by obata 2013-4-19
「しかし、最後の問題が残っている。こうした現実性は、決定のレベルを細分化し分権化する方向に進まざるを得ない。 熟成した資本主義の柔軟性、分解作用、浸透力に対するオールタナティブは、雇用の総量確保や一律の規制強化で はすまない。商品経済的イデオロギーに対抗するには、コミュニティ意識を共有できる主体間のコミュニケーション と説得が不可避である。特に、大国化する新興諸国に対して、権力の分散と地域社会の拡充を前提とするオールタナ ティブが実現できるか、とりわけ、軍事問題を含むゲバルトの管理がむずかしい問題となる。この問題で蹟けば、社 会民主主義の癌である排外主義に大きく傾き、国民国家の障壁を高め、かつての福祉国家に回帰しようとするアナク ロニズムに陥る恐れがある。しかし、グローパリズムの底流が、冷戦構造のもとで軍事の負担を回避したNICs,NIEs が「小国のメリット」に依存していたように、グローパリズムが本流化した今日、逆に旧先進資本主義国がこのメリットを追求する余地はある。そこに垣間見えてくるのは、漸進的ではあるが、商品経済的な社会編成を部分化してゆく「先進社会主義国」のすがたなのである。」
という『方法論批判』第2章の「むすび」は、どの程度、説得力をもつか?