#author("2023-07-21T23:05:18+09:00","default:obata","obata") #author("2023-07-22T09:10:42+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回 ◁ >2023年度/夏学期/第11講]]&color(#447CFF){第 &size(32){12}; 講}; [[▷ 次回>2023年度/夏学期/第13講]] ---- #qanda_setstid(2023-07-20 16:20:00,100) #qanda_who #qanda_mathjax #qanda_points_chart #qanda_points_hist ✔ REC ON&br; ✅ 接続チェック #qanda_set_qst(12,100,0){{ <p>✔ 接続状態をおしえてください。</p> }} #qanda(12,100) CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 物価指数 };}; #contents ------ **概要 [#ce74c646] -一定期間に取引される商品総額と貨幣の存在量の関係について考える。 -異なる貨幣ベクトルを比較する指数の考え方を理解する。 -購買力として規定される貨幣の価値の不可測性について考えてみる。 **貨幣量と売買額 [#pbd9dd72] #qanda_set_qst(12,1,0){{ <p>ある期間、貨幣量が一定で$M$円、1円あたり売買額が平均$v$円、価格ベクトルが一定で$P=(p_1,p_2,\cdots,p_n)$、取引された物量ベクトルが$X=(x_1,x_2,\cdots,x_n)$であった。</p> <p>これらの間に成りたつ等式を示し、両辺の意味を説明せよ。</p> }} #qanda(12,1) #qanda_solution(12,1){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>$Mv=PX$</li> <li>購買総額、販売総額</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>$P,X$はベクトルである。$P,X$を、それぞれ独立に平均できるようの錯覚し、平均価格(物価)$\overline{p}$と取引物量$\overline{x}$のようなスカラー値に還元できるに誤解すると$$Mv=\overline{p} \overline{x}$$ のようにみえる。</li> <li>$P,X$はベクトルである。$P,X$を、それぞれ独立に平均できると錯覚し、平均価格(物価)$\overline{p}$と取引物量$\overline{x}$のようなスカラー値に還元できると誤解すると$$Mv=\overline{p}\, \overline{x}$$ のようにみえる。</li> <li>したがって、$$\overline{p}=(v/\overline{x})\times M$$</li> <li>貨幣を「交換手段」と考える(誤りです!)と、それはただ交換を媒介するだけだから、取引量 $X$ には影響しないようにみえる。</li> <li>また、交換を媒介する機能は貨幣量とは独立であると考えると、$v$は一定と考えられる。</li> <li>このように考えると、貨幣量$M$を増やすとそれに比例して「平均価格」ないし「物価」$\overline{p}$ が上昇し、逆なら逆になりそうに見える。</li> <li>貨幣の数量が物価を決めるというこの主張は、貨幣数量説といわれる。</li> </ul> }} #qanda_set_qst(12,2,0){{ <p>貨幣数量説の理論的な限界を述べよ。</p> }} #qanda(12,2) #qanda_solution(12,2){{ <h4>解答</h4> <ol> <li>貨幣を「交換手段」ととらえ、$v$や取引量に影響がない、と考えた点</li> <li>価格ベクトルや数量ベクトルをスカラーとして処理している点</li> <li>集計概念なしに総需要と総供給が一致するように物価=貨幣の購買力=貨幣の価値がきまると考えている点</li> <li>商品価値を「表現」するという貨幣の基本機能を見失っている点</li> <li>.....</li> </ol> <h4>解説</h4> <ul> <li>これまでの講義をチャンと聴いてくれば、これまで明らかにしてきた定義や前提から、素朴な貨幣数量説の限界はわかるはず。</li> <li>貨幣の量が増えれば、物価は上がる、とまだ信じている人は、これまでの講義をもう一度たどってみてください。</li> </ul> }} **貨幣の価値 [#w4a27117] #qanda_set_qst(12,3,0){{ <p>商品の価値は、どの商品も同じ貨幣で統一的に表現される。</p> <p>では、貨幣の価値はどのように目に見える世界に現れるのか。</p> }} #qanda(12,3) #qanda_solution(12,3){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>すべての商品の価格の集まりで</li> <li>価格ベクトル$P=(p_1,p_2,\cdots,p_n)$として</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>商品には直接はかることはできないが価値が「あり」、その大きさは価格として「現れる」。だから、価値を表現できる貨幣がかならず登場する。</li> <li>価値を表現できる貨幣は、価値とリンクした等価物である。</li> <li>この貨幣の価値は、商品のように統一した価値表現を「もたない」。このことを。だから、貨幣には価値が「ない」のだ、と勘違いしてはならない。</li> <li>貨幣価値は価格ベクトルとして現れる。では、その大きさは?ベクトルの大きさ...ってどう示したらよいのだろうか。</li> </ul> }} **物価指数 [#he090c3b] #qanda_set_qst(12,4,0){{ <p>二つの時期の価格ベクトルの大小を比較することを考える。</p> <p>商品は二種類しかないと仮定。</p> <p>価格ベクトル:$P_1 = (100,200)\to P_2=(200,100)$</p> <p>物量ベクトル:$X_1=(300,150)\to X_2=(100,200)$</p> <p>$X_1$ を基準にしたとき、物価は何パーセント変化したか?</p> }} #qanda(12,4) #qanda_solution(12,4){{ <h4>解答</h4> <p>$P_2X_1/P_1X_1 = (200,100)(300,150)/(100,200)(300,150) = 75/60 = 1.25$ 25パーセント上昇した。</p> }} #qanda_set_qst(12,5,0){{ <p>二つの時期の価格ベクトルの大小を比較することを考える。</p> <p>商品は二種類しかないと仮定。</p> <p>価格ベクトル:$P_1 = (100,200)\to P_2=(200,100)$</p> <p>物量ベクトル:$X_1=(300,150)\to X_2=(100,200)$</p> <p>$X_2$ を基準にしたとき、物価は何パーセント変化したか?</p> }} #qanda(12,5) #qanda_solution(12,5){{ <h4>解答</h4> <p>$P_2X_2/P_1X_2 = (200,100)(100,200)/(100,200)(100,200)= 4/5 = 0.8$ 20パーセント下落した。</p> }} #qanda_set_qst(12,6,0){{ <p>問題12-4,5 から一般的にどのようなことがわかるか。</p> }} #qanda(12,6) #qanda_solution(12,6){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>価格ベクトルを直接比べることはできない。</li> <li>価格ベクトルの大きさは、どのようなウェートづけをするかによって、異なって現れる。</li> <li>価格ベクトルはある時点を基準にそれを100とした指数のようなかたちで表される。</li> <li>価格ベクトルの指数(物価指数)は、評価基準が客観的に一つにきまるわけではない。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ol> <li>貨幣の価値は、価格ベクトルとして現れる。</li> <li>価格ベクトルの大きさは、何らかの基準でスカラー化することで比較できる。</li> <li>しかし、基準の取り方は一通りではない。</li> <li>つまり、貨幣の価値の大きさには<strong>不可測性</strong>がともなう。</li> </ol> }} #qanda_set_qst(12,7,0){{ $(1) P_2X_2/P_1X_1, (2)P_1X_2/P_1X_1, (3)P_2X_2/P_2X_1$ はそれぞれ何を意味しているか。 }} #qanda(12,7) #qanda_solution(12,7){{ <h4>解答</h4> <ol> <li>$P_2X_2/P_1X_1$ は取引額の名目変化率</li> <li>$P_1X_2/P_1X_1$ は$P_1$ではかった取引額の実質変化率</li> <li>$P_2X_2/P_2X_1$ は$P_2$ではかった取引額の実質変化率</li> </ol> <h4>解説</h4> <ul> <li>$P_1X_2/P_1X_1 = P_2X_2/P_1X_1 \div P_2X_2/P_1X_2 = 4/6 \div 4/5 = 5/6$ で 名目 34パーセント減が、実質 約17パーセント減 </li> <li>$P_2X_2/P_2X_1 = P_2X_2/P_1X_1 \div P_2X_1/P_1X_1 = 4/6 \div 5/4 = 8/15$ で名目 34パーセント減が、実質 約47パーセント減</li> <li>つまり $取引額の実質変化率 = 名目変化率 \div 価格変化率$</li> <li>実質成長率まで、違った大きさで現れることがある。</li> </ul> }} **株価 [#g92d02de] -日経255 --[[ヒートマップ>https://nikkei225jp.com/chart/]] --ETF -TOPIX