『論争』問題の起源と拡張 ---ミーゼス・ランゲ・ドッブの所説を通じて ---

計算の問題

コスト計算の不可能性に関してならば、物量体系で解決する。この点は比較的早く気づいたはず。その実質をになったのは、再生産表式論的研究であろう。ソビエトサイドの計画をになった、この再生産表式論研究の流れが、計算論争にどう関わったのか。最終消費に関しては、この物量体系で解決できない嗜好の変化などがのこる。

価値論の流れ

マルクス経済学の価値論研究は基本的に搾取論、分配問題にある。この点は市場が資源配分をどうおこなうのか、とは距離のある議論とされてきた観あり。

市場社会主義的な性格

社会主義のもとでの市場を巡って、20世紀にはいると資本主義サイドの市場に変調が生じた。

  1. 独占的な市場のもとで、完全競争は非現実的
  2. 巨大株式会社の内部組織の肥大(市場によらない生産編成)
  3. 大不況、大恐慌などの景気循環の変調

こうした現象を背景に、市場の本来的な調整機能、その不備(過小投資など)が資本主義サイドで問題となる。それに対して、社会主義のほうが市場の本来のメリットを引き出せるのだ、という逆説的な主張。ランゲなど。この意味で、本来の市場のメリットが、資本主義のもとではゆがめられていると主張し、そのラディカルな改革を求めていった、19世紀の市場社会主義者の延長線上に、社会主義サイドの反論は展開されたという観がある。


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Last-modified: 2021-02-20 (土) 17:32:13