#author("2022-08-09T08:36:11+09:00","default:obata","obata")
#author("2022-08-09T08:37:01+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2022年度/夏学期/第13講]]&color(#447CFF){第 &size(32){14}; 講}; [[▷ 次回>2022年度/夏学期/第15講]]
#qanda_setstid(2022-07-28 16:10:00,90)
#qanda_who
#qanda_mathjax
------

CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 資本の概念  };};
#contents
#qanda_points_chart
#qanda_points_hist

✔  REC ON&br;
✅ 接続チェック

------

#qanda_set_qst(14,20,0){{
<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
<p>氏名不詳になってしまった人がいれば教えてください。</p>
<hr>
}}
#qanda(14,20)
----
7月21の講義は[[ここ&#x2196;>2022年度/夏学期/第10講#july21]]から
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**ネライ [#b0530963]
-転売 G - W - G' を、資本といってしまう愚かさを知る。
-資本はただの転売に非ず。

**費用と利益 [#m0e7f690]

RIGHT:1分問題
#qanda_set_qst(14,1,0){{
<p>1週間の間に、60円で仕入れた缶ジュース60本と、80円で仕入れた缶ジュース40本を、70円で20本、100円で80本、すべて販売した。</p>
<p>利益はいくらか。計算式を書け。</p>
}}
#qanda(14,1)
#qanda_solution(14,1){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$(70,100)(20,80) - (60,80)(60,40)= 9400-6800 = 2600$</p>
}}

RIGHT:1分問題
#qanda_set_qst(14,2,0){{
<p>1本(1単位)の仕入れ価格を<strong>原価</strong>、1本(1単位)あたりの儲け(もうけ)を<strong>マージン</strong>という。</p>
<p>前問で、原価、マージンはいくらか?計算式を書け。</p>
}}
#qanda(14,2)
#qanda_solution(14,2){{
  <h4>解答</h4>
  <ul>
    <li>個々の転売としてみると、
      <ol>
        <li>原価は60円か80円</li>
        <li>マージンは
        <ol>
          <li>$70-60=10円$</li>
          <li>$70-80=-10円$</li>
          <li>$100-60=40円$</li>
          <li>$100-80=20円$</li>
        </ol>
        のいずれかの可能性がある。
        </li>
      </ol>
    </li>
    <li>集計でみると、
      <ol>
        <li>平均原価は$(60,80)(60,40)/(60,40)(1,1) = 68円$</li>
        <li>平均マージンは$(70,100)(20,80)/(20,80)(1,1) - (60,80)(60,40)/(60,40)(1,1) = 26円$</li>
      </ol>
    </li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
  <li>缶ジュースは混ぜたら区別がつかない<strong>同種</strong>の商品である。60円の原価で仕入れた缶ジュースが、70円で売れたのか100円で売れたのか、は特定できない。</li>
  <li>同様に、80円の原価で仕入れた缶ジュースが、70円で売れたのか100円で売れたのか、も特定できない。</li>
  <li>仕入れた商品は同種の缶ジュースの<strong>在庫</strong>を形成し、そのなから何本かずつ売られてゆく。本問では1週間後に在庫はカラになるが、いつもカラになるとは限らない。</li>
  <li>このようなバラついた事象をみると、すぐに平均で処理しようとしたくなるが、何でもかんでもすぐに平均値を計算するのは安直である。</li>
  <li>本問の正答は、「解答」のうち、「個々の転売として」みた一番目。</li>
  <hr>
  <li>本問では「1週間後に在庫はカラになる」から、「正答」の原価とマージンをどう組み合わせてみても、仕入れ総額、販売総額、そしてその差である利益は変わらない。</li>
  <li>だから、利益の計算では、一本一本、別々に転売されゆく G - W - G' を考えずに、${\bf P_{sale}T_{sale} } - {\bf P_{buy}T_{buy} }$ という集計結果で利益は計算できる。</li>
  <li>したがってまた、集計計算である利益を前提に、一本あたりの原価、マージンは、事後的にだが、一意に計算することができるようにみえる。</li>
  <li>しかし、平均原価や平均マージンは、集計の基礎となる原価とマージン(売値-原価)という概念としては不適格。</li>
  <li>利益の計算において平均原価を前提することはできない。利益→平均原価なのであり、平均原価→利益とはならないから。利益はまず、個々の商品の個別の原価を前提にして、利益を計算しなくてはならない。</li>
  <li>事実、平均マージンの計算式をよく見れば、その前提となる利益の計算では、個別の原価$(80,60)$と個別の売値$(70,100)$を前提にしている。基本は(原価、マージン)→利益なので、逆ではないのである。</li>
  <li>なお、前問14-2 で利益の計算を求めたとき、ユニークな回答がありました(回答29)。
    $$(70-60)\times20+(100-60)\times40+(100-80)\times40=2600$$
    これは、個別にマージンをもとめ、これに対応する本数$(20,40,40)$を割り振ったもので、本問14-2 で気づいてほしかった論点を先取りしています。1点満点で評価したしたのですが、この回答だけ特別に2点つけた理由です。
  </li>
  <hr>
  <li>この集計の母体となっているのは、売買をおこなう人(主体:個人のことも会社のこともある)。①その主体のもとで、②一定期間におこなわれた、いろいろな売買が対象。</li>
  <li>利益を目的に転売をおこなう主体を「商人」あるいは「資本家」という。</li>
  <li>利益は、個別商品レベルの売買差額とは、次元が違うこと、OKでしょうか?</li>
  </ul>
  <h4>After</h4>
  <ul>
    <li>平均値の回答が大半でした。「原価 60円 80円 マージン 10円 40円 20円」という回答が一つあり(回答47)、マージンにもう一つ -10円 が欠けていますが、3点にしました。マイナスなので書かなかったのかも...</li>
    <hr>
    <li>問題点をハッキリさせるために、「1週間後に在庫はカラになる」という設定を変更してみましょう。</li>
    <li>「1週間の間に、60円で仕入れた缶ジュース60本と、80円で仕入れた缶ジュース40本を、70円で20本、100円で60本、販売した。」(100円で <del>80本</del> → 60本)</li>
    <li>このとき、マージンは?原価のほうは「解答」の平均原価がいちおう求まりますが、利益から平均値を求めようとしても .... </li>
    <li>$利益 = (70,100)(20,60)-(60,80)(60,40) = 7400-6800 = 600円$</li>
    <li>売れたのは80本だから $マージン=600/80=7.5円$ ... って、ヘンじゃありません?5分の1売れ残っただけで、平均マージンが26円から7.5円に、つまり3分の1以下になってしまう?</li>
    <li>利益計算のとき、20本はまだ売れていないけれど売れれば収益をもたらす資産として存在しているのですから、収入は $(70,100)(20,60)$だけではなく、この在庫の評価を加えておく必要があります。</li>
    <li>問題は二つあります。第一に、買値で評価するか、売値で評価するか。売値で評価するというのは、いわゆる「含み資産」のようなもので、今週の実績である70円か100円かにするのが妥当なようにもみえますが、将来のことですから、もっと高くも低くも見積もることができます。これに対して、買値で評価するという場合は、もう60円か80円かで確定しているので、こちらの方が客観性がありそうです。</li>
    <li>そこですでに実現された仕入れ価格で評価するとして、第二に、この20本は60円なのか80円なのか、あるいは $(60,80)(t,20-t)$ のように適当に割り振るのか、を決める必要があります。ところが、この場合、きめる基準はきまっていません。</li>
    <li>だから、全部80円ということにするなら、利益は$$(70,100)(20,60)+80*20-(60,80)(60,40) = 9000-6800 = 2200円$$ 全部60円とするなら$$(70,100)(20,60)+60*20-(60,80)(60,40) = 8600-6800 =18000円$$適当に割り振ればこの中間の額になります。ここから平均マージンを計算すれば、やはり80本で割って、27.5円か、22.5円か、その間、ということになります。</li>
    <li>要するに、在庫の評価が一義にきまらないので、利益も一つに決まらないのです。</li>
    <li>これは「集計」という操作がもつ宿命です。すでに、物価指数のところで話したのです(問題10-10)が、覚えていますか?個々のデータは客観的にきまるのですが、異なるものをどうウェートづけするかに、主体の「評価」が不可欠となるのです。</li>
  </ul>
}}

RIGHT:1分問題
#qanda_set_qst(14,3,0){{
<p>利益は、ストックかフローか、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(14,3)
#qanda_solution(14,3){{
  <h4>解答</h4>
  <p>ストック</p>
  <ul>
    <li>各時点時点で計算できる一定量として存在するから。</li>
    <li>売上高(収益)と費用総額というフローの差額として<strong>残る</strong>から。</li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
      <li>タンクに水が、毎分Aリットル流れ込み、Bリットル流れ出す。7分後、タンクに水は何リットルたっているか。</li>
      <li>$A>B$ならもちろん$7A-7B$リットル。フローの差がストックになるわけ。</li>
  </ul>
}}

#qanda_set_qst(14,4,0){{
<p>缶ジュースを売買するために、1週間の料金が1000円のマーケットプレースを利用した。</p>
<p>この料金は1本あたり10円になる。</p>
<p>したがって、これも缶ジュースの原価に含め、平均原価を68円ではなく、78円として計上した。</p>
<p>マーケットプレースの利用料を原価に含める処理は合理的か?理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(14,4)
#qanda_solution(14,4){{
  <h4>解答</h4>
  <p>不合理</p>
  <ul>
    <li>仕入れの金額は、缶ジュースの本数に応じて変化するが、マーケットプレースの利用料は、何本仕入れようと一定であり、性質の異なる費用だから。</li>
    <li>変動費と固定費は区別して処理するべきだから。</li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>マーケットプレースを仕入れて売っているわけではないから、マーケットプレースの利用料を売値に上乗せできない。高いマーケットプレースを利用すると、その分、同じ缶ジュースが高く売れる、と安易に思っている人は、実際に商売をすると損をする。</li>
    <li>マーケットプレースの利用料は、売値$p_{sale}$を高めるのでない。</li>
  </ul>
}}

#qanda_set_qst(14,5,0){{
    <p>「マーケットプレースの利用料は、売値$p_{sale}$を高めるのでない」としたら、なんのためにこんな費用を支出するか。</p>
}}
#qanda(14,5)
#qanda_solution(14,5){{
  <h4>解答</h4>
  <p>売れる缶ジュースの本数がふえるから。</p>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>${\bf P_{sale}T_{sale} } - {\bf P_{buy}T_{buy} }$ の${\bf P_{sale} }$を増加させるのではなく、${\bf P_{sale}, P_{buy} }$を増加させることで、収益が増加するから。</li>
    <li>マーケットプレースの利用料(賃料)のように、売買に要する費用を<strong>流通費用</strong>という。店舗や倉庫の賃料とか宣伝広告費とか、会計処理の費用とか、いろいろあるが、これらを「売られる商品の仕入れ値」=原価とゴッチャにしないようにしよう。</li>
    <li>売買差額である利益を<strong>粗利益</strong>という。粗利益(「あらり」<strong>粗利</strong>ともいう)から流通費用を差し引いた利益を<strong>純利益</strong>という。$$純利益=粗利益-流通費用$$</li>
  </ul>
}}

#qanda_set_qst(14,6,0){{
<p>週1000円のマーケットプレースの利用をやめたら、仕入れ価格と販売価格はもとのままで、ただ売買される本数が全部半分になった。</p>
<p>$(60,80) \to (60,80); (70,100) \to (70,100)$</p>
<p>$(60,40) \to (30,20); (20,80) \to (10,40)$</p>
<p>マーケットプレースを利用するメリットは?理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(14,6)
#qanda_solution(14,6){{
  <h4>解答</h4>
  <p>純利益が増加すること</p>
  <ul>
    <li>利用しないとき:$$純利益=2600 \div 2 = 1300円$$</li>
    <li>利用したとき:$$純利益=2600-1000 = 1600円$$</li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <p>ただし、これは純利益が多いかどうかで有利不利を判断してよいかどうか。</p>
  <p>ほんとうにどっちがよいか、判断するには、実は、もうちょっと考えなくてはいけない要素がある。なんだろう?</p>
}}

**資本と利潤 [#qa0e9198]
#qanda_set_qst(14,7,0){{
  <p>「1週間の間に、60円で仕入れた缶ジュース60本と、80円で仕入れた缶ジュース40本を、70円で20本、100円で80本、すべて販売した。」(問題14-1と同じ)</p>
  <p>2600円の粗利をあげるために最初に必要な元手は6800円である。</p>
  <p>真か偽か。理由を述べよ。</p>
}}
#qanda(14,7)
#qanda_solution(14,7){{
  <h4>解答</h4>
  <p>偽</p>
  <p>1週間の間に、ある部分を仕入れ、売れた代金でまた仕入れて売る、という繰り返しができるので、仕入れ総額6800円<strong>以下</strong>の元手で、2600円の粗利をあげることができる。</p>
  <h4>After</h4>
  <p>「缶ジュース100本を買うのに計6800円必要だから。」(回答21)は誤答ですが、ともかく問題文の意味を理解しているとみて、同類の回答は1点としました。</p>
}}

#qanda_set_qst(14,8,0){{
  <p>「1週間の間に、60円で仕入れた缶ジュース60本と、80円で仕入れた缶ジュース40本を、70円で20本、100円で80本、すべて販売した。」(問題14-1と同じ)</p>
  <p>このために、週のはじめに5400円を仕入れの元手として準備した。</p>
  <p>マーケットプレースの賃料が先払いなので、さらに1000円を元手に追加。</p>
  <hr>
  <p>仕入れのための元手に対する粗利の比率を<strong>粗利潤率</strong>という。</p>
  <p>すべての元手に対する純利益の比率を<strong>純利潤率</strong>という。</p>
  <p>$P_0 =(60,80) ; P_1 = (70,100)$</p>
  <p>$T_0 =(60,40) ; T_1 = (20,80)$</p>
  <p>$K=5400; z = 1000$ </p>
  <hr>
  <p>このとき、粗利潤率と純利潤率は、それぞれ何パーセントか?計算式を書け。</p>
}}
#qanda(14,8)
#qanda_solution(14,8){{
  <h4>解答</h4>
  <ul>
    <li>粗利潤率:$\displaystyle \frac{P_1T_1-P_0T_0}{K}=\frac{(70,100)(10,40)-(60,80)(60,40)}{5400}=2600/5400 \fallingdotseq 0.48; 48\%$</li>
    <li>純利潤率:$\displaystyle \frac{P_1T_1-P_0T_0-z}{K+z}=\frac{(70,100)(10,40)-(60,80)(60,40)-1000}{5400+1000}=1600/6400 = 0.25; 25\%$</li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>元手のことを<strong>資本</strong>という。</li>
    <li>資本の増殖分として(つまり利潤率として)とらえた利益を<strong>利潤</strong>とよぶ。資本と利潤はペアーをなす概念。</li>
    <li>資本はある時点で「投下」された金額である。</li>
    <li>資本はフロー量か、ストック量か?もちろん、ストック量。</li>
    <li>問題のケースでは、資本は、はじめ全部貨幣で構成されているが、週の途中では貨幣と商品で構成される。</li>
    <li>たとえば、一日目に60円の缶ジュースを60本仕入れたら....</li>
    <li>資本6400円に対応する資産のうち、貨幣額が3600円へり、在庫が3600円ふえる。</li>
  </ul>
}}

RIGHT:1 分問題
#qanda_set_qst(14,9,0){{
<p>マーケットプレースの賃料1000円が後払いだったら、純利潤率は何パーセントになるか?計算式も書け。</p>
}}
#qanda(14,9)
#qanda_solution(14,9){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$1600/5400 \fallingdotseq 0.30; 約30\%$ </p>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>しかし、マーケットプレースの貸し手も黙ってはいないだろう。</li>
    <li>後払いのときの賃料を1000円から引き上げてくるだろう。</li>
    <li>さて、いくら以上引き上げてきら、先払いにするほうが有利になるか、計算してみよう。</li>
  </ul>

  <h4>After</h4>
  <ul>
    <li>$\displaystyle \frac{2600-1000}{5400+1000}=\frac{2600-z}{5400}$ から$z=1250$
  </li>
  <li>つまり、後払いだと25%ましになると、先払いでも後払いでも同じことになる。</li>
  </ul>
}}

RIGHT:1 分問題
#qanda_set_qst(14,10,0){{
<p>もう一度マーケットプレイスを利用しないケースを考えてみる。</p>
<p>仕入れ値、売値は変わらず、売買数量が半分になるケースである。</p>
<p>売買数量が半分になるので、投下する資本額も半分で済むと仮定する。</p>
<p>このとき、純利潤率は何パーセントか。計算式も書け。</p>
}}
#qanda(14,10)
#qanda_solution(14,10){{
  <h4>解答</h4>
  <p>$約48\%;1300/2700*100$</p>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>利益の金額は半分になるが、投下資本の額も半分になるので、利潤率は問題14-8の粗利潤と同じになる。</li>
    <li>この問題では、流通費用をかけ以内ケースだから、流通費用を支出しない場合の利潤率、つまり粗利潤率と、純利潤率とが一致する。</li>
    <li>$\displaystyle \frac{P_1T_1/2-P_0T_0/2}{K/2}= \frac{P_1T_1-P_0T_0}{K}=\frac{(70,100)(20,80)-(60,80)(60,40)}{5400}=2600/5400 \fallingdotseq 0.48; 約48\%$</li>
    <hr>
    <li>マーケットプレースの賃料1000円が後払いでも純利潤率は$約30\%$だった。</li>
    <li>ということは、実はこの賃料がそもそも高すぎたのだ。</li>
    <li>問題10-6で、「もうちょっと考えなくてはいけない要素がある。なんだろう?」といったのはこの点。</li>
    <li>純利益の絶対額で判断するのは、アサハカ。</li>
    <li>それを得るために投下した資本額との関係で、つまり純利潤率で判断する必要があったのだ。</li>
    <li>原価と流通費用をゴチャゴチャにすると、こうした判断ができなくって損することになるのだ。</li>
    <li>さて、賃料がいくら以下になれば、マーケットプレースを利用するメリットがでてくるか?計算してみよう。</li>
  </ul>

  <h4>After</h4>
  <ul>
    <li>「計算してみよう。」といったのですが、実のところ、「マーケットプレースを利用するメリットがでてくる」のは、マーケットプレースの利用料が0円のとき、でした。つまり、この仮定のものでは、利用したら損するワケです。</li>
    <li>あらためて考えてみると、問題文の「売買数量が半分になるので、投下する資本額も半分で済むと仮定する。」がヘンなのです。</li>
    <li>本当は、マーケットプレースを利用すると、次々に販売されるので、販売代金でまた仕入れるかたちで、運転資金を頻繁に回せるので、はじめに仕入れに必要な元手が少なくて済むのです。逆に、利用しないと、はじめに多くの元手を用意しないといけないわけです。</li>
    <li>だから「売買数量が半分になる<del>ので</del>→が、投下する資本額<del>も半分で済む</del>→は変わらないと仮定する。」ほうが自然です。</li>
    <li>この仮定のもとで純利潤率を計算すると
      $$\displaystyle \frac{P_1T_1/2-P_0T_0/2}{K}= \frac{P_1T_1-P_0T_0}{K}=\frac{(70,100)(20/2,80/2)-(60,80)(60/2,40/2)}{5400}=1300/5400 \fallingdotseq 0.24; 約24\%$$
      となり、マーケットプレースを利用したほうが、1ポイントほどですが、得になります。
    </li>
    <li>「投下する資本額<del>も半分で済む</del>は変わらない」という仮定も、強い必然性はありません。ただ、同じ$K=5400$で売買できる缶ジュースの本数$T_0 =(60,40) ; T_1 = (20,80)$が、マーケットプレースを利用しないと、これ以下になる、と仮定することは合理的なので、その範囲で「投下する資本額<del>も半分で済む</del>は変わらない」という仮定も許されるでしょう。</li>
    <li>要するに、マーケットプレースを利用しないことによる売上本数の減少と、マーケットプレースの賃料を秤にかけて、どっちの純利潤率が高くなるかで、利用するかしないかを判断する必要があるわけです。これはもちろん、見込みの計算になりますが、こうした計算をキッチリしないとビジネスにはなりません。将来起業しようと思っている人は、アタマの片隅に入れておくとよいかも...</li>
  </ul>
}}

**まとめ:資本という計算フレーム! [#f30db137]
//#divregion(計算フレーム,admin,lec=14,qnum=10)
-転売によるマージンは、個々の商品レベルのスカラー計算のフレーム。
-ベクトルに対して集計の演算が定義された資本の計算フレームとは次元が違う。
-資本の計算フレーム
>
+利益:売上総額 - 費用総額(集計概念)
+費用:原価(単価計算ができる)+流通費用(単価計算ができない)
+投下資本額:ある時点に投下された金額。ストック値。
+粗利:ある期間の売上高(販売総額 ${\bf P_1T_1}$ )から仕入れ総額(原価=費用価格 cost price の総額、 ${\bf P_0T_0}$)を引いた儲け。フローの差額でストック値。
+粗利:ある期間の売上高(販売総額 ${\bf P_1T_1}$ )から仕入れ総額(原価=費用価格 cost price の総額 ${\bf P_0T_0}$)を引いた儲け。フローの差額でストック値。
+純利益:粗利から流通費用を引いた儲け。これもストック値。
+純利潤率=純利益/投下資本額
< 
-資本は純利潤率は、最大化をもとめて競争する。この利潤率の決定原理は、後期の「経済理論」で....
//#enddivregion

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