冬学期第1講>>次回
ガイダンス
われわれが今生きている経済社会を「資本主義」とよぶ。
資本主義=市場+生産
- 夏学期は「市場」の理論を学んだ。
- 冬学期は「生産」の理論を学ぶ。
夏学期のまとめ
- [ 1 ]市場を理解する出発点となるカギ概念は?
- [ 2 ]これが存在すると必ず
が実在する市場になる。
- 現実の市場は、一般均衡論が想定している間接的物々交換の世界ではない。
- 売るのにはランダムな時間がかかる市場
- このような市場では、
- 「売ってから買う」だけではなく
- 「買って売る」転売を繰り返し価値増殖を目指す
の運動が発生する。
- [ 3 ]この運動の本質は
- 「自己増殖する価値の運動体」といわれるが、その特徴は
- 損益計算書
- 貸借対照表
で理解できると思うので、もう一度簡単に解説。
市場と生産の結びつき方
- 資本主義=市場+生産 といったけれど、この+の意味は?
- もちろん、市場と生産が並んで存在するという意味ではない。「結びついている」とは...
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- すべてが金もうけのために、市場めあてに、生産されるようになるということ...
- 自分のために生産をして、あまった部分を市場にだす、という経済から、資本が生産の主体となる経済へ...
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- 市場があれば資本(=商人)はでてくるが、資本が生産を支配するためには、さらに必要な条件がある、それは....
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- 「労働力の商品化」
- すなわち、貨幣を支払えば労働者をいくらでも自由にやとえること
- つまり大量の賃金労働者がいる労働市場の存在
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- そのための条件は....
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- 労働者が「生産手段=土地」をもたない*1こと。
- 労働力をもっていても、それは「他人のための使用価値」⇒ 商品化。
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資本主義の起源と発展段階
- これは15,6世紀から18世紀にかけてイングランドで典型的に進んだ現象:『資本論』で「いわゆる資本の原始的蓄積」とよばれた、近代プロレタリアートの形成。
- 資本主義はどのように誕生したのか、はホットなテーマ。というのは、20世紀に末に、新たな地域で資本主義が誕生しつつあるから...
- 20世紀の先進資本主義諸国(西欧諸国、アメリカ合衆国、そして日本)も、イギリスに遅れて19世紀末に一斉に資本主義化した。
- 資本主義の発生は、イギリスの事例は典型かもしれないが、唯一の出来事ではない。
- イギリスにおける資本主義の発生の特殊性
- 19世紀末の資本主義化の特殊性
- 綿工業と重化学工業
- 装置産業としての重化学工業とアセンブリ型の自動車・家電などの大衆消費機械工業
- 20世紀は多くの諸国が工業化の道を断たれてきた。植民地化、低開発、南北格差の拡大。
- 20世紀末にはじまり、現在進行中の資本主義化の特徴は
- 冬学期の広義の前半では、こうした生産の歴史も思い浮かべながら、生産と労働の定性分析をおこなう。
- 後半は、これをふまえた定量分析:価格水準の決定原理など、講義する予定。
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