第7章「剰余価値率」の数学的な定式化

読書会のメンバーのyazawaさんからの投稿です。< admin

[1]価値の転移・増殖について、時間的経過を無視すれば
入力:前貸し資本(これをKとします)
出力:生産物価値(これをK’とします)
の関数と考えられます:K’=f(K)
ここでK=C+V 、K’=K+M=K+V×(M/V)
剰余価値率M/V=r=一定と仮定すれば
K’=K+M=K+V×(M/V)=K+rV
つまりK’=f(K)=K+rV という一次関数になります。

[2]価値の転移・増殖について、時間的経過の数学的表現を考えます。
仮定として「単位時間に投入される労働量《V》、同じく生産物に移転される固定資本・原材料の価値《C》が一定とすると、
単位時間に生産される生産物価値《K’》は、
《K’》=《C》+《V》+r《V》

このように書いて一つ引っかかるのは、 「固定資本・原材料の価値《C》」の生産物への移転と労働の投入《V》が別個の過程のように表されることです。 「固定資本・原材料の価値《C》」の生産物への移転」は、労働の投入によってはじめて実現する生産過程であり、価値を作り出す過程です。その意味では
《K’》=《C+V》+r《V》  = { 《C》+《V》}+r《V》
と書いた方がよいかもしれません。
これをt=0から t=tまでの「積分」であらわせば、
K’=《C》t+《V》t+r《V》t
=(《C》+《V》+r《V》)t
となり、横軸に時間、縦軸に生産物価値K’を取れば、原点を通る直線になります。
K’=《C》t、 K’=《C》t+《V》t の直線を同じ座標にひけば、原点を通る3本の直線になり、時間軸に垂直な直線で、これら3本の直線を切れば、切り取った線分の比が、
《C》:《V》:r《V》=C:V:rV=C:V:M になり、「シーニアの最後のの1時間」のごまかしが視覚的にもよくわかると思います。

 

 

1件のコメント

  1. 矢沢さん、投稿ありがとうございます。
    帰りの電車のなかで拝見し、さっそくこんなことかなと、地下鉄に揺られながらメモした図です。

    図解

    上のほうの図でみるとわかるように、価値移転するCの部分をゼロからつくると考えてしまうと、Cの横線と原点からV+Mをむすぶ斜めの線の交点のところまでが、原料の価値を新たに形成するための時間ということになります。次にVが形成され、最後にMが形成されるわけです。この部分が「シーニアの最後の1時間」ということになります。ただし、この図には1箇所、誤りがあります、気がつきましたか。

    でも、下のほうの図で見ればわかることですが、矢沢さんがいわれる「原点を通る3本の直線」のいちばん下の直線のように、Cもだんだん価値移転されてゆく、だからC:V:M の比率はどこで切ってもおなじになるのですね。

    マルクスの時代の出版物をみると、こういう図が簡単に印刷できなかったようで、いまだったらこういう説明はずっと楽ですよね、私も教科書を書いたときに、いろいろ図解してみましたが、『資本論』には図解がない。せいぜい一行限りの G—W—G’ のようなものばかりです。しかし、リカードとかマルクスの時代の人は図で説明するかわりに、簡単な数値例で一般的な関係をイメージする力が私たちより発達していたような気もします。こういうのは、やはり環境が意識を決定する… 類なんでしょうか。『資本論』のような150年くらい前の本をいま読むと、なんか読みづらい、まだるっこしいな、と感じるのは、この辺のギャップが一つには影響しているのだと思います。子どもころから、図解になれきって、数値例でイメージする能力が退化している、そんな教育をうけてきたのですから、これは致し方ないことでしょう。

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