set_qst(5,2,0){{ <p>電力の生産について、単純化した例で考えてみます。</p> <ol> <li>1年あたりの風力発電:300万kWh/基のコストが 3000万円。発電可能な総量は、$300万kWh\times 3000基 = 90億kWh$</li> <li>1年あたりの石炭発電:300万kWh のコストが 6000万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> </ol> <p>であるとする。以上の条件のもとで、必要な電力総量が100億kWhのとき、風力発電量:石炭発電量の比の値は?</p> }} #qanda(5,2) #qanda_solution(5,2){{ <h4>解答</h4> <p>$9:1$</p> <h4>解説</h4> <ul> <li>コストの低い風力がフルに使用され、足りない分が石炭で発電される。</li> <li>この単純化した例では、風力で90億kWh、残りの10億kWhが石炭発電で補われる。</li> <li>優等な条件から利用されてゆく。これが原則。</li> </ul> }} #qanda_scorechart(5,2) RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,3,0){{ <p>$電力価格=コスト\times(1+0.2)$とする。</p> <p>次の場合、1kWhあたりの電力価格(円/kWh)はそれぞれいくらになるか?</p> <ol> <li>年間の必要電力量が80億kWhの場合</li> <li>年間の必要電力量が100億kWhの場合</li> </ol> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,3) #qanda_solution(5,3){{ <h4>解答</h4> <ol> <li>$3000万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=12円/kWh$</li> <li>$6000万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=24円/kWh$</li> </ol> <h4>解説</h4> <ul> <li>80億kWhの場合は、風力発電のみとなる。</li> <li>100億kWhの場合は、風力発電+石炭発電となる。高い方のコストで採算が合うように電力価格は決まる。</li> <li>平均コスト$(3000\times 90 + 6000\times 10)\div(90+10)$ではなく、劣等な条件のコストが価格の基準になります。</li> <li>因みに<a href="https://htb-energy.com/article/price/a36">1kWhあたり27円</a>という数値はよく目にします。</li> </ul> <h4>After</h4> <a href="https://www.geogebra.org/classic/jvc2zet3">図解</a> }} #qanda_scorechart(5,3) RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,4,0){{ <p>年間の必要電力量が100億kWhのとき、石炭発電に比べて風車発電では、1基あたり何円多くの利益を得られるか?</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,4) #qanda_solution(5,4){{ <h4>解答</h4> $(24-12)円/kWh \times 300万kWh = 3600万円$ <h4>解説</h4> <p>電力の価格が24円にまで上がらないと、石炭発電はおこなわれない。</p> <p>2割しか生産していない石炭発電の$コスト+マージン=24円$で、全体の電力価格はきまる。</p> <p>その結果、有利な条件を利用する者には超過分の利益が発生します。</p> }} #qanda_scorechart(5,4) RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,5,0){{ <p>風車をタダで設置できれば風力発電が有利である。</p> <p>このとき、相対的に不利な石炭発電をおこなっている者はどのような行動をとるか?</p> }} #qanda(5,5) #qanda_solution(5,5){{ <h4>解答</h4> <p>使用料を払って設置地を借り受け、自分で風車を設置しようとする。</p> <h>解説</h> <ul> <li>風車の耐用年数は数十年。だから、風車の設置には年単位ではなく、実際にはもっと長期の土地使用契約が必要になるでしょう。</li> <li>その他、現実問題としては、もっといろいろな条件が関係するので、こんなに単純にはゆきません。繰り返しますが、ここで考えているのは、現実に適用可能な実証型モデルではなく、基本原理を理解するための例解モデルです。</li> <li>ただこの例解でも、有利な風車の利用を求める<strong>競争</strong>がおこなわれることがわかります。</li> <li>そして、競争の結果、風車の設置地に利用料が発生することもわかります。</li> </ul> }} #qanda_scorechart(5,5) ***レント [#wde25c36] -一定期間、借りて利用するための利用料を''レント'' rent (賃料)とよぶ。 -土地の利用料である地代 land rent は、レントの一種です。 -レントは、''貸借''によって一定期間の用益権を''売買''するときの、用益権という商品の''価格''です。 -レントは、部屋を借りたり、自動車を借りたり、貨幣を借りたりする場合にも発生します。利子もレントの一種です。「率」で与えられても、レントはあくまで''価格''の範疇に属します。増殖率と勘違いしてはいけません。教科書☜74ページ ***差額地代 [#vfe0a3ea] -生産過程には、客観的な有利不利があれば、有利な条件を借り受けようとする競争によって、地代は上がり、けっきょく超過分はすべて貸主に支払われることになります。 -このようにして発生する地代を''差額地代'' differencial rent とよびます。 #qanda_set_qst(5,6,0){{ $$ \begin{align} 土地A\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地A100\,m^2 +小麦18kg \\ 土地B\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地B100\,m^2 +小麦12kg \end{align} $$ <p>土地は借りて利用されているとする。小麦の必要総量が30kgのとき、なにが生じるか?</p> }} #qanda(5,6) #qanda_solution(5,6){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>土地A $100\,m^2$ あたり、小麦6kgの地代が発生する。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>地代はふつう貨幣地代で説明されます。</li> <li>この講義では、市場を前提にしなくても、もっと原始的なかたちで物量型の地代は発生する、というかなり特異な議論をしています。</li> </ul> }} #qanda_scorechart(5,6) #qanda_set_qst(5,7,0){{ $$ \begin{align} 土地A\,100\,m^2 + 小麦10kg & \longrightarrow 土地A100\,m^2 +小麦24kg \\ 土地B\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地B100\,m^2 +小麦12kg \end{align} $$ <p>土地は借りて利用されているとする。小麦の必要総量が36kgとする。</p> <p>さらに、小麦は5kg単位で播くことができるとする。</p> <p>このときなにが生じるか?</p> }} #qanda(5,7) #qanda_solution(5,7){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>土地Aには小麦12kgの地代が発生する。</li> <li>土地Bにも小麦6kgの地代が発生する。</li> </ul> <h4>解説</h4> $$ \begin{align} 土地A\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地A100\,m^2 +小麦18kg \\ 土地A\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地A100\,m^2 +小麦6kg \\ 土地B\,100\,m^2 + 小麦5kg & \longrightarrow 土地B100\,m^2 +小麦12kg \end{align} $$ <ul> <li>5kg単位で播くことができるとすれば、上のように土地Aに対して二つの生産方法が存在すると考えることができる。</li> <li>土地Aに12kgの地代を払って10kgを播いても、土地Bに6kgの地代を払って5kgを播いても、同じことになる。</li> <li>いちばん条件の悪い $5kg \to 6kg$が基準となり、これをこえる超過分が、借り受け競争によって、地代になるわけです。</li> </ul> }} #qanda_scorechart(5,7) #qanda_set_qst(5,21,0){{ <p>ここまでOKですか?わからない点、もっと説明が必要な点があればどうぞ</p> }} #qanda(5,21) **技術と環境 [#bfccc81d] RIGHT:1分 #qanda_set_qst(5,8,0){{ <p>差額地代の例として、耕作地以外にどんなものが考えられるか?</p> }} #qanda(5,8) #qanda_solution(5,8){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>特許法などで保護された技術</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>ほかにも種苗法で保護された植物の品種などいろいろありますが</li> <li>第3講の「レイアで捉える」で考えたように、ナマの自然に直接利用しているわけではありません。</li> <li>社会的再生産は、$知識\to 技術 \to 生産手段(モノの体系)$ という階層構造で、自然環境に外接しています。</li> <li>このうち$技術 \to 生産手段$の部分に対して、私有をみとめる制度が存在すれば、差額地代と同じくレントが発生します。</li> </ul> <h4>After</h4> <p>生産技術についても、自由な利用に法的な制限が与えられれば、差額地代の原理がはたらく可能性に気づいてほしかったのですが、この点にふれた解答は前年ながらゼロでした。</p> }} ***技術の発展 [#w9b7c623] RIGHT:3分 #qanda_set_qst(5,9,0){{ <p>石炭発電に新たな技術が開発され、それが特許で保護されているとする。</p> <ol> <li>1年あたりの風力発電:300万kWh/基のコストが 3000万円。発電可能な総量は、$300万kWh\times 3000基 = 90億kWh$</li> <li>1年あたりの石炭発電A:300万kWh のコストが 6000万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> <li>1年あたりの石炭発電B:300万kWh のコストが 4800万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> </ol> <p>であるとする。</p> <p>また$電力価格=コスト\times(1+0.2)$とする。</p> <p>以上の条件のもとで、必要な電力総量が100億kWhのとき、1kWhあたりの電力価格(円/kWh)はいくらになるか?</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,9) #qanda_solution(5,9){{ <h4>解答</h4> $$6000万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=24円/kWh$$ <h4>解説</h4> <ul> <li>石炭発電Bは効率はよいが特許に守られているので、自由に生産を増やせるのはいちばん条件の悪い石炭発電A。</li> <li>100億kWhを生産するとき、レントなしで利用できる条件:石炭発電Aが電力価格を決定することになる。</li> <li>だから前問と同じ答えになる。</li> </ul> <h4>After</h4> <ul> <li>「石炭発電に新たな技術が開発され、それが特許で保護されているとする。」という1行目の文の意味が伝わらなかったようです。</li> <li>「石炭発電に新たな技術<span style='color:red'>B</span>が開発され、それが特許で保護されているとする。」と強調すべきでした。</li> </ul> }} RIGHT:1分 #qanda_set_qst(5,10,0){{ <p>上の問題の条件のもとで、風車1基の設置に対する地代はいくらになるか。</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,10) #qanda_solution(5,10){{ <h4>解答</h4> $$(24-12)円/kWh \times 300万kWh = 3600万円$$ <h4>解説</h4> <p>これも前問と同じになります。</p> }} RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,11,0){{ <p>上の問題の条件のもとで、石炭発電Bの技術の使用量は、1kWh あたり何円になるか。</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,11) #qanda_solution(5,11){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>$4800万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=19.2円/kWh$</li> <li>$24-19.2=4.8円/kWh$</li> </ul> <h4>解説</h4> <p>このとき、100億kWhのうち90億kWhは風力発電、10億kWhは石炭発電Bでまかなわれ、石炭発電Aは実際には使われません。</p> }} RIGHT:3分 #qanda_set_qst(5,12,0){{ <p></p> <ol> <li>1年あたりの風力発電:300万kWh/基のコストが 3000万円。発電可能な総量は、$300万kWh\times 3000基 = 90億kWh$</li> <li>1年あたりの石炭発電A:300万kWh のコストが 6000万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> <li>1年あたりの石炭発電B:300万kWh のコストが 4800万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> <li>1年あたりの石炭発電C:300万kWh のコストが 2400万円。発電可能な総量は1000億kWh</li> </ol> <p>であるとする。</p> <p>また$電力価格=コスト\times(1+0.2)$とする。</p> <p>以上の条件のもとで、必要な電力総量が100億kWhのとき、1kWhあたりの電力価格(円/kWh)はいくらになるか?</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,12) #qanda_solution(5,12){{ <h4>解答</h4> $$6000万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=24円/kWh$$ ($4800万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=19.2円/kWh$ も正解としました) <h4>解説</h4> <ul> <li>もし石炭発電Cが利用できないとき、電力100億kWhを生産するには、風力発電だけでは足りない。石炭発電Bが必要になる。</li> <li>自由に利用できるのは石炭発電Bが電力価格を決定する。</li> <li>$4800万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=19.2円/kWh$</li> </ul> <h4>After</h4> <ul> <li>問題文に曖昧なところがありました。</li> <li>石炭発電Bのほうは特許で保護されていないと想定して、$4800万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=19.2円/kWh$を正解としたのですが、問題文からは稿は読めません。</li> <li>$6000万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=24円/kWh$を正解とし、$4800万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=19.2円/kWh$にも加点しておきました。</li> </ul> }} RIGHT:2分 #qanda_set_qst(5,13,0){{ <p>上問のケースで、風車一基の設置料、石炭発電Bの1kWhあたりの特許の使用料、石炭発電<del> B </del>(誤り) Cの1kWhあたりの特許の使用料は、それぞれいくらか?</p> <p>式も書くこと。</p> }} #qanda(5,13) #qanda_solution(5,13){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>風車一基の設置料: 0円</li> <li>石炭発電Bの1kWhあたりの特許の使用料: 0円</li> <li>石炭発電Cの1kWhあたりの特許の使用料: 9.6円/kWh</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>石炭発電C:$2400万円\div 300万kWh\times(1+0.2)=9.6円/kWh$</li> <li>その結果、石炭発電Cには、$19.2-9.6=9.6円/kWh$の超過分が発生。これがレントになる。</li> <li>このレントを支払えば、石炭発電Cだけで、必要な100億kWhをすべて生産できますから、</li> <li>このケースでは、実際に用いられるのは、石炭発電Cだけです。</li> <li>したがって、風力発電も石炭発電AもBも使われないことになります。</li> </ul> <h4>After</h4> <ul> <li>問題の題意が伝わらなかったようです。</li> <li>解説に書いたことを短時間で答えることはむずかしかったでしょう。</li> <li>三つに分けて応えていたものに2点、ともかく差額を計算していたものに1点としました。</li> <li>回答に正解はありませんでした。</li> </ul> }} #qanda_set_qst(5,22,0){{ <p>ここまでOKですか?わからない点、もっと説明が必要な点があればどうぞ</p> }} #qanda(5,22) **まとめ [#q8047425] #divregion(まとめ,admin,lec=4,qnum=12) #divregion(「生産」に関する全体的なまとめ,admin,lec=5,qnum=13) +はかることのできる外的対象をモノとよぶ。 +モノの反応過程を、インプットとアウトプットとして捉えたものを「自然過程」とよぶ。 +モノの量が増える自然過程が生産、減ることが消費である。 +複数のインプットを伴う自然過程の増減は、相互に連関した自然過程の系全体「社会的生産」に関していえる。 +「社会的生産」はインプットをアウトプットから補填することで、繰り返すことができる。これを「再生産」とよぶ。 +社会的再生産は、内部にインプットとアウトプットの循環をもつ閉じた系にみえるが、人間が自然環境の一部を切り取ったことによるもので、実際には物質やエネルギーを取り込み排出する外部環境の基礎のうえに成りたっている。 +外部環境は経済学が想定してきた「本源的で不滅な力」ではなく、自然に対する知識と技術の蓄積によって、人間に利用可能になった歴史的な関係である。 +外部環境は、「本源的で不滅」であるわけではないが、本質的に不均質な性格をもち、人間の経済合理的な活動は優等な条件を求め、局所を集中的に利用するかたちをとる。 #enddivregion