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コ ン ピュ ー タ と 労 働(5)
今回のポイント
- 経済学における「労働」の考え方を基礎に、コンピュータの発達が「労働」のすがたをどう変えつつあるのか、これまでのまとめをおこなう。
- そのまえに、前回の講義の続き。
- 計算の道具(ソロバン、電卓、計算機)から、論理操作の道具としてコンピュータへ
- 論理操作の対象はデジタル化されたデータ全般に広がる。
- 文字情報は、デジタル化の第一弾。
コンピュータによる文字情報処理(続き)
文字情報のデジタル化
問題 10-1
コンピュータのキーボードから「A」と入力すると、メモリ上に「A」の文字に対応する画像が記録され、それがディスプレイに映される。
この説明は正しいか、誤りがあれば、訂正せよ。
10-1 の回答を +
17/17 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- メモリ上に記録されるのは二進数の1000001(ascii codeの場合)
- 「A」の表示は、ソフトウェアによるディスプレイ装置の操作による
▶解説
▼解説
- 文字情報は、一字ごとバラバラにされ(!)、それぞれに対する文字コード=数値として処理されます。
- 活字の処理と似ています。
- 文字列は、この段階で「意味」を失います。
- デジタル化というのは、さまざまな情報を離散的な数値(基本は整数値)に対応させること。
- ソートや検索などによる文字情報処理が可能になる
- たとえばアイウエオ順に並べる
- 整列されて記憶されたデータは拾い出しやすい(索引のように)
問題 10-2
トランプのカードを並べるとき思い浮かべてください。文字も数字もおなじことです。
カードが6枚配られたきた。り、か、だ、い、が、く、 だった。アイウエオ順に並べようと思う。どのようにして並べかえますか?
10-2 の回答を +
8/8 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- トランプだったら、カードを扇形に開いて、順番に引きだして、
- 左側に小さいものがくるように、適当な位置に挟んで移動するとか、
- もっとうまいやり方があるかもしれませんが...depend unpo the case
▶解説
▼解説
- 20世紀型の労働には、この種の操作がつきものでした。
- 力仕事かといえば違いますが、アタマの力仕事のような感じの作業です。
- コンピュータと接点をもつのは、この種の作業です。
- 郵便配達も、半分は配送先順に、並べてから出発するのでしょう。
- 事務労働はこの種の作業の複雑なカタマリでした。
- 大学事務もそうです。みなさんの答案の採点処理も大半はこれ...
問題 10-3
り、か、だ、い、が、く、 というデータをアイウエオ順に並べようとするとき、うえの問題で考えた人間のやり方がなかなか通用しません。どこがむずかしいのでしょうか?
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18/18 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 「いちどに」6枚を見渡して、その位置を「判断」すること
- コンピュータは2枚の比較はできるが、6枚のなかからいちばん小さいものは?という操作はできない。
▶解説
▼解説
- 人間も、「いちどに」見渡しているようにみえるが、実は2枚しかみていない、この繰り返して、いちばん小さいのを見つけだしているのだ、ということもできます。
- でも、こんなことを意識的にやっている人はいないでしょう。
- コンピュータをつかうというのは、こうしたことを意識的に分析することなのです。
問題 10-4
り、か、だ、い、が、く、 を、二つの比較だけで並び替える手順を考えよ。
ちなみに文字コードは
- り:12426
- か:12363
- だ:12384
- た:12383
- い:12356
- が:12364
- く:12367
です。
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12/12 ...1点以上 100%
▶解説
▼解説
- 人間の「やり方」とコンピュータの「させ方」の違いを実感してください。
- このギャップを意識することが、コンピュータと労働の関係の根本を探るカギになります。
文書処理
問題 10-5
ワープロは、ワードプロセッサのこと。ではプロセスといえば、一般には加工処理の意味でしょう。では、ワープロは何をどう加工しているのでしょうか?
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17/17 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 文字列。
- しかし、ただ文字列を並べ替えるといっただけではなく、
- 文字の大きさとか、段落設定とか、いろいろな表示形式=書式=フォーマット。
▶解答
▼解答
- 「内容」から独立に「書式」を扱える点がポイントです。
- 文書から徹底的に「意味」を取りさり「書式」だけを扱うことかたちです。
問題 10-6
いま、あなたがみているWEBのページのこの一文の、書式要素を拾いだしてみよ。
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13/13 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
- コンピュータによる文字情報の処理は、文字情報をバラバラの文字に分解し、意味を取りさり、デジタルデータとして、処理加工することにあります。
- これはインターネット上で、文字情報がやりとりされる場合も同じです。
通信技術と情報処理技術の結合
- デジタル化することで、コンピュータ間で文書情報の送受信が可能になる。
- 送信のための文字コードの圧縮変換
問題 10-7
手紙にはハガキにない封筒がある。封筒の役目はなにか。コンピュータを媒介にした通信では、この役目は何がどのように果たしているのだろうか?
10-7 の回答を +
10/10 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
- 暗号はデジタルデータに特有な暗号技術のメリットがあります。
- 見えるけれども読めない。これは意味と形式の分離によるものです。
- 暗号化は見えなくする技術(封筒のような)ではありません。
- P->Q but not Q -> P という不可逆性を、等号ベースの数の世界 3 × 4 = 2 × 6 にインプリメントする試みです。
20世紀型労働
- 20世紀後半に、可変的な「判断」をおこなう道具(コンピュータ)が登場
- 文字情報を処理することで、コンピュータは情報通信技術として発展
- ただ、それはいくつか画期はあったが、基本的に漸進的な発展だった。
- 人間の「判断」能力をベースとする20世紀型の労働
- 手先の器用さを活かした組立型
- 機械の操縦・操作・運転型
に、一挙に取って代わることはなかった。
新たな転換点
- 2010年代にはっいて、「AI化」というかたちで注目されるようになった画期に突入。
- 今までも、何度か、画期をへてきた。画期はいつも、これこそ本物の、と宣伝されるが...
宿 題 問題8および9 〆切は第11講開始時点
問題 10-8
「部品組立」「操作操縦」「運転」など、20世紀型の労働の構造を転換させた要因はなにか、思考力とか、高速化、とかなるべく一般的な用語でキーワードをつくり、その意味を解説せよ。
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13/13 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 知覚=センサーの発達
- 手先の器用さ=アクチュエーターの発達
- データ量の激増=2から派生+インターネットによる共用
- パターン認識のソフトウェア技術=3から派生。
- 「判断」のアタマははやくから具わっていたが、カラダがついてゆけなかった。
▶解説
▼解説
- 基本をなすのは「知覚」と「器用な動作」。
- いずれも「身体」に埋め込まれている基礎機能。
- コンピュータに対するデータの入力は人間の「知覚」にたより、
- コンピュータからの出力は、人間が読みとり解釈して、動作させてきた。
- 入出力における革新が、データの激増をうみ、人間の知覚に依存してきたパターン認識をコンピュータにさせることができるようになった。
- パターン認識を中心に、状況を判断し、対象をコントロールしてきた、操縦型、運転型労働が、広範囲にコンピュータに転換されようとしている。
▶補足
▼補足
- ただ、労働不要化論はこの一面を虫眼鏡で拡大したような議論。
- コンピュータのパターン認識は、人間の認識とは本質的に異質なアプローチによるもの。
問題 10-9
人間の知覚の基本は、パターン認識ではない。たくさん三角形のかたちをみせないと、「三角形なるもの」がわからないということはない。
三角形と四角形は、一対みただけで区別できるはず。どうしてだろうか?
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10/10 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 生まれながらに空間のイメージをもっているから。(空間概念の先天性、悟性の超越性、ただしこんなむずかしい言葉は棄却)
- 「直観」がはたらくから。(ただし直観の説明はむずかしい)
▶解説
▼解説
▶まとめ
▼まとめ
- 「AI化」の本質は、「人工知能」にはない。これは派生態。
- センサとアクチュエーターの発達:工学的発展がベース。
- 文字情報中心の世界から飛躍
- 情報の種類がふえ、量が増大
- プラス インターネットによってデータの共有が進む(結果的に増大と同じ効果)
- ビッグ・データを全体に、パターン認識に関するプログラミング的発展:ここが人工知能とよばれている内容
- 20世紀に支配的だった「ふつうの労働」(操作・組立型の労働)が、コンピュータをつかった装置に置き換えられる(可能性がたかまりつつ)。