#author("2023-10-26T14:05:46+09:00","default:obata","obata")
#author("2023-10-26T15:43:23+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回◁>2023年度/冬学期/第5講]]&color(#447CFF){第&size(32){6};講};[[▷次回>2023年度/冬学期/第7講]]

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#qanda_setstid(2023-10-19 16:20:00,90)
#qanda_who
#qanda_mathjax
//#qanda_points_chart
//#qanda_points_hist

✔ REC ON&br;
✅ 接続チェック

#qanda_set_qst(6,80,0){{
<li>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</li>
}}
#qanda(6,80)

CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;コンピュータと労働&nbsp;};};
#contents
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**前回のまとめ [#nc416d5b]
***労働結合の二つの原理 [#pede4974]
-協業 Cooperation:意識を介した結合:共通の目的を共有する
-分業 Division of Labour:モノを介した結合:他人の労働成果を再加工する


**今回のネライ [#z8b99a65]
-ある作業を人間はどのようにしてこなしているのか、自分の行動を反省的に捉えてみる。
-コンピュータを使うと、それがどのように実現できるのか、考えてみる。

**簡単な知的作業の例 [#ledc1afb]
-人間の労働は、体力がものをいう作業も多いが、そうしたなかでもやはり、ちょっとした知的作業が欠かせない。
-そうした知的作業は、ふだんほとんど意識されることはないが、その存在こそ、動物や機械には任せられない、どうしても人間の「労働」が必要になる理由である。
-20世紀を通じて、同一作業の連続は次々に機械化されていったのですが、それでも人間の労働がなくならなかったのは、多くの場面でこうした簡単な知的作業が不可欠だったからです。
-こうした作業を熟す(こなす)ことができてもふつう「熟練」とはよびません。とくにトレーニングしなくてもできることです。
-この能力の正体は何なのでしょうか。実地に考えてみましょう。

#qanda_set_qst(6,1,0){{
  <p>0〜9の番号がついたトマトが10個,店にならんでいる。</p>
  <p>0〜9の番の重さ(グラム)は次のとおりである。</p>
  $$[34,44,33,45,55,23,67,52,44,28]$$
  <p>いまトマト80グラムが買いたいという注文がきた。</p>
  <p>さて、何番と何番のトマトを売ったらよいか。</p>
</ul>
}}
#qanda(6,1)
#qanda_solution(6,1){{
<h4>解答</h4>
<ol>
  <li>[7,9]</li>
</ol>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>たぶん、すぐわかったと思います。</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(6,2,0){{
<ul>
  <li>6-1の問題で、どのようにして7番と9番だとわかったのですか。</li>
  <li>「どのように」か、こうして、ああして.... こうなった、というように、具体的に説明してください。</li>
</ul>
}}
#qanda(6,2)
#qanda_solution(6,2){{
<h4>解答</h4>
<ul>
  <li>2個のペアをつくって x + y = 80になるかどうか、調べる。</li>
</ul>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>うえの解答はベストではありません。こんな回答をする人はいないかもしれませんが、仮にいるとして考えてみましょう。
  </li>
  <li>2個のペアは全部でいくつになりますか。$_{10}C_{2}=45$</li>
  <li>最悪45回も足し算をする必要がある。</li>
  <li>「ともかくできる」と「うまくこなせる」ではだいぶ違う。</li>
  <li>もっといいやり方はないか....</li>
  <li>そもそも、もっといいとか、わるいとか、どうやって決めるのだろうか。</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(6,3,0){{
  <p>そもそも、もっといいとか、わるいとか、どう判断したらよいのだろうか。</p>
}}
#qanda(6,3)
#qanda_solution(6,3){{
<h4>解答</h4>
<ul>
  <li>時間(何秒かかるか)</li>
</ul>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>効率を測る尺度は、一般的には処理時間かもしれませんが、ほかにも作業に必要なモノ(計算用紙)や場所の広さ(机のスペース)など、時間に還元できない要素もありそうです。</li>
  <li>賃金を払って作業をさせる(賃労働)であれば、時間効率がコスト計算に直結します。</li>
  <li>単位あたり時間の賃金額(たとえば時給)を「賃金率」とよびます。賃金率%w(円/Hour)$で作業時間が$t分$であれば、賃金コストは$wt/60$となります。</li>
  <li>計算用紙が単価$@p[円]$で$x[枚]$ 必要なら、コスト(費用価格)$c = px+wt[円]$</li>
  <li>計算用紙、鉛筆、etc であれば、価格ペクトル${\mathbf P} =(p_1,p_2,\cdots)$ 物量ベクトル${\mathbf X} =(x_1,x_2,\cdots)$ として$c = {\mathbf PX}+wt[円]$. あとで生産価格を説明するときに使います。</li>
  <li>さらに作業空間は、場所を賃借していると考えれば、単位面積あたりのレント(地代)$r[円/m^2]$,作業スペース$s[m^2]$で、$c = px+wt+rs[円]$</li>
  <li>ただし、空間スペースはこのように単純にコスト化できない面がある。なぜなら、計算用紙は一回ごとに消費されるが(フローの量)、空間スペースは作業回数に依存しないから(ストックの量)。</li>
  <li>この作業では、おそらく賃金コストの占める比重が大きいだろう。時間あたりの成果(1時間に何回できるか $1/t$)が <b>労働生産性</b> labor productivity 。だから、この場合には、$w$が一定なら、労働生産性がコストを支配することになりそうです。</li>
}}

#qanda_set_qst(6,4,0){{
<p>二つのペアをつくる方法だと、最悪$_nC_2$ 調べないといけない。</p>
<p>階乗で手数がふえるというのは恐ろしい。</p>
<p>もっといい方法はないだろうか?</p>
}}
#qanda(6,4)
#qanda_solution(6,4){{
<h4>解答</h4>
<ul>
  <li>一個ずつ取りだして、全体のなかに足して80になるものがないか調べる。</li>
  <hr>
  <li>一個ずつ取りだして、$y=80-x$ を計算。</li>
  <li>どこかに$y$がないかを調べてゆく。</li>
  <hr>
  <li>2個目から一個ずつ取りだして、$y=80-x$ を計算。</li>
  <li>自分より前の番号に$y$がないかを調べてゆく。</li>
</ul>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>たぶん、人にやらせれば自然にこうやると思う。</li>
  <li>でも、プログラムを書くとなると、すぐに思いつくのは総当たり型...</li>
}}

#divregion(すぐに思いつくプログラム,admin,lec=6,qnum=4)
 a = [34,44,33,45,55,23,67,52,44,28]
 for(i=0; i<10; i++)
   for(j=1; j<10; j++)
     if a[i] + a[j] == 80
       return [i,j]
 return 'no pair'
#enddivregion

#divregion(人間ならふつう...,admin,lec=6,qnum=4)
 // i -> a[i]という正引き
 a = [34,44,33,45,55,23,67,52,44,28] 
 
 b = {} //連想配列
 for(i=0; i<10; i++)
 // 連想配列に入っているかどうかの'in'が使えるとして
   if 80 - a[i] in b 
       return [ i, b[80 - a[i]] ]      
   // 34->0,44->1, .... という逆引きできる連想配列をつくる
   b[a[i]] = i 
  
 return 'no pair'
#enddivregion

-このような簡単な知的作業でも、物理的な機械だけでやらせるのはむずかしかった。人間の手作業が残る領域があった。
-機械装置にコンピュータを組み込むことで、従来人間に頼ってきた知的作業(のある範囲)がカバーできるようになってきた。
-でも、そのためのプログラミングは...

***プログラミング [#ga50e96b]
-プログラミングは人間がするほかないのか....
-生成AIでためしてみる。現場で時間があれば...
#qanda_set_qst(6,5,0){{
<p>問題6-1に答えるプログラムがほしい。</p>
<p>生成AIに対して、どのように質問したらよいか。</p>
}}
#qanda(6,5)
#qanda_solution(6,5){{
<h4>解答</h4>
<ul>
  <li>[34,44,33,45,55,23,67,52,44,28]から、足して80になる値の番号が知りたい。</li>
  <li>この問題をとくプログラムをお願いします。</li>
  <li>できたらjavascriptで</li>
  <li>できたらjavascriptで,結果をconsole,logに出力してください。</li>
</ul>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>うまくゆくだろうか。うまくゆかなかったら、少しずつ、質問を改良してゆけばいいでしょう。</li>
  <li></li>
</ul>
}}

***労働の変容 [#vdd42bab]
-どんなに単純化されても、人間の労働には、知的な作業がついてまわる。
-しかし、この知的な作業は分析不要なものではない。
-しかし、この知的な作業は分析不能なものではない。
-コンピュータは、この種の作業領域をカバーしつつある。単純な機械化とはレベルのことが異なる次元に進みつつある。
-この新たな次元で、人間が必要となる作業とは何か、それはどんな姿かたちの労働になるのか、考える必要がある。
-この講義で説明した「労働の構造」に即して、もう一度考えてみるとよい。
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-時間の都合で「労働」というテーマの話しはここまでで終わりにしますが、まだまだ考えると面白い問題がありそうです。
-次の[[報告>https://gken.jp/gken/wp-content/uploads/2019/10/main.pdf]]と[[スライド>https://gken.jp/gken/wp-content/uploads/2019/10/beamer.pdf]]も参考にみてください。

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