前回<<冬学期第8講>>次回
- 今回から「生産」の理論にはいります。①生産構造論 -> ②生産価格論 が主軸です。
- ①の構成は
- 社会的再生産
- 純生産物の分割・剰余生産物
- 労働論とのつながり
- 人間労働の基本規定は...
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- 合目的活動 = 目的合理性
- 目的をきめて
- 手段を組み立て
- コントロールすること
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- この講義ではとくにコンピューターと労働の関係(雇用、労働の変質など)考えてみました。
- 単独の労働者とAI という関係だけでは不充分。
- なぜなら、人間の労働は
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- 社会的で組織底な結合・連繋に真の強みをもつ
- 協業と分業という形態で
- 集団力の原理を基本とする
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から。
- コンピュータがこの領域において、人間の熟練を解体できるか....
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- Xくんの意見:
- 「AIの最大の特徴は、コンピュータは人間が組んだプログラムのことしかできないのに対し、AIは、一度作ってしまえば自ら様々なパターンを学習し、そこから考える力が備わっているところである。そのため、AIの発展により、労働の熟練度を高めることは期待できる。しかし、今まで人間が行っていた労働のポジションとAIがそのまま入れ替わるということは、協業という観点から難しい。そのため、AIの発展により全体としての労働組織は変わらず、AIと人間の協業をサポートするような人間が必要になっていくという影響を及ぼす。」
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- この基本規定から一般的に発生するのは、労働主体のコントロール能力すなわち「 A 」と 生産手段の客観的体系性すなわち「B 」です。A とB は?
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- 熟練 skill
- 技術 technology
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- 生産論の出発点は後者のB
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remarks
- この講義のポイントは、「理論的に考える力」を養うこと。
- 内容よりは考え方にウェイトをおく(別解あり。別の結論=内容もあり。)
- 前提=出発点 → 結論 の合理的な推論をおこなうこと。(すでに「労働」について試みたが...)
- 多様な現象の観察・記述ではなく、体系的な整理・基本的な関係を抽出する力
- つねに例外的な事象がいくらでもでてくることは自覚しよう。
- 10%でも基本は基本(?) 基本の「部分」が「全体」を規定する関係
- 生産価格のところでも典型的なケースがでてきます。
- 社会科学における「理論」の意義は
- この「理論」に予測能力を期待するのはむずかしい。
- 経済予測は天気予報と同じだという考え方もあるが、やはり違う。
- 「経済物理学」:mass 現象では個人の意志は相殺されるので
- 「意図せざる結果」として予測可能性が生じるというアプローチ
- 前提 $P \to$ 結論 $Q$ の $Q$ は全体$Z$ をカバーできない
- 一般的な意義は $Z$ において、少なくとも すべてが$not~Q$ ということは生じないという否定形の命題
- このロジックに慣れよう。何日も雨が降らないことはあるが、永久に降らないということはありえない。
- もう少し積極的にいえば $not~Q$ であるべきではないという規範的結論
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社会的再生産
- テキスト141-151頁
- 生産の全体系は、再生産と社会的分業の二つの側面をもちます。両者の関係について説明してゆきます。
再生産
- 前提は モノのinput -> モノのoutput に量的な確定性があること。(モノ's)と(モノ's)の関係
- input < outputを「生産」、 input > output(ふつうは0) を「消費」と定義
- 確定性がなければ、そもそも「生産」という概念は成立しない。
- 生産の概念から「再生産」reproduction という概念が導きだされる。
- 「再生産」はいちばん基礎になる概念ですが、ふつうはいろいろな意味でつかわれています。
- 簡単な例で考えてみよう。
- 再生産の基本は、.... A → A'→ A'' →.... という連続過程を A → A' + A'→ A という循環過程に置き換えること。
社会的生産
- 「社会的」というのは複数の生産過程の連鎖という意味。
- モノ→モノだけではなく、(モノ's)→(モノ's)
- 複数のもっとも一般的なかたちは?
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- 2
- nで成り立って2で成り立たないことはない
- 2で成り立ってもnで成り立たないことはある
- n では成り立たないこともあることに注意しながら、
- 2で基本的な命題を考える。AとBの「関係」。
- 2では不充分なとき、「関係」の「関係」が考えたいことには3
- ((A-B)-C) が複雑さの限度。AとBの関係は、Cには関係ない、といった命題...
- コンピューターにできない直観 intuition を鍛えよう。「直観」は「直感」じゃないよ...
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- 再生産は、モノ→モノだけではなく、モノ←モノでもあるという意味。
- 生産の理論は、社会的+再生産 が「一」。「一」という意味は....
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- remarks
- 「一」を聞いて「十」を知る。これが「原理論」タイプの「理論」。
- 「百」を聞いて「十」を知る。この種の「知性」はAIに任せよう。
- 詭弁 sophistry にきこえるかもしれないが、どちらかというと Knowing unKnown タイプの思考。
- AI的思考は、知った「十」からさらに「一」にさかのぼることはできない。
- 「本質」というは発想法はむずかしい。「十」で「百」が説明できるなら、それ以上の抽象化はしない。
- 「原理論」では「一」から「十」を導きだす(体系化する・関連づける)ことができるが、
- 「一」で「百」をすべて説明することはできない。無数に例外が発生する。
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講義はここまでで時間切れとなりました。
- 小麦の再生産の例では、純生物と粗生産物の区別は簡単だが、
- 小麦と鉄を原料に、小麦や鉄が生産さえる関係では、ちょっと面倒になる。
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Cone~ 2 + Iron~ 3 \to Cone~ 8
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Cone~ 4 + Iron~ 2 \to Iron~ 6
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- 行列やベクトルをつかって表記すると簡素化できる。
- あとは、線形数学の応用でわかることも多いが、この講義では、経済学としての基礎的な考え方にポイントをおく。
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- 重要な仮定
- 技術の一定性 一定の生産方法が継続する。生産方法の変更がないケースである。
- 規模の伸縮性 同じ生産方法 $input \to output$ で生産規模を拡大縮小できる。 $input\times 2 \to output \times 2$
- 図解:
- input を負、output を正 として生産方法をベクトルで表示すると
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(2,3)\to(8,0)
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(4,2)\to(0,6)
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- 平面ベクトルで図示してみると...アニメーション