コメント

2006-12-09 (土) 08:38:54 obata

ヴェブレンが読んだマルクスの著作の範囲はどこまでか。

時代的制約があり、今日われわれの知るマルクス像と異なるマルクス像が検討対象となったはず。合衆国におけるマルクス主義、ないし社会主義思想の受容のされ方を知る手がかりになるだろう。

目的論的か?

これが終末思想やユートピアを意味するとすると、マルクスはこれらを空想主義的と批判した。

自然権思想か?

  • 絶対的な個の自立的な存在を否定。社会的諸関係の総和といった人間の捉え方は、社会関係が先行して個はそれを意識せざるかたちで、規定されているとみているので、これも制度学派的といえばいえるもの。
  • 労働全収権に対しても、マルクスはこれを主張するリカーディアン・ソーシャリズムやプルードン派などを批判。これはかなり徹底している。

快楽主義か?

快楽主義的な主体の想定は、絶対的な個の自立を前提とする。マルクスはこれを批判。ヴェブレン以上にこれを拒否している。

進化論的か?

歴史的必然性として、この側面を強調している。啓蒙主義批判という意味で、理念の実現を説くという立場を批判している。今日この側面が逆にマルクス批判、ソビエト型社会主義批判として、社会主義的潮流の中では強まっている。価値判断ぬきに進む、自然科学的・客観主義的な歴史的発展論に対する反省が、経済倫理学などのかたちで強まる状況にある。

ヴェブレンはなぜかくも見事に取り違えをやったのか?

これが学史的にはいちばんおもしろい謎です。


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13