・6月3日の『暴力なき社会主義?』の報告の際は皆様、ありがとうございました。クレディ・モビリエの破綻の原因に関しては、マルセイユ事業の失敗、利潤の社外流出などが絡んでいましたが、中川氏のご著作にもはっきりとは破綻原因が示されていない、というご指摘もございました。

 先日宇野先生の『経済政策論』をめくっていましたら、改訂版PP.150−151にかけて『リーセルはその中( Die deutschen Grossbanken 橋本挿入)でドイツの信用銀行がフランスのクレディ・モビリエとやや類似した基礎をもって発展しながらその運営において著しく異なっていたので、後者のように短時日で崩壊しなかっとことを指摘している。しかしその点は単に銀行経営の技術上の問題としてでなく、恐らくドイツにおける資本主義の発展そのものがフランスと異なったものを有していたことによるものと考えるべきであろう。』(引用)という箇所があり、後段で宇野先生独自のお考えを示されているようです。

 私はクレディ・モビリエに関しては中川氏のご著作によって初めていくらか細かい知識を得たような状態ですので、経営判断の誤りに破綻の原因を求めておりましたが、宇野先生のこのご指摘を読んで、マクロが絡んだ破綻という方向でも検討する必要を感じました。

 尚、『暴力なき社会主義?』の書評はいまのところ見当たりませんです。 以上


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13