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概要
貨幣とは...
- 今回から、「貨幣について」話をします。
- だれでも見知っているはず「貨幣」ですが、あらためて「それがなにか?」と問われるとわからなくなる。
- お金を使うことは何でもないですが、それがなにか、というと「これです」としかいえない。
- 「〜のようなもの」がいろいろあって定義がむずかしいのです。
- この種の「むずしさ」は経済学ではよくあることです。
さかのぼって考えると...
- 貨幣は、けっきょく、何かが買えるものです。
- だから、この買われるものの側から、まずはっきりさせておくのがよい。
- 「買われるもの」は「売られるもの」でもあります。
- この売買される「もの」はXとよばれる。
+
| | ... |
X = 商品! しかしこれが何か、がまたまたむずかしい...
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否定形を使った定義
- こういう根源的な定義を与えるときの、一つのやり方ですが
- だれでもわかる、疑問がでないものYをつかって、
- XはYではあるが、ただのYでは「ない」というかたちで定義する手がある。
- 位置だけあって長さも幅も「ない」ものが ... 式のやり方です。
- Xの定義は、三段階でやります。
- まず広く「モノ」の定義をしてみます。
- それからただのモノではない「財」goods の定義
- 最後にただの「財」ではないXの定義
- 「モノ」 --> 財 goods --> X
モノと財
- 教科書21ページの第二段落を読んで、問題5について考えてみます。
- 問題5は重要です。コンテンツとメディアの問題です。情報の問題などを経済学で考えるときの基礎の基礎になります。
- この基礎の基礎が曖昧なまま、むずかしいことを考えると、ほんとうにメチャクチャなことになります。
- たとえば「情報はコピーで簡単に生産できる」と考えてしまう。
「ある」とは
- 哲学の世界では、存在 exist とは何か、はむかしから大問題ですが、それはさておき、
- 「ある」には、モノに特定の性質が「ある」という使い方もある。
- 教科書22-3ページの「属性」のところを読んで説明します。
- 属性というのは、コンピュータの世界でプロパティとよんでいるものですが...
- 少しプログラムの世界に踏みこんでみると
- is-A 関係とhas-A関係というのがあると思います。
- 財 is モノ. X is 財. というサブクラスになるのでしょうか。
- これに対して、役に立つという属性 有用性 「使用価値」はどう表現したらよいか。
- 財 has 使用価値 であって、財 is 使用価値 ではありません。
- X にはたしかに使用価値がありますが、それはただの使用価値ではありません。
- 特殊な制限を受けた使用価値です。持ち主にとっては「非使用価値」Nicht Gebrauchtwert ??? 簡単いえば
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他人のための使用価値:自分にとってはまったく役に立たないが、誰かとってはとてもだいじな役には立つ有用性なのです
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- X is 財 ですから、有用性を継承しますが、同時に、X has P
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| | ... |
交換できるという性質:つまり交換(可能)性:「価値」
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なのです。
- 要するにX とは
ということになります。
価値について
ちょっと面倒な話をしましたが、
- ポイントは次の3点でした。
- モノと情報の関係
- 「ある」の二つの意味
- 財と商品 の違い
- 重要なのは、「貨幣をつかった交換」=「商品売買」は、「財と財の交換」=「物々交換」と同じではないことををハッキリ理解することです。
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