第1章 第1節「商品の二要因 使用価値と価値
(価値の実体と価値の大きさ)」
小幡道昭『価値論批判』弘文堂 2013年 の第1章1を使って概説しました…
- 使用価値=((有用性)+商品体)
- 有用性の大きさは測れないが、商品体の量には<客観的可測性>がある。
- 商品価値の内在性についての問いかけ:内在的な交換価値というのは「形容矛盾」?引用|A|
- 感性的に直接とらえることのできない<何か>の「表現様式」「現象形態」というアプローチ=引用|B|
- 「共通物」「第三のもの」が存在するという「捨象」「還元」アプローチ=引用|C|
- (「表現様式」「現象形態」)論と(「共通物」「第三のもの」)論の違いは、「等しい」 equal と「同一 」same を区別するとわかる。
- しかし、第1節のこの後の展開は、捨象・還元論をベースに進む。
- 使用価値を捨象 $\to$ 有用性を生む側面の捨象 $\to$ 抽象的人間労働:ここでは同質性が中心:捨象・還元論は「等置」を通じて、同一の<何か>に接近するという発想法がある。(因みに、Abstrahieren「捨象する」と「抽象化する」は同じ意味になります。)
- これは、「通用する」gelten という見做し論につながる。(geltenにも「通用する」と「見なす」の意味がある)
- 「関係」が先行して、見做されるかたちで「実体」が存在する(たとえば、怠惰な2時間は1時間に「見做される」)といった議論になってゆくが、このような拡張を批判した。
- 価値の実体=抽象的人間労働に、上の拡張が加わって、価値の大きさ=社会的平均的必要労働 という修正が加えられる。この可否をめぐって、議論した。これは次回に継続審議…..
還元論=見做し論を徹底的に排除すべしとするオバタの読み方に異論続出…、でも、「おもしろい」といってくれたかたもいましたが….