武田信照著[2006]『経済学の古典と現代』梓出版社

第1章「商品の呪物性」

「生まれながらにして」について

Daß nun, "obgleich Gold und Silber nicht von Natur Geld, Geld von Natur Gold und Silber ist" (42), zeigt die Kongruenz ihrer Natureigenschaften mit seinen Funktionen.(43) Bisher kennen wir aber nur die eine Funktion des Geldes, als Erscheinungsform des Warenwerts zu dienen oder als das Material, worin die Wertgrößen der Waren sich gesellschaftlich ausdrücken. Adäquate Erscheinungsform von Wert oder Materiatur abstrakter und daher gleicher menschlicher Arbeit kann nur eine Materie sein, deren sämtliche Exemplare dieselbe gleichförmige Qualität besitzen. Andrerseits, da der Unterschied der Wertgrößen rein quantitativ ist, muß die Geldware rein quantitativer Unterschiede fähig, also nach Willkür teilbar und aus ihren Teilen wieder zusammensetzbar sein. Gold und Silber besitzen aber diese Eigenschaften von Natur.

物象化と物神化

物化または物象化 Verdinglichkeit

<人と人の関係がモノとモノとの関係となる>というが、簡単にいえば、世界が道具的な構造になっている、ということである。物理的・化学的な物体・物質の塊として、自分の周囲を意識して生活しているものはいない。部屋には椅子があり、机があり、着席することを示唆している。電灯のスイッチは、押すことを求めている。u.s.w...

これらは、「自然的」な物体ではなく、「歴史的・文化的」な意味を帯びている。そして、「だれか」他者によって設定されている。私が演習室にこうして着席しているということは、モノを媒介に「だれか」不特定化された人との関係を取り結んでいる。また反対に、私のモノに対する働きかけは、それを通じて、匿名化され、他者に指示を与える。

当たり前のことですが、物象化といえば、こんなものでしょう。

物神性または呪物性 Fetischisisums

社会的な属性がモノの自然的属性と見なされる>というが、具体例は、記念品とか、プレゼントとか、お守りとか、マルクスが使っていた大英博物館の座席、とか、この類のモノである。これらは、その椅子も他の椅子も、椅子に変わりがあるでなし、解けて消えればみな同じ、なのだが、社会的な意味付与がなされている。思い込みといえば思い込みだが、そうである。このような思い込みは、個別化された一主体とモノとの関係ではない。それは社会的認知を契機にする。だれかがそういっているからそうなのである。そして、そのモノをもつことは、そのモノに託された社会的力を他者に対して及ぼす。呪物といえば、この種のモノである。彼女のプレゼントを大事することは、彼女に対する愛情の表現になるし、マルクスの椅子をたたきつぶせば、その権威を否定する意味をもつだろう。『資本論』の初版本をもっているからといって、べつに『資本論』の理解が深まるわけではないが、こうしたレアモノを収集する主義者はいる。

物象化と物神性の関係

  1. 物象化集合が物神性集合を包含する。
  2. 逆の包含関係である。
  3. 物象化集合が物神性集合は共通部分をもつが、いずれも還元できない領域をもつ。
  4. 両者は共通部分をもたない。

さてどうだろうか、という話になった。おそらく1だろうと思うが、3である可能性もある、というのが、私の結論だった。

道徳感情論と物象化・物神化論

同感は、他者の振るまいが直接に私の感情に訴えるかたちで、はたらく。物象化はモノを媒介にして、というかたちで、他者の意志が匿名化されて伝わる。社会的な力を考えるときに、この種の伝搬構造の分析が欠かせない。スミスの議論とマルクスの議論は、この点を同じく問題にしている。マルクスが、このスミスの議論を無視したのはいかなるワケか、ずっと腑に落ちないできたところである。


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13