宇野弘蔵の所有論をめぐって

  • 22章の「領有法則の展開」を所有のイデオロギー批判としてではなく、歴史的過程論として捉えている節がある。
  • 「商品流通的私的所有」という観点:市場の売買が私的所有の根拠。商品流通が生産の外部に独立して広く損座してきたことを重視する立場。しかし、この外面的な市場の先行論(形態規定 -> 生産)には問題が伏在している。浸透説(包摂論、解体論)と、外面性論(資本主義は商品流通からはでてこない。原蓄樹脂論)との併存。

「スミスの命題」について

  • CをC'+Vに次々に分解してゆくと、蓄積部分MはすべてVになる。これはスミスのドグマ(V+Mのドグマ)と基本的に同じ。
  • マルクスはこれを表式で乗りこえたとされる。どのように?
  • 煎じ詰めると、小麦1kg + 労働 1時間 ---> 小麦2kg 小麦1kg を生産するのに必要な労働時間は1時間。では、1時間労働すれば、小麦1kg が生産できるか?No. 労働 1時間 + 労働 1時間 ---> 小麦2kg というようにCの小麦を生きた労働に分解してしまうのが、要するにドグマなのです。
  • 小麦は独自に増えるという重農学派。
  • しかし、マルクス経済学では、労働価値説の論証のときにはこの問題が後景に退く。買い戻しによる労働価値説の論証。
  • 再生産というが概念を、単純に生産を繰り返すことが社会の存続の条件だ、という程度にとると、Cの補填問題が見えなくなる。再生産の本質は、Cの自己補填にある(これは言い過ぎかもしれないが)。

高須賀義博『再生産表式分析』第1章 filetakasuga.pdf

obata 2014-05-08 (木) 16:40:22


添付ファイル: filetakasuga.pdf 234件 [詳細]

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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13