「貨幣の資本への転化」と「資本の本源的蓄積」の関係

2014-10-16

  • 『資本論』の場合、「資本の本源的蓄積の関係」に言及することなく、第4章から第5章にシームレスに展開されている。労働力商品はすでに眼前にある、資本家はひたすら事実にしがみつくだけだ、というかたちで、労働力商品の形成には意識的に論及せず、商品流通のルールにもとづいて、剰余価値は形成されることを強調する。
  • 宇野弘蔵の場合、第4章から第5章を切断、流通論と生産論を区別する。流通論のなかから、労働力商品が論理的に導きだされるわけではないことを強調する。流通論から生産論の展開には、歴史を指針にして考えるほかない問題がある、として、流通論と生産のすき間に、歴史的な「資本の本源的蓄積」を示唆する。「資本の本源的蓄積」はもちろん、原論のなかには位置づけられるべきものではない、と第24章に後回しにした『資本論』を評価するが、『資本論』と違って原理論に対する位置関係、「貨幣の資本への転化」のつながりは明確にされる。
  • 労働力商品化の問題は、すべて「流通論」と「生産論」の間に追いだし、原理論の外部の問題としてよいかどうかは、考えなおすべきである。包摂論にみられるような、滲透と反発の力がかかる開口部の構造分析は理論的に考えておく必要がある。

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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13