#author("2020-10-29T14:48:00+09:00","default:obata","obata")
#author("2020-11-05T14:33:23+09:00","default:obata","obata")
CENTER:[[前回 ◁ >2020年度/冬学期/第5講]]&color(#447CFF){第 &size(32){6}; 講}; [[▷ 次回>2020年度/冬学期/第7講]]
----
#qanda_setstid(2020-10-29 16:10:00,90)
#qanda_who

#qanda_set_qst(6,20,0){{
<p>&#x2714; 接続状態をおしえてください。</p>
<p>&#x2714; 前回学生証番号を登録した人で、今回、「氏名不詳」になっていた人は「再登録」と書いてください。</p>
<hr>
<blockquote>
回答時間を短く制限しているのは、「短い時間に集中して判断を迫ることが、
キレのよい論理的思考を身につける捷径だ」いう私の経験則によるものです。
テレビの早碁をみたことがありますか。「一手30秒未満でうってください」の世界です。
論文を書く場合には、一手に丸一日をかける長考スタイルの思考が必要ですが、
それはまた論文を書きながら別個に身につけください。
</blockquote>
<p>という方針でやっています。..が、回答時間が短すぎるとストレス感じている人もいるのでは?参考までに意見があればどうぞ。</p>
}}
#qanda(6,20)

-----
CENTER:&size(25){&color(yellow,navy){&nbsp;分 業&nbsp;};};
-----
*今日の目的 [#zdc67e2e]
-協業と区別された分業とはなにか?...ごた混ぜはごめんです。
-分業はスキルは高めるか?...そもそもスキルがなにか分からない。

**分業とは [#u9b97606]
#divregion(『国富論』の分業, lec=6 , qnum=20 ,admin)

-アダム•スミスは,『国富論』のはじめのところで[[ピン生産の仕事場>https://www.open.edu/openlearn/history-the-arts/history/the-people-on-the-notes-adam-smith]]を例にあげ,そこでは,
>
--18工程に及ぶ労働を10人が分業でおこなうことにより,1人あたり4800本ほど製造しているが,
--10人が別々にはたらいたとすると,20本はおろか1本もつくりだせない
<
であろうといっています。
-今日でもアパレル産業などでは、[[労働の現場>http://blog.livedoor.jp/saigon1995/archives/48597056.html]]は分業ベースです。

#enddivregion

RIGHT:3 mini
#qanda_set_qst(6,1,0){{
<p>アダム・スミスは実例で、分業は生産力を高める、と説得してきますが、経済原論を勉強しているみなさんとしては、「なんで、分業は生産力を高める?」とスミス博士に尋ねたくなるハズ。とはいえスミス博士はもういません。代わりに、自分で答えてみてください。</p>
}}
#qanda_solution(6,1){{
<p>解答</p>
  <p>スミス博士は、分業がこのような効率化をもたらすのは,一般に,</p>
<ol>
  <li>技能の増進</li>
  <li>作業転換に要する時間の節約</li>
  <li>労働を促進•短縮し, 1人で多くの人の仕事ができる機械の発明</li>
</ol>
<p>によるとまとめています。</p>
}}
#qanda(6,1)

**スキル [#o644a55b]
RIGHT:3 mini
#qanda_set_qst(6,2,0){{
  <ol>
    <li>技能の増進</li>
    <li>作業転換に要する時間の節約</li>
    <li>労働を促進•短縮し, 1人で多くの人の仕事ができる機械の発明</li>
  </ol>
  <p>のうち、純粋に作業を「分ける」ことから生まれた効果はどれか。</p>
  <p>「わける」とどうして効率が上がるのだろうか。</p>
}}
#qanda_solution(6,2){{
<p>解答</p>
<p>二番目も三番目も「分ける」こと以外で生じる効果。</p>
<p>二番目も三番目も「分ける」こと以外で(も)生じる効果。</p>
<p>一番目のスキルアップがそれらしき理由。たとえば、専門化することで</p>
<ul>
  <li>マスターすべき対象が限定され、スキルを深められる</li>
  <li>自分の素質にあった対象に、スキルの内容を限定できる</li>
  <li>.....</li>
</ul>
<p>から。</p>
<p>解説</p>
<p>二番目は「集まる」ことの効果。三番目は「分ける」と、どうして「機械」の発明に<span class="tooltip">かならず<span class="dscp"><span class="text">やればやれそうですが。教科書は「自動化効果」としてこの側面を説明しています。121-2ページです。</span></span></span>つながるのか、という説明がありません。そしてまた、もし機械が発明されれば、分業による労働もいらなくなるハズ。どうも分業という労働組織が、それ自身、生産力を高めるという説明にはなりそうにありません。</p>
}}
#qanda(6,2)

RIGHT:2 mini
#qanda_set_qst(6,3,0){{
  <p>作業を分けそれぞれ得意なことに専門化することになるから、分業が深まれば、それだけ個性的なモノがふえる。</p>
  <p>真か偽か、理由を述べよ。</p>
}}
#qanda_solution(6,3){{
  <p>偽</p>
  <ul>
    <li>分業は、見ず知らずの他人でも使えるモノをつくるもの、知っているだれかの好みに合わせてつくるわけではない。</li>
    <li>つくられるモノの品種はふえるが、それぞれの品種はみな「規格か」「標準化」され、だれでもつかえるモノになる。ちっとも個性的とはいえないのがあふれるのが現実。</li>
  </ul>
  <p></p>
}}
#qanda(6,3)

RIGHT:3 mini
#qanda_set_qst(6,4,0){{
<p>スミス博士以来、どうも「分業」なるものが実例で語られ、ちゃんとした定義が与えられていないため、混乱を生んできたようです。</p>
<p>これまで、人が集まってはたらくのが協業、作業を分けるのが分業だ、と定義しました。</p>
<p>ここでもう一歩ふみこんで考えてみましょう。</p>
<p>「集まる」というのは(A)を媒介に労働が結びつくこと、これとの<対>でいえば、「分ける」ことで労働が結びつくのは(B)を媒介にしてである。</p>
<p>(A)(B)は?</p>
}}
#qanda_solution(6,4){{
<p>解答</p>
<ul>
  <li>(A) コミュニケーション 意思疎通 目的</li>
  <li>(B) モノ 労働の結果 労働手段</li>
</ul>
<p>解説</p>
<ul>
  <li>教科書によれば
    <blockquote>
      手順がきちんと整った後は,主体は最終目的のことは忘れて,下位の過程に専念すればよい.入力系の意識のループは内部に向けて閉じ,出力系の制御に集中するわけである.こうして,同じ主体の意識も,下位の過程のなかで分割される.意識の分割は,下位の過程を異なる主体が遂行したとしても,所定のモノが結果として生みだされていれば,最終目的は全体の連鎖を通じて実現される.このように,<span style="color:red">モノを媒介に</span>,異なる主体の労働力が連鎖する労働組織を分業とよぶ.
    </blockquote>
    そうです。
    <li>さしずめ、協業が「おしゃべり型結合」なら、分業は「だんまり型結合」といったところでしょうか。</li>
</ul>
}}
#qanda(6,4)

RIGHT:2 mini
#qanda_set_qst(6,5,0){{
<p>労働の成果であるモノを媒介にして、労働と労働が間接的に結びつくのが分業だとすれば、分業のほうが、協業よりずっと広い範囲に及ぶ。</p>
<p>この主張は真か偽か、理由を答えよ。</p>
}}
#qanda_solution(6,5){{
  <p>解答</p>
  <ul>
    <li>偽</li>
    <li>たしかに、モノを媒介にれば、遠く離れた人の労働と結びつくことはできますが、</li>
    <li>情報通信技術の発展は、協業の広がりをつくりだす可能性もたかまってくるから。</li>
    <li>「集まる」といったって、空間的に一カ所に集まることや、顔を見合わせて手を振ることにかぎりません。もっと抽象的に意味でコミュニケーションができれば「集まる」になるわけです。</li>
  </ul>
}}
#qanda(6,5)

#divregion(今回のまとめ, lec=6 , qnum=5 ,admin)
-作業を分割することを、分業と定義すると、その効果は限られたものとなる。多くは協業と結びついた派生的な効果である。
-その効果の中心と考えられるのは、技能・スキルの上昇である。
-しかし、分業が広く行きわたった世界では、スキルは労働組織の互換的なパーツとして標準化され、その人にしかできなというタイプの職人芸的なスキルは衰退する。
#enddivregion

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS