![[PukiWiki]](image/sugar_bowl_s.png "[PukiWiki]")
#author("2023-07-27T16:59:50+09:00","default:obata","obata") #author("2023-07-27T17:00:06+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回 ◁ >2023年度/夏学期/第13講]]&color(#447CFF){第 &size(32){14}; 講}; [[▷ 次回>2023年度/夏学期/第15講]] ---- #qanda_setstid(2023-07-20 16:20:00,100) #qanda_who #qanda_mathjax #qanda_points_chart #qanda_points_hist ✔ REC ON&br; ✅ 接続チェック #qanda_set_qst(14,100,0){{ <p>✔ 接続状態をおしえてください。</p> }} #qanda(14,100) CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){ 資本の概念 };}; #contents ------ **概要 [#ce74c646] -資本の定義を理解する。 -商品・貨幣・資本の関係について考える。 **転売 [#c2b17071] -商品の価値の大きさは、貨幣の額で統一的に表現されるが -表現に使われる貨幣の価値の大きさを、統一的に表現する方法はない。 -貨幣を握りしめていれば、貨幣の購買力の大きさを維持できるわけではない。 -値上がりする商品を基準にしてみれば、貨幣の価値の大きさは現象するため、値上がりしそうな商品に、次々に買い換えてゆく《転売》 G--W--G' が生じる。 #qanda_set_qst(14,1,1){{ #qanda_set_qst(14,1,0){{ <p>転売が生じるのは、同じ商品 W の買値と売値にだれの目にも明らかな差があるときにかぎられる。</p> <p>この主張は適切か。理由を述べよ。</p> }} #qanda(14,1) #qanda_solution(14,1){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>不適切</li> <li>同じ時点では差がなくても、時間が経過するなかで、価格差が生じるとおもえば転売はなされる。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>「同じ商品 W の買値と売値にだれの目にも明らかな差がある」というのはレアなこと。仮にこんな価格差があれば、買い手が殺到し、買値と売値との差はすぐに消える。</li> <li>転売が生じるのは、時間の経過を考慮に入れた「見込み」による。</li> <li>だから、必ず結果において「もうかる」という保証はない。「もうかりそうだ」というだけで、転売は繰り返される。</li> <li>しかし、だれもが結果のおいて裏切られるようでは、転売は生じない。</li> <li>多くの人が転売でもうかるようになる根拠は、二つある。</li> <li>一つは、商品に対する貨幣の独自の能力によるもの。これについては、教科書2.4「商品売買の変形」(65-77) </li> <li>もう一つは、同じ商品をただ買って売るのではなく、買った商品を加工して別の商品に変えて売る、つまり安くつくって売ること、安く買う方法として「生産」を転売にとりこむこと。この「生産」については、後期の講義で扱う。 </li> </ul> }} **商品売買 [#a5ee6a1b] -W:商品 der Ware の略 -G:貨幣 das Geld の略 -’ は先行のものと違うことを示す。 -商品売買はW -- G -- W'と表せる。 #qanda_set_qst(14,2,0){{ <p>商品売買 W -- G -- W' は、たとえば、100円の缶ジュースを売って100円硬貨にし、その100円硬貨で100円のパンを買うようなもの。</p> <p>等価交換だから、けっきょく、何のトクにもない。</p> <p>ようするに、商品売買とは無意味な愚行である。</p> <p>この主張は適切か否か。理由を述べよ。</p> }} #qanda(14,2) #qanda_solution(14,2){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>不適切</li> <li>不用なモノが有用なモノに変わるのだから、使用価値、有用性の面でトクになる。</li> <li>価値量は同じでも、他人のための使用価値が、自分のための使用価値になる。</li> </ul> }} #qanda_set_qst(14,3,0){{ <p>「売って買う」商品売買 W -- G -- W' に対して、「買って売る」G -- W -- G' という取引が形式的には考えられる。</p> <p>しかし、この取引は、使用価値の面では何のメリットももたらさない。</p> <p>この主張は妥当か、理由を述べよ。</p> }} #qanda(14,3) #qanda_solution(14,3){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>妥当</li> <li>ＧもＧ'も同じ貨幣である。</li> <li>そしてそもそも、貨幣は使用価値などもたない。</li> </ul> }} **資本の定義 [#a3d5b1a4] -転売でもうけをえる目的で、事前に用意された貨幣額を''資本''とよぶ。 -つまり、資本とは転売するために必要な''もとで''のことである。 #qanda_set_qst(14,4,0){{ <p>G -- W -- G' という取引が意味をもつとすれば、始めと終わりの貨幣が額として増えていなくてはならない。</p> <p>「転売でもうけをえる目的で、事前に用意された貨幣額」という資本は、具体的には、G -- W -- G' ということになる。</p> <p>したがって、資本とは貨幣ではじまり貨幣で終わる、要するに貨幣の量を増やす運動である。</p> <hr> <p>この推論には、飛躍がある。決定的だと思う点を一つあげ、理由を述べよ。</p> }} #qanda(14,4) #qanda_solution(14,4){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>「具体的には、G -- W -- G'」として、貨幣の量の増加を資本の目的だと飛躍している。</li> </ul> <h4>別解1</h4> <ul> <li>W -- G -- W' との対比で G -- W -- G' を一回限りの取引とした飛躍。（これは上の「解答」のより深い理由につながる。）</li> <li>W -- G -- W'は、完結した取引で１回限りであるが、G -- W -- G'はG -- W -- G'-- W''-- G''-- W'''--.... とエンドレスにつづく。</li> <li>どの局面で区切って、増殖をはかるかによって、W'/W とか、W'''/G' とか、さまざまになる。実在の貨幣の量として、比較されるわけではない。</li> </ul> <h4>別解2</h4> <ul> <li>貨幣額と貨幣の量の混同。</li> <li>「事前に用意された貨幣額」というのは、貨幣量のことではない。</li> <li>商品も価値をもち、それを表現した価格がついている。</li> <li>事前の「貨幣額」として準備されるのは、貨幣だけではなく、商品でもよい。</li> <li>始まりは、貨幣額であり、これと比較される終わりも貨幣額である。商品も、貨幣とともに、価格で評価された一定の貨幣額として、出発点と終点となる。</li> <li>資本を、貨幣の増加を追求する活動と理解するのは誤り。</li> </ul> <h4>別解3</h4> <ul> <li>「もとで」と取引の運動との混同。</li> <li>資本は、取引に使われる元手であり、G -- W -- G'という取引活動とは次元が異なる。</li> <li>つまり、資本はストックの額であり、売買はフローの額である。</li> <li>《「G -- W -- G'」→ 資本》 だが、かならずしも《資本→「G -- W -- G'」》とはかぎらない。</li> <li>G -- W -- G'は、資本であることの必要条件であるが、十分条件ではない。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>前期も今回で終わりになるので、超難問をだしました。</li> <li>正解を覚えることよりも、自分のアタマで実地に推理してください。</li> <li>別解をいくつかあげてみましたが、別解レベルでいろいろ試行錯誤する気力がついたかどうか、チェックするのがネライです。</li> </ul> }} -資本の額を決めること、その額を追加し増やすことを資本の''投下''とよぶ。 -資本は、ある時点における金額で表示さえた資産の差額である利益を求めて準備＝投下（投資）される。 #qanda_set_qst(14,5,0){{ <p>資本の投下は、貨幣の支出と異なる。</p> <p>この主張は妥当か否か、理由を述べよ。</p> }} #qanda(14,5) #qanda_solution(14,5){{ <h4>解答</h4> <ul> <li>極めて妥当</li> <li>まだ一銭も支出してなくても、これからもうけようとして元手を確定するのが資本の投下（投資）である。</li> </ul> <h4>解説</h4> <ul> <li>支出というのは、貨幣の支出であり、これにより、資本のすがた姿態 Gestalt, shape が、貨幣から商品に変わる。 </li> <li>資本の投下と貨幣の支出を区別し関連づけることが、資本の定義のアルファにしてオメガ...</li> <li>こういっただけでは納得できないと思うので、最後に板書で、実地に解説します。講義に出席した人のプレミアムです。</li> </ul> }}
