東京理科大学 経済学

2023年度 小幡道昭

資本主義 = 市場 +（Ｘ）

資本が支配する市場は、資本主義の必要条件。

さて、資本主義が資本主義であるための必要十分条件はなにか。

（Ｘ）を漢字2字でこたえ、なぜ、それが必要十分条件になるのか、理由を述べよ。

解答：

生産

なぜなら...

1. 経済＝モノの生産＋配分＋消費
2. 市場＝配分の一つの方式
3. ゆえに、市場の中心をなす資本が、生産を支配することが、資本主義経済の必要十分条件となる。

解説

「なぜなら...」には、ちょっとコジつけ感があります。もっとスマートな答えを自分で工夫してみてください。

必要なのは、「... であるなら ... である（では''ない''）」型の推論の能力です。自分で分析して組み立てる力です。

どこかにエラい先生が「....である。」と書いていました式のベタな答え方や、「....によれば...」式のコピペ型の回答はもう卒業しよう。自分のアタマでチャンと組み立てること、これは夏学期に学んだ原論魂です。

市場と生産の結びつきかたには

1. 奴隷労働をつかった商品生産のシステムや
2. 自分の生産手段をもっている独立自営の生産者が自分で生産して生産物を売る小生産者の生産システム

もあるが、資本が生産を組織する資本主義における連結のカナメになるのは（Ｘ）である。

（Ｘ）はなにか、適当な用語を考え、その用語はどういうことを意味するのか、簡単に説明せよ。

解答：

賃金労働

賃金を支払うことで労働力が買えること。

解説：

生産手段が商品として買えるだけでは資本は生産を支配できない。労働力も買えるようになると、安く買うために、生産手段と労働力を買って商品生産をおこなうことができるようになります。

労働や生産に関して、今いちばん、興味をもっているニュースはなんですか。

なるべく具体的なトピックに絞って、どんな側面に関心があるのか、おしえてください。

モチロン、この問題は採点の対象外

「理論化する」って、どうすること？

それって、どんなメリットがあるの？

解答：

少ない前提 $\cal{Ps}$ で、いろいろな複雑な現象 $\cal{Qs}$（の一面）を説明すること。一見違ってみえる現象の関係が明らかになり、バラバラな現象が統一的に理解できるのがメリット。

解説：

この説明は、「PだからQなのだ」とか「QなのはPのせいだ」とかいったかたちになります。これ、厳密には違うかもしれませんが、この講義で「演繹」とか「推論」とかいっている論理です。

たとえば「RなのもPだからだ」ということになれば、QもRもPが原因なのだ、というようにともかく結びつくわけです。

こんな具合に、いろいろな現象がタテヨコ斜めにつながってくることで、「全体」も見えてきます。

自転車の部品を全部そろえて、これが「自転車だ」といっても自転車にはならない。部品を一つ一つつなぎ合わせてはじめて自転車という全体になるようなものです。

「自転車と、理論化と、ぜんぜん関係ないだろう」と思っているあなた。ある意味、その通り。

ただ、「いろいろなモノをただ集めても全体にはならない、関連づけてはじめて全体になる」という意味では共通するものがあるのです。

こういうのを、なんというのでしたっけ？

.... そう、抽象化です。（同じレイアでは違ってみえるけれど、レイアをいちだん引き上げると等しい、って、夏学期に、どこかでやりませんでしたか？）