[[前回>2018年度/第1講]]<<第2講>>[[次回>2018年度/第3講]] *概要 [#vb43e250] **貨幣とは... [#x5d19819] -今回から、「貨幣について」話をします。 -だれでも見知っているはず「貨幣」ですが、あらためて「それがなにか?」と問われるとわからなくなる。 -お金を使うことは何でもないですが、それがなにか、というと「これです」としかいえない。 -「〜のようなもの」がいろいろあって定義がむずかしいのです。 -この種の「むずしさ」は経済学ではよくあることです。 **さかのぼって考えると... [#i2854e5e] -貨幣は、けっきょく、何かが買えるものです。 -だから、この買われるものの側から、まずはっきりさせておくのがよい。 -「買われるもの」は「売られるもの」でもあります。 -この売買される「もの」はXとよばれる。 #region X = 商品! しかしこれが何か、がまたまたむずかしい... #endregion **否定形を使った定義 [#r00072cb] -こういう根源的な定義を与えるときの、一つのやり方ですが -だれでもわかる、疑問がでないものYをつかって、 -XはYではあるが、ただのYでは「ない」というかたちで定義する手がある。 -位置だけあって長さも幅も「ない」ものが ... 式のやり方です。 -Xの定義は、三段階でやります。 > +まず広く「モノ」の定義をしてみます。 +それからただのモノではない「財」goods の定義 +最後にただの「財」ではないXの定義 < -「モノ」 --> 財 goods --> X **モノと財 [#jdbe402a] -教科書21ページの第二段落を読んで、問題5について考えてみます。 -問題5は重要です。コンテンツとメディアの問題です。情報の問題などを経済学で考えるときの基礎の基礎になります。 -この基礎の基礎が曖昧なまま、むずかしいことを考えると、ほんとうにメチャクチャなことになります。 -たとえば「情報はコピーで簡単に生産できる」と考えてしまう。 **「ある」とは [#l0662da1] -哲学の世界では、存在 exist とは何か、はむかしから大問題ですが、それはさておき、 -「ある」には、モノに特定の性質が「ある」という使い方もある。 -教科書22-3ページの「属性」のところを読んで説明します。 -属性というのは、コンピュータの世界でプロパティとよんでいるものですが... -少しプログラムの世界に踏みこんでみると -is-A 関係とhas-A関係というのがあると思います。 -財 is モノ. X is 財. というサブクラスになるのでしょうか。 -これに対して、役に立つという属性 有用性 「使用価値」はどう表現したらよいか。 -財 has 使用価値 であって、財 is 使用価値 ではありません。 -X にはたしかに使用価値がありますが、それはただの使用価値ではありません。 -特殊な制限を受けた使用価値です。持ち主にとっては「非使用価値」Nicht Gebrauchtwert ??? 簡単いえば #region 他人のための使用価値:自分にとってはまったく役に立たないが、誰かとってはとてもだいじな役には立つ有用性なのです #endregion -X is 財 ですから、有用性を継承しますが、同時に、X has P #region 交換できるという性質:つまり交換(可能)性:「価値」 #endregion なのです。 -要するにX とは #region 価値 という性質をもつ財 #endregion ということになります。 **価値について [#v4eef5a7] ちょっと面倒な話をしましたが、 -ポイントは次の3点でした。 --モノと情報の関係 --「ある」の二つの意味 --財と商品 の違い //今回の必須アイテムは //#region //使用価値、価値 でした。この二つのタームを厳密に使えるようにしておいてください。 //#endregion //-次回は使用価値と価値の関係について、教科書で詳しく説明してゆきます。 -重要なのは、「財と財の交換」=「物々交換」と、「貨幣をつかった交換」=「商品売買」との違いをハッキリさせることです。 -重要なのは、「貨幣をつかった交換」=「商品売買」は、「財と財の交換」=「物々交換」と同じではないことををハッキリ理解することです。 *配付資料 [#d9b27b2a] --[[ハンドアウト>http://gken.sakura.ne.jp/tus/pub/2018/handout2.pdf]] &new{2018-04-18 14:02:50};