前回 ◁ 第 15 講
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✔RECONチェック 問題 15-20 ✔接続状態をおしえてください。 ✔この講義では、簡単な数値例をつかって経済学的な意味、概念的な捉え方のほうに重きをおき説明してきました。もしもう一度講義をうけるとしたら、あなたはもっと線形代数の数理モデルを多用した説明(グラフ理論や固有値問題など)を希望しますか。 15-20 の回答を + 0/48 ...1点以上 0% 全体のまとめ
後期の講義のまとめ生産と労働 問題 15-1 「モノ」の必須要件はなんだったか? 15-1 の回答を + 27/46 ...1点以上 59% 解答と解説 15-1
解答客観的にはかれること。計量可能性。解説生産技術を考える基礎の基礎でした。 問題 15-2 技術の対をなす概念は? 15-2 の回答を + 1/40 ...1点以上 3% 解答と解説 15-2
解答スキル・熟練・技能 After正答がでなかったのはやむを得ません。 「技術」の対、という点について、ひと言だけ補足しておきます。 今年の講義で強調したのは、「技術」が「モノ」に基礎をおく(属する)性質だという点でした。 だから、生産過程には、だれがやっても同じ結果になるという客観性、再現性が生じるのでした。 ただ、現実の生産ではこの「技術」がすべてを支配することありません。目的に向けて過程をコントロールする活動、すなわち「労働」が必要になります。 このコントロールする能力が、「スキル」、「技能」、あるいは「熟練」とよばれるものです。 「技術」が「モノ」に属するとすれば、人に属する「技能」がこの対をなすわけです。 モノ:技術 vs 人:技能 問題 15-3 「土地(自然)と原材料と労働力は、生産の三要素である。」 適切か?理由を述べよ。 15-3 の回答を + 6/52 ...1点以上 12% 解答と解説 15-3
解答不適切 独立した三要素ではない。三者は次のような立体的な構造をかたちづくっている。
Afterこの講義をきいて、高校でならう通俗的な「生産の三要素」を批判できるようになったかどうか、確かめたかったのですが、結果は芳しくありませんでした。 「生産の三要素」のようなみたまんまの規定では「理論」はつくれない点まで明示的に説明しないとやはりダメなのか...というのが採点後の印象でした。 社会的再生産 問題 15-4 「この講義で説明した社会的再生産の《社会的》とは、人々が同じ目的を共有して労働する(生産過程をコントロールする)ことである。」 適切か?理由を述べよ。 15-4 の回答を + 22/57 ...1点以上 39% 解答と解説 15-4
解答不適切 原材料(生産手段)を媒介にした生産過程の連鎖構造のこと。 解説個々の生産過程は労働によるコントロールを受けるが、それらの連鎖構造の調整はこのコントロールをこえる。 資本主義なら、個々の資本が利潤めあてに個々の生産をおこなうなかで、社会的な生産過程の編成は、結果的に価格によるコントロールに服する。 問題 15-5 社会的再生産の《再》の意味は、生産が再度おこなわれる連続生産ことである。 適切か?理由を述べよ。 15-5 の回答を + 17/55 ...1点以上 31% 解答と解説 15-5
解答不適切 《再》の意味は、消費された生産手段が、生産物のなから再度補填されること。 アウトプットがインプットに戻るループの存在が《再》の意味。 問題 15-6 粗生産物と純生産物の関係は? 15-6 の回答を + 39/48 ...1点以上 81% 解答と解説 15-6
解答純生産物 := 粗生産物 - 生産手段 問題 15-7 「純生産物とは、はたらく人たちの生活を維持するための生活物資のことである。」 適切か?理由を述べよ。 15-7 の回答を + 9/36 ...1点以上 25% 解答と解説 15-7
解答不適切 純生産物 := 生活物資 + 剰余生産物 分配関係 問題 15-8 一般に資本が利潤を得るには、購買に必要な労働時間が生産に必要な労働時間以上である必要である。 真か偽か。理由を述べよ 15-8 の回答を + 21/56 ...1点以上 38% 解答と解説 15-8
解答真 8時間はたらいて購買できる生産物量は8時間以下の生産物量以下となり、この差額が利潤の基礎となるから。 解説$p_i/w > t_i \to T > \bf{Bt} \because \bf{Bp} = Tw$ $m=T-\bf{Bt}$ が剰余労働時間。$\bf{Bt}$は「必要労働時間」 総労働時間 $T$=必要労働時間 $v$ + 剰余労働時間 $m$ 剰余価値率= $v/m$ マルクス経済学では伝統的に「搾取率」とも。 問題 15-9 分配関係をはかる尺度(物量ベクトルをスカラーするベクトル)として、生産に直接間接に必要な労働時間がもつ特徴(優位性)は? 15-9 の回答を + 16/41 ...1点以上 39% 解答と解説 15-9
解答生産技術だけできまるので、純生産物がどのように分配されようと、分配関係によって左右されない点。 解説もう一つの尺度の候補である生産価格(この講義では原価+マージン)のほうは、分配関係を反映して相対比率 $p_i/p_j$ が変化します。 問題 15-10 「物価の変動が一意にきめられないのは、そもそも価格の大きさが客観的に計測できないためである。」 真か偽か。理由を述べよ。 15-10 の回答を + 19/53 ...1点以上 36% 解答と解説 15-10
解答偽 価格は目に見える現象であり、客観的に計測できる(だれがみても100円商品は100円)。 一意にきまらないのはたしかだが、それは、上がるものもあればさがるものもある諸価格 prices $\bf{p}=(p_1,p_2,\cdots)$ を評価する客観的尺度 $\bf{x}=(x_1,x_2,\cdots)$ が一通りにきまらないためである。 問題 15-11 「賃金率が上がれば、それに応じて物価も上がる。長期的にみれば、実質賃金率を引き上げるのは無理だ。」 真か偽か。理由を述べよ。 15-11 の回答を + 19/42 ...1点以上 45% 解答と解説 15-11
解答偽 競争的な市場では、賃金率の上昇を価格に転嫁できない可能性もある。 マージンが減少することで、実質賃金率が上昇することもある。 経済原論全体とのつながり 問題 15-12 資本の利潤率(収入総額-費用総額/投下資本)は、この講義で扱った上乗せ率(マージン/原価)より小さくなる。両者のギャップを生みだす要因をいくつかあげ、その作用を説明せよ? 15-12 の回答を + 15/44 ...1点以上 34% 解答と解説 15-12
解答
解説この問題は超難問。かなり勘のよい人でも全部は答えられないでしょう。それはそれでよいのです。 この問題で、最後にちょっと考えてほしかったのは、資本主義経済全体を考えるうえで、後期の講義で話した生産論をどう位置づけたらよいのか、という拡張面です。 以下最後のまとめです。 後期のポイントは
でした。 これはコンピュータでいったら、OS、あるいはOSのカーネルのような部分です。どんなコンピュータでも直接見えないところで作動しています。 現実の資本主義の経済では、この問題でふれた市場に特有な要因が社会的再生産を覆うかたちで存在しています。貨幣と在庫の存在、流通費用の支出、固定資本の処理などは、市場で社会的生産を処理してゆくために不可欠なファクターです。これらはさらに、商業資本や銀行業資本、株式市場等々、資本主義と聞くと私たちがすぐ思い浮かべるような特徴ある機構に発展してゆきます。 社会的再生産がOSなら、これらはそのうえで作動するアプリケーション層やデバイスのようなものです。現実の資本主義を外から観察すると、カーネルを覆う分厚いソフトウェアばかりが目につくわけですが、それらは、基本OSからみることで、その真のはたらきも不具合も理解できる面があります。 前期の講義は、貨幣の理論を中心にこの上層の構造について話してみました。 両者を総合して資本主義の全体構造を説明するにはもう少し時間がかかりますが、社会的再生産の理論的位置づけがわかれば、ここからある程度、全体像を展望することはできるでしょう。時間があれば教科書を見てください。 |