『資本論』第1巻を読む II 第5回

第5章 第1節「労働過程」

第4章「貨幣の資本への転化」は、この一つの章だけで、同名の第2篇を構成しておいます。ちょっとちぐはぐな感じなのですが、続く第5章から第9章まで、今度はかなり長い第3篇「絶対的剰余価値の生産」を構成するかたちになっています。

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『資本論』第1巻を読む II 第3回

第3節「労働力の購買と販売」

「価値通りに買い価値通りに売り、しかも、この過程を通じて出発点の価値を上まわる価値が発生する」こんなことが可能だろうか?第2節の終わりでマルクスはあらため一般的定式 G—W—G’の矛盾を提示します。続くこの第3節では、労働力という商品の価値について説明し、第5章の第1節「労働過程」を媒介にしながら、第2節「価値増殖過程」で労働が新たな価値を生みだす過程を分析することで「手品はついに成功した。貨幣は資本に転化した。」(S.209)と宣言します。一言でいえば、労働力商品の使用価値である労働が新たに生みだす価値は、労働力の再生産に必要な労働時間で決まる労働力商品の価値を超えうる、というのがタネ。でもたいてい、謎解きというのは、答えをきけばアタリマエでつまらない話になります。せっかくですから、ここでは謎解きとしてではなく、労働力商品(化)とはなにか、もう少し中味にたちって考えてみたいともいます。

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