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市場の中心軸としての資本
講義予定
- 一回分遅れています。第12講の内容からはじめます。教科書 86-95ページ。。
三つの市場観
間接的物々交換
▶ミクロ経済学一般均衡論
▼ミクロ経済学一般均衡論
- (貨幣)は一般均衡価格を決めるための暫定的な尺度 ニュメレール
- どの財でも(貨幣)になれる。
- いったん一般均衡価格が成立したら(貨幣)はいらない。
- すべての財に関して需要と供給が一致しているのだから、
- 欲しい財の持ち主に、一般均衡価格(交換比率)で交換を申し込めば、
- 喜んで交換してくれる。
- 交換した財が欲しい財でなければ、同じように欲しい財の持ち主に申し込めばOK
- そして最後には、すべての財が市場から消える。
- 美しいお伽噺...でもこれってホンマっかいな。
商品所有者だけの市場
▶ふつうは...
▼ふつうは...
- 通常の市場観は W--G--W' によるもの
- 貨幣を仲立ちにして
- 不用なWを必要なW’と
- 間接的に交換。
- 100円で売って100円で買う「等価交換」。
- もちろん、だれだって、もっと安く買いたい、高く売りたいと思うだろうが、
- そうした競争の結果、「等価交換」になってしまう、それでも.....だからいいじゃないか、 というのが「ふつうは...」の市場観。
- 「.....だから」というのは、「価値」の面では何の得もないけど「使用価値」の面では得になるから、ということ。
商人が中心の市場
▶ホントは .....
▼ホントは .....
うえの図の見方
- 商品Wを売って商品W'を買う W -- G -- W' という商品売買は
- 資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G'' にWを売り、
- 資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G'' から W' を買う
かたちになる。
- 図では、中心をなす資本 -- G -- W -- G' -- W'-- G''-- は一つだが、
- 多数の資本をまとめて一つにしたものと理解すべし。
市場のリアル
- 市場のリアルは、カネもうけ。
- 安く買ったり、高く売ったりしたいという動機自体は W--G--W'でもはたらく。
- でも、安く買ったり、高く売ったりを、バラバラにおこなうのではなく、
- 二つをキチンと結びつけて、はじめから差 額 ネライで、転売を繰り返す。
- 別に買った商品が自分に役だつから買うんじゃない。
- 「いいものをそろえてます」といったって、自身にとってはすこしも「いいもの」ではない。
- 自分にはつまらないものでも、お客さんにとって「いいもの」。商売やるなら自分の好みは捨てろ。
- はじめからもうけ目当て、計算ずくで、取引しているのだ。
マイナスを怖れるな
- さらに、差額を生みだすために、積極的に流通費用を支出し、これも勘定にいれ、
- はじめの元手の額(投下された資本)をトータルでふやすことが重要。
- 転売を通じて資本の増殖をはかる主体を、広い意味で「商人」とよぶ。
- 市場の中心にいつもいるのは「商人」。
リスクはあるが
- もちろん、いつでもだれでも転売でもうかるという保証はない。
- しかし、市場の中心に、このような転売活動が存在しているはたしか。
- こころみに自分の持ち物を考えてみよ。たいてい「商人」から買っているはずだ。
- 生産者どうしが互いに直接交換しているような市場はマレ。
リアルの意味
- 別にカネもうけがいいの悪いのといっているわけではない。
- これが市場のリアルだ、といっているだけ。
- リアルというのは、アレコレの個々の事実ではない。
- 理論がもっているリアリティのこと。
- 抽象化された全体像がもつリアリティ。
- いくらでも例外はある、というより、個々の事実はすべて例外。
- 反例を1つあげれば棄却されるようなリアルではない。
- 三角形の一般的定義と、黒板に描いた個々の三角形もどきの関係。
全体のまとめ
▶市場を組み立てる
▼市場を組み立てる
- 基礎の基礎から組み立てることが経済原論。
- 出発点は財ではなく商品。
- 商品には価値がある。
- 商品が存在すればかならず、その価値を表現する貨幣が同時に存在する。
- ただし価値を表現することと、価値の大きさを「はかる」ことは別。
- 表示された価格はいつでも変更できる。「はかる」のは販売による価格の確定。
- 同じ価値をもつ同種商品でも、販売にはランダムな期間と経費がかかる。
- そのため「売ってから買う」だけではなく、売れるまえに買うさまざまな取引が派生し、
- 「買って売る」転売を繰り返し増殖を目指す資本がうみだされる。
- 「商品が在庫として存在し、貨幣でなんでもすぐに買える市場」は「商人が中心の市場」になる。
- これが、市場のリアル、リアルな市場である。
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