売買型市場:売れなければ買えない
表券型貨幣
▶フィアットマネートという用語は...
▼フィアットマネートという用語は...
- 教科書(『経済原論 基礎と演習』)では、「商品貨幣でない貨幣」をフィアットマネーと呼んでいます。
- 10年前の教科書です。仮想通貨など、まだなかった時代です。(一部マニアは使っていたかもしれませんが)
- フィアットマネーというのは「表券型貨幣」の通称として使います。
- 表券貨幣説は、商品貨幣説と対をなす学説、英語ではchartalism 、表券は charta カルタ のことです。
- ところが、最近、この仮想通貨の世界で、円とかドルとかに換えることを「フィアット化」するなどというようになり、
- また、円とかドルのような法定貨幣(法貨、legal tender)をフィアットマネーと呼ぶ人たちがふえてきました。
- 仮想通貨を実際の支払に使うには、いったん「貨幣」に「換金」する必要があるわけで、
- これはつまり、仮想通貨は「貨幣」はでない、といっていることになります。
- 困ったことに、この人たちの用語法でフィアットマネーというと、日本銀行券のような信用貨幣を指すことになります。
- 信用貨幣は、商品貨幣の一つのタイプですから、けっきょく、フィアットマネーは商品貨幣に属することになります。
- 要するに、「商品貨幣でない貨幣」をフィアットマネーとした教科書の定義と、明らかに正反対の意味になるので、注意してください。
▶理論的に考えると...
▼理論的に考えると...
- 商品の価値を表現するには、それ自身、商品価値と結びついた等価物が必要
- 価値との結びつきをもたないモノを貨幣にすることはできない。
- 国家が紙幣を発行して、
- 「貨幣とは国家が貨幣と定めたものが貨幣である」として、無制限に発行する紙券では、
- 一時的な交換の媒介物になったり、税金の支払いに使えたりすることはあっても、
- そもそも貨幣の第一機能である価値表現(値づけ)という仕様を満たすことはできない。
- 商品が存在すれば、商品貨幣は必須の存在。
- ただ、これを「補助」する、さまざまな支払手段が派生する。
- 日本国が製造した貨幣には「日本国」と刻印されているが、一度に支払に使える量には制限がある。
問題 8-1
次の主張は真か偽か、理由を述べよ。
商品が存在すれば、必ず同時にその価値を表現する商品貨幣が存在する。
しかし、商品貨幣はフィアットマネーの存在を妨げるものではない。
また、貨幣制度が発展すれば、商品貨幣が消滅し、フィアットマネーだけになることもある。
8-1 の回答を +
82/120 ...1点以上 68%
問題 8-2
次の文の (A) (B) (C) にはいる適当な用語を順に、半角スペース一つで区切り、答えよ。
いま私たちが日々用いている貨幣は、中央銀行が発行する (A) 銀行券か、市中銀行にもつ (B) か、いずれかである。
両者はともに商品貨幣に属し、国家が発行する (C) とは範疇を異にする。
商品が存在すれば、必ず同時に商品貨幣が存在するが、商品貨幣でない (C) が必ず存在するとはかぎらない。
8-2 の回答を +
116/116 ...1点以上 100%
▶仮想通貨
▼仮想通貨
- ビットコインのような仮想通貨も、商品貨幣の仕様を満たすものではない。
- 一般の商品の価値表現の用をたすものではなく
- 逆に商品貨幣によって値づけされ取引される商品の一つである。
- 今日、資産としての性格をもつさまざまな金融資産が生まれており、同種大量性をもつ商品を集中的に商う取引所「制度」によって価値表現(値づけ)されている。
- 仮想通貨取引所で売買される資産の一種であり、記念コインや記念切手と同類のアイテムである。
▶商品貨幣論の枠組み
▼商品貨幣論の枠組み
態 様 | 実装方式 | この講義の立場 | 通 説 |
物品貨幣 | 金幣・銀幣 etc | 商品貨幣 =商品から 演繹的に導出できる | 本来の貨幣= 金貨本位制 |
信用貨幣 | 兌換銀行券 |
不換銀行券 | 非本来的な貨幣= 管理通貨制 |
フィアット・マネー | 国家紙幣 | 原理的には不可能な貨幣 |