#author("2020-10-12T16:54:55+09:00","default:obata","obata") #author("2020-10-12T16:55:17+09:00","default:obata","obata") CENTER:[[前回>2019年度/冬学期/第3講]]<<冬学期/第4講>>[[次回>2019年度/冬学期/第5講]] ------ #qanda_clearckl #qanda_setstid(2019-10-10 13:00:00, 90) #qanda_setstid(2019-10-10 16:10:00, 90) #qanda_who //RIGHT:[[再登録>2019年度/冬学期/再登録]] ------ CENTER:&size(25){&color(orange,navy){ 労 働 の 結 合 };}; -「拡張ユニットとしての労働」=「労働の基本構造」がわかれば、 --一人ひとりの労働がバラバラにおこなわれるのでないこと --''原子が結びついて分子を構成するように''労働が相互のむすびつくこと がわります。 -次にこの結びつき=結合の原理を考えてみましょう。 #enddivregion **労働と労働の結びつき [#n07a038d] #qanda_set_qst(4,1,0){{ <p>労働の基本構造から、<労働の結合型には、二通りの原理の存在が推測されます。</p> <p>どのような原理でしょうか。</p> }} #qanda(4,1) #divregion(解答,admin,lec=4,qnum=1) +目的による結合 +手段による結合 #enddivregion #divregion(補足説明,admin,lec=4,qnum=1) -二つの原理を協業と分業とよぶことにします。 |CENTER:|CENTER:|CENTER:|c |協業|Cooporation|目的による結合| |分業|Division of Labour|手段による結合| -協業という言葉は、最近では「(異種の)企業と企業が協力すること」という意味でつかわれるようですが、 -この講義では(マルクス経済学のむかしからの用語法を踏襲して)「労働者どうしの協力」という意味でつかってゆきます。 #enddivregion ***協業 [#kc5b26a3] #qanda_set_qst(4,2,0){{ <p>協業は、複数の労働者が同じ目的を追求することです。</p> <p>これは人間に特有なある能力が重要な役割をはたしています。</p> <p>さて、なんでしょうか?</p> }} #qanda(4,2) #divregion(解答,admin,lec=4,qnum=2) -言語能力? -もうすこし広い能力かもしれません。 -コミュニケーション能力 -人間なら声にださなくても、たとえばアイコンタクトができます。 -黒目だけではなく、白目も見えているからです。類人猿の目をよく観察してみてください。 #enddivregion #qanda_set_qst(4,3,0){{ <blockquote"> <p>一人でやれるとと、複数でやれることとは、単純に量が多いか少ないかで比較できない、レベルの差がある</p> <p>賃金で人が雇えれば、資本はたくさんの労働者を集めて、結合された労働の効果を利用することができる。</p> <p>一人ひとりの独立した労働者では、この集団的な生産力に対抗することができない。</p> <p>個別の労働者が資本との競争で負けてしまうのは、機械装置が買えないというレベル以前に、協業の力にバラバラの個人では対抗できなところになるのだ。</p> </blockquote> <p>この推論は正しいでしょうか。</p> }} #qanda(4,3) #divregion(解答,admin,lec=4,qnum=3) -基本的に正しい。 -資本主義にかぎらず、人間の歴史のなかで、ふるくから cooperation は生産力の源でした。 -協力の成果を、どのように個人が受けとるのか、これが経済学の大問題、難問です。 #enddivregion ***分業 [#mcd240a7] -協業が、労働の直接結合なら、分業は労働の間接結合です。 +ある人が加工した材料を、次の人が製品にしたり(労働対象を通じた結合) )、 +だれかがつくった道具をつかって労働する(労働手段を通じた結合) #qanda_set_qst(4,4,0){{ <p>①人がつくった材料を再加工するのと②だれかがつくった労働手段をつかうのと、どちらが高度な能力を必要とするでしょうか?</p> <p>労働の基本構造の図を思い浮かべて、考えてみてください。</p> }} #qanda(4,4) #divregion(解答,admin,lec=4,qnum=4) -②の他人がつくった道具をつかうほうでしょう。 -逆に考えるとわかりやすいかもしれません。 -だれか特定の人ではなく、だれにでも使えるユニヴァーサルな道具をつくるのは、人間が通常どのように労働するのか、想像する能力が必要です。 -不特定多数の人が使えるようなハサミをつくるのはたいへんです。 -人の行動にしかた(たとえば紙をきるという)を想像して、使いやすいようにつくる必要があります。 -自分に使いやすい道具ではなく、だれでも使いやすい道具をつくる必要があるのです。 #enddivregion #divregion(解答,admin,lec=4,qnum=4) -道具の存在は、熟練とは何か、考えるヒントになります。 -逆にだれでも使えるハサミが標準で存在するようになると、ハサミで紙を切る動作も標準化されます。 -どんなに紙を切るに熟練しているといっても、他人がつくった万人共通の標準的なハサミを使っているかぎり、限度があります。 -たとえば1分間に切れる紙の枚数は、だれがやっても、だいたい同じ、ということになります。 -紙を切ることに熟練がある(ある人が普通の人の10倍の紙がきれる、というような神業です)があるとすれば、 -それは用途にあわせた特殊なハサミをつくって、それを''使いこなす''かたちで発揮されるのです。 #enddivregion