#author("2023-04-18T22:12:25+09:00","default:obata","obata")
#author("2023-04-18T22:13:46+09:00","default:obata","obata")
CENTER:&color(#447CFF){第 &size(32){1};講}; [[▷ 次回>2023年度/夏学期/第2講]]
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-訪問者:氏名不詳が、学生証番号:氏名になっていれば、ホームペー上の問題に、回答できます。
#qanda_setstid(2023-04-13 16:20:00,100)
#qanda_who
#qanda_mathjax
//#qanda_points_chart
//#qanda_points_hist

✔ REC ON&br;
✅ 接続チェック

#qanda_set_qst(1,100,0){{
<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
<p>chatGTPを使ったこと、ありますか?</p>
}}
#qanda(1,100)


CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;経済「理論」の作り方・使い方&nbsp;};};
#contents
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**この講義(前期・後期)全体の構成 [#s4a17d9f]
-主たる目的は経済「理論」。理論的な推論、真偽の判断ができる能力を養う。
-さまざまな経済現象についての知識をふやすのではない。シンプルな理論で本質をつかもう。
-夏学期:商品+貨幣+資本=市場 について学ぶ。
-冬学期:(市場)+労働+生産=資本主義経済について学ぶ。

**特に今年度は [#re435a06]
-chatGTP などをどう使うのか、実地に使いながら学ぶ。
-市場の取引対象が「情報」をふくめ、多様になっている現実も、抽象的に扱えるような理論の拡張を試みる。
-出発点で、充分な抽象化をおこなう必要がある。はじめがむずかしいかもしれない。集合論とか群論とか、抽象代数をまなぶときとある意味同じ。

**chatGTP さっそく試してみよう。 [#ud9a0c88]
-この講義では、毎回、3分程度で答えられる小問を10問程度だしてゆきます。成績は、小問の累計点で評価します。
-さて、「短い質問がガンガンくるのだな。よしそれならchatGTPでOK、楽ちん楽ちん...」と思ったあなた、ほんとうにうまくゆくか、ちょっと実験してみましょう。
-ということで、第1講ではchatGTPでうまくゆくのか、実験してみます。
-因みには、第2講では「情報」ってどんなふうに定義して使っていったらよいのか、考えてみます。
-第1講と第2講は、まだ履修者が確定していないので、採点の対象外です。今後も100番台の問題は採点の対象外とします。

#qanda_set_qst(1,101,0){{
<p>「景気がよくなる」とはGDP成長率が上昇することだと定義する。</p>
<p>このとき「物価が上昇すれば、景気はよくなる」という主張は正しいか。理由をのべよ。</p>
}}
#qanda(1,101)
#qanda_solution(1,101){{
<h4>解答</h4>
<ul>
  <li>景気は物価以外にもさまざまな条件に左右される。ゆえにこの主張が正しいか誤りかを判断することはできない。</li>
</ul>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>chatGTPもこのような答えを返すと思います。</li>
  <li>あくまで私のカンですが</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(1,102,0){{
<p>「物価以外の他のすべての条件がかわらないとき、物価が上昇すれば、景気はよくなる」という主張は正しいか。理由をのべよ。</p>
}}
#qanda(1,102)
#qanda_solution(1,102){{
<h4>解答</h4>
<p>問題自体が成立しない。問題の立て方に誤りがある。</p>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>物価上昇 → (賃金、利子、生産技術、...) → 景気
  </li>
  <li>景気に対して反対に作用する中間項のいずれが強く作用するかによって、景気は良くなることも悪くなることもある。</li>
  <li>予想では、chatGTPは「問題自体が成立しない。問題の立て方に誤りがある。」という過激な答えは避けるが、実質的に、波及回路がいろいろあるから、「よくなることも悪くなることもある」と答えてくる、のではないか...</li>
  <li>
    だいたい、chatGTPにちょっと複雑なことをきくと、いろいろあるとか、二面あると、羅列してくる傾向がある。これは、実は、chatGTPのクセではなく、この講義でちょっと複雑な質問すると、羅列型の答案が大多数となる。考えない人間サイドのクセが反映されているのだろう。
  </li>
  <li>この講義の解答は、いろいろあったとしたら、何が基本か、一つに絞り込むことを要求します。これは、条件を限定し明示し、基本的にこうだからこうだ、式の割り切り、つまり「判断」することを求めます。羅列型の回答は評価しません。</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(1,103,0){{
<p>「物価以外の他のすべての条件がかわらないとき、物価が上昇すれば」という条件の設定は可能か。</p>
}}
#qanda(1,103)
#qanda_solution(1,103){{
<h4>解答</h4>
<p>不可能</p>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>前問の解説をもう一度みてください。</li>
  <li>経済学が対象とする世界では、一般に、実験室をつくって、物価だけ変化する状態を観察することはできません。</li>
  <li>実験による検証が基本的に不可能な世界を扱っているわけです。そのため、いろいろな理論的な推論ばかりが先行し、物理学のように実験でたしかめることができないわけです。</li>
  <li>ビッグデータを使って統計学的に何とかしようとする試みも強まっていますが...</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(1,104,0){{
命題A「物価が上昇すれば景気がよくなる」と命題B「景気がよくなれば物価が上昇する」との論理的な関係はどうなるか。
}}
#qanda(1,104)
#qanda_solution(1,104){{
<h4>解答</h4>
<p>両者は独立した二つの命題である。</p>
<p>逆の関係は誤り。</p>
<h4>解説</h4>
<ul>
  <li>命題Aは、集合でいえば、「物価が上昇する」は「景気がよくなる」の部分集合。</li>
  <li>だから、「物価が上昇する」のに「景気がよくならない」という部分集合の要素も存在する。</li>
  <li>命題Bは、集合でいえば、「景気がよくなる」は「物価が上昇する」の部分集合。</li>
  </li>
  <li>ポイントは、命題Aの「物価が上昇すれば」と命題Bの「物価が上昇する」は、独立した命題であること。</li>
  <li>たしかに命題Aの「逆」も「景気がよくなれば物価が上昇する」になる。しかし、これはあくまで命題Aの「逆」。だから、命題Aが真でも、その逆が真であるとは限らない、ということになる。</li>
  <li>これに対して、た命題Bは独立した独自の命題。ゆえに、命題Bが真でも、「物価が上昇すれば景気がよくなる」が真であるとは限らないことになる。</li>
  <li>chatGTPがこのロジックをちゃんと説明できるかどうか、確かめてみよう。</li>
</ul>
}}

#qanda_set_qst(1,105,0){{
<p>一般に「景気がよくなれば物価が上昇る」のは事実だ。だから景気が悪いなら金融を緩和して「物価を上昇させれば景気は回復する」。</p>
<p>この主張は妥当か。</p>
}}
#qanda(1,105)
#qanda_solution(1,105){{
<h4>解答</h4>
<p>妥当ではない。誤りだ。</p>
<h4>解説</h4>
<p>わからなければ、前問の解説をもう一度みてください。</p>
<p>逆はからなずしも真ならず。</p>
<p>しかし、過去10年あまり、現実にはこの論理的誤りを犯してきた。</p>
}}

#qanda_set_qst(1,106,0){{
「物価が上昇すれば景気がよくなる」とずっと主張してきた人がいた。ところが「物価が下落しているのに景気がよくなった」。この人はウソをついたことになるか。
}}
#qanda(1,106)
#qanda_solution(1,106){{
<4>解答</h4>
  <p>ウソをついたことにはならない。</p>
  <h4>解説</h4>
  <p>「物価が上昇すれば景気がよくなる」と主張しただけで、物価が上昇しないなら、景気がよくなろうと悪くなろうと、それについては何もいっていないのだから。</p>
  <p>しかし、「物価が上昇すれば景気がよくなる」といっていたのに、「物価が下落しているのに景気がよくなった」たら、予想が外れた、とか、誤った政策を提唱したとか、普通は言われる。</p>
  <p>なぜ、ウソを言ったと攻められるのだろうか。</p>
  <p></p>
  <p>chatGTPに論理的には真となる理由を尋ねてみよう。</p>
}}

#qanda_set_qst(1,107,0){{
  <p>「物価が上昇すれば景気がよくなる」といっていたのに、「物価が下落しているのに景気がよくなった」たら、予想が外れた、とか、誤った政策を提唱したとか、普通は言われる。</p>
  <p>なぜ、ウソを言ったと責められるのだろうか。</p>
}}
#qanda(1,107)
#qanda_solution(1,107){{
  <h4>解答</h4>
  <p>普通は、「物価が上昇すれば景気がよくなる」が単なる論理命題ではなく、因果関係を表わす主張だととられるため。</p>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>物価上昇が「原因」で、その「結果」として景気が回復すると考えるなら、反対に物価が下落すれば、それが「原因」となり景気が悪化する「結果」になる。これが因果関係である。</li>
    <li>「温度が上昇すれば、気体の体積は膨脹する。」なら「温度が下落すれば、気体の体積は収縮する。」このような因果関係として「物価が上昇すれば景気がよくなる」が受けとられるからである。</li>
  </ul>
}}

#qanda_set_qst(1,108,0){{
  <p>命題A「物価が上昇すれば景気がよくなる」と命題B「景気がよくなれば物価が上昇する」が同値になるように、「物価が上昇すれば景気がよくなる」と「景気がよくなれば物価が上昇する」を書き換えよ。</p>
}}
#qanda(1,108)
#qanda_solution(1,108){{
  <h4>解答</h4>
  <ul>
    <li>「価が上昇すれば必ず景気がよくなる」</li>
    <li>「景気がよくなれば必ず物価が上昇する」</li>
  </ul>
  <h4>解説</h4>
  <ul>
    <li>chatGTPがどのような解答を与えるか、検討してみよう。試したら次のように解答してきた。</li>
    <li>
      <ul>
        <li>命題A: 「物価が上昇しなければ景気がよくならない」</li>
        <li>命題B: 「景気がよくならなければ物価が上昇しない」</li>
      </ul>
    </li>
    <li>「価が上昇すれば必ず景気がよくなる」と「物価が上昇しなければ景気がよくならない」は同じ意味になるか?</li>
  </ul>
}}
#qanda_set_qst(1,109,0){{
  <p>「物価が上がれば景気がよくなり、景気がよくなれば物価が上がる。こうして経済の好循環がはじまる。」</p>
  <p>この主張の前提となっている条件は何か?</p>
  }}
  #qanda(1,109)
  #qanda_solution(1,109){{
}}
#qanda(1,109)
#qanda_solution(1,109){{
  <h4>解答</h4>
  <p>「必ず」という同値条件。</p>
}}

#qanda_set_qst(1,110,0){{
  <p>さて、いろいろ試してきたのですが、どうでしたか。最後にきいてみましょう。
  <p>chatGTP、あなたはどう使ったらよいとおもいますか?</p>
}}
#qanda(1,110)
#qanda_solution(1,110){{
  <h4>講師の見解</h4>
  <ul>
    <li>使わないのではなく、使えるものは使おう。chatGTPにできることをわざわざ使わずにできるようになってみてもしょうがない。もちろん、一度は自分でやってみることもむだではないが...</li>
    <li>ただこの講義では、Web上で調べたり、結果を要約したり、...で「レポート」を仕上げるような能力は求めない。</li>
    <li>
      その代わりに求めるのは、論理的な思考。chatGTPは論理に弱い。基本、多数意見にしたがっているだけ。しかし、論理の世界では、100人中99人が違うといっても、正しいものは正しいのだ。この点を念頭において、使い方を工夫しよう。
    </li>
    <li>
      chatGTPの不完全な論理を、自分で見抜くことで、論理的な思考が鍛えられる。プロ棋士は、コンピュータと囲碁を打つことで、今まで定石と考えられてきたものが、次々に見直され、新しい手が考えだされてきた。学問の世界も、同じような道を歩むことになるかもしれない。
    </li>
    <li>
      この講義の「問題」には、限界がある。小問の連続になっている。講義全体は、一貫した論理で組み立てられているが、小問を解いて「あってた、あってない」で終わると、論理的に全体を組みたてる力は身につかない。そしてこの大きな体系に組み立てることも、chatGTPにはむずかしいようだ。小問を解きながら、同時に全体を組み立てるロジックにもたえず注意を払ってほしい。
    </li>
  </ul>
  }}
}}



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