生産的労働について

絶対的剰余価値の生産と相対的剰余価値の関連 552-3

  • 形式的包摂と実質的包摂との対応
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  • 形式的包摂・・・従来の労働関係が資本賃労働関係に置き換わるだけ。
  • 実質的包摂・・・資本が労働過程を編成する。

形式的包摂の下では狭義の絶対的剰余価値生産は起こらない。

  • ?→?について

宇野のフレームワークでは、本源的蓄積で労働力商品が生成されると考えられているために、労働力の「分解」(?→?)は考えにくい。

構想と実行の分離(ブレーバーマン)

cf)「計画と実行の分離」テーラー

  • 単純・複雑労働と目的・意識的活動との2種別ある
  • 宇野:人間労働の2重性論

労働の合算可能性について目的意識的活動という担保。 目的・意識的活動であるが故に、労働はどの様にも振り分けが可能。

剰余価値の自然的な基盤

  • 労働の生産性
  • 自然の賜としての剰余 535

自然環境と資本主義 356

  • 「自然力」を「馴らす必要」:-労働によってできるのか?
  • 剰余労働の可能性と現実性 537-8
  • 社会的労働の生産諸力と<自然(的労働)の生産諸力> --> 資本の生産諸力 :- このロジック?

J.S.ミル批判 539-541

  • 剰余価値の源泉に無関心なリカード
  • ミルの源泉論
  • 賃金の先払い・後払い問題 :- マルクス自身はどうなの?

宇野弘蔵の労働過程論における剰余労働の規定

「労働力は、元来、特定の有用労働に制限せられることなく、あらゆる生産物をる、種々なる有用労働として使用されるのであるが、そしてこれがまた上述のよ二重性の基礎をもなすわけであるが、このことはまた、労働力自身がその労働の一定量の生活資料の消費によって再生産されるという事実に基いて、人聞社会の的基礎をなすことになる。一日の労働をなす労働力の再生産に要する生活資料をば、あるいはまた生活資料のある程度の増加を前提しても、労働の生産力の増進生活資料の生産に要する必要労働時聞は減少し、剰余労働時聞は増加し、種を有する剰余生産物を繕産することができるからである。元々、人聞は一日の労一日の生活資料以上に多かれ少かれ剰余生産物を生産してきたのであって、この剰余生産物 を生産する剰余労働時聞が如何様に処理されるかは、それぞれの社会において生産自身が如 何様にして行われるかに対応して決定され、歴史的に社会形態を区別することになる。資 本主義は、古代、中世の社会と異って、資本家的商品生産に対応して、この剰余労働時聞を も、商品として購入され、生産過程に消費される労働力による労働の一部分として、したが ってまたその生産物たる剰余生産物をも資本の生産物としての特殊の形態をもって処理する のである。それと同時にまた労働の生産力の増進にも特殊の動力を与えられることになるの である。」(宇野[1964] 52-3頁)

  • あらゆる社会に共通な「労働生産過程」といいながら、最後のパラグラフで剰余労働を説明するところは、あらゆる社会に共通とはいえない内容になっている。ここは「あらゆる階級社会」に共通するというべきところ。しかし、基本がゲバルトではなくて<生産力上昇=>剰余労働>という説明になっている。

『経済原論 -- 基礎と演習 --』の立場

  • 「剰余労働(時間)が先にあり、これが剰余価値を生産する」という命題を排除
  • 生産 - 再生産 - 純生産物 - 剰余生産物 というラインで、「生産」を「労働」と別立てで展開
  • 純生産物の分割=剰余生産物の定義 のところで「階級関係」を説いている。つまり、生産力一般が剰余生産物の源泉ではない、と宣言。
  • 剰余生産物 を生産する労働として 剰余労働時間を定義

階級関係

「階級関係 生産手段の補填は生産技術的な関係に基づく.これに対して, 生活物資の取得は,これと根本的に異質な関係による.純生産 物は,社会的再生産からみれば補填をした後に残った余り,つまり残余部分で ある.純生産物はさまざまなかたちで消費されるが,消費に先だってまず,異 なる社会構成員のグループに分配される必要がある.しかし,この分配関係 は,社会的再生産の内部ではきまらない.社会的再生産が残余を生みだす結 果,この処分をいかにおこなうか,という未決定項が発生する.この決定方式 をめぐって,歴史的な諸社会はさまざまな様式を生みだしてきた. 純生産物の分配には一定のルールが必要となる.また,それを正当化する制 度や権威があり,社会の構成員を納得させる社会的通念,イデオロギーが形成 される.こうしたルールのもとで,決定権をもっ社会集団ともたない集団が形 成されたとき,この集団を階級とよぴ,その関係を階級関係という.純生産物 の存在は,階級関係が形成される中心的な必要条件である.理論的に推論でき るのはここまであり,階級関係の中味の分析は本書の範囲をこえる.ここに未 決定問題が存在することを確認して,何らかの方式で純生産物の分割がなされ るものと仮定し考察を進めることにする.ただ,次節以降でみるように,資本 主義はこの分配関係を処理する独自の方式を具えている.これについては,階 級関係の特殊な処理方式として2.3 節で解明する.」(152-3頁)

価値増殖の社会的根拠

「二つの未決定項が,資本によって商品経済的に充 足されたと仮定すれば,社会的再生産を編成する 資本には,価値増殖の基盤が与えられる.もちろん,これは多数の個別資本を 総体として捉えた範囲でいえることである.全体でプラスの利潤をあげること ができたとしても,そこからただちに,個々の資本が必ず利潤をあげられると いう結論はでてこない. 資本は全体として労働者に対して,その生活を維持するのに必要な生活物 資を与えることで,そこから総労働量T を引きだす.この総労働量をもとに, 純生産物が資本のもとで産出される.労働者が消費する生活物資のベクトル B はこの純生産物の一部を構成する. 各商品の価格を要素としたベクトルを価格ベクトルとよぶことにする.賃金 率(1 時間あたりの賃金額)をw 円,価格ベクトルをp 円とすれば,労働者は 全体としてみると,総労働量T に対して, Tw 円の賃金総額を得る.これに よって,総額Bp 円の生活物資を,市場を通じて取得する.価格関係として みると, Tw =Bp という等価交換が成立している. この生活物資の物量B と総労働量T の聞には技術的な決定関係はない.こ の社会的な関係には,本源的な弾力性がある.各生産物1 単位に対象化され た労働量を要素とするベクトルをt とおくと,労働者が生産物のかたちで取 得する労働量Bt と,生活物資の消費を基礎におこなう総労働量T とは異 なる量である. Bt を必要労働時間,総労働時間と必要労働時間との差m T-Bt を剰余労働時間とよぶ. 資本は,市場のルールに基づき,労働者に必要な生活物資を買い戻せるだ けの賃金Tw を与えながら,純生産物全体の価格から労働者の生活物資全体 の価格Bp を差し引いた残りを得ることができる.これは,剰余労働時間m が,価格関係を通じて現れたものであり,剰余価値という.資本全体の増殖根 拠は,この剰余価値によって与えられる.」(159-60頁)


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13