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問題 15-100
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0/2 ...1点以上 0%
購買に必要な労働時間
ネライ
- 商品1単位を購買するのに必要な労働時間について考えてみる。
- ある商品を買うのに、何時間はたらく必要があるか。
- 生産するに必要な労働時間と比較して考えてみよう。
簡単な例
- 前回と同じ、小麦を生産手段として、小麦を生産する経済を想定
$$
小麦10kg + 2時間の労働 \longrightarrow 小麦30kg\\
2時間の労働$で$15kgの小麦が購買できる。
$$
- 小麦1kgを生産するの必要な労働時間は$1/10$時間だった。
問題 15-1
$$ 小麦10kg + 2時間の労働 \longrightarrow 小麦30kg\\ 2時間の労働で15kgの小麦が購買できる。 $$
小麦1kgの価格を$p円$, 時給を$w円/時$とおく。
$p/w$の値を求めよ。
15-1 の回答を +
1/3 ...1点以上 33%
解答と解説 15-1解答
$$p/w=2/15$$
解説
収入=支出より
$$2w=15p$$ $$p/w=2/15=1.33\cdots$$
問題 15-2
$$ 小麦10kg + 2時間の労働 \longrightarrow 小麦30kg\\ 2時間の労働$で$15kgの小麦が購買できる。 $$
小麦1kgの価格を$p円$, 時給を$w$とおく。
$p/w$の単位を求めよ。
15-2 の回答を +
2/3 ...1点以上 67%
解答と解説 15-2解答
解説
- 賃金率wは時給だから単位はたとえば$円/時間$
- $w/p$の単位は$(円)\div (円/時間)=時間$となる。
問題 15-3
$p/w$の時間は、何を表しているのか、この時間の意味を説明せよ。
15-3 の回答を +
2/4 ...1点以上 50%
解答と解説 15-3解答
解説
- 具体的に考えてみればわかる。
- ジャケットが16000円で、バイトの時給が1000円だったら....
- 牛丼が1杯500円で、バイトの時給が1000円だったら...
- いろいろな商品の価格を時給で割ってみると、買うのに何時間はたらかなくではならないか、わかる。本当の買う価値があるのか、判断する役に立つかも。
別解
解説
- こちらを考える人は多分いないのではないか、と思います。
- 人を雇った経験がある人、いますか?
- 資本家の立場からみると、自分の商品の価格というのは、その商品を売ったら何時の労働が雇えるか、を意味する。
- 商品を生産するのに直接間接に必要な労働時間$t$を投下労働量というのに対して、その商品で雇える労働時間$p/w$を支配労働量ということがある。
- 「支配」というのは commanded の訳で、他人からアアしろコウしろと、あれこれ命令される、といった意味である。
問題 15-4
$$ 小麦10kg + 2時間の労働 \longrightarrow 小麦30kg\\ $2時間の労働$で$15kg$の小麦が購買できる。 $$
小麦1kgの価格を $p円$, 時給を $w$ とおく。
投下労働量 $t$ と支配労働量 $p/w$ の大小関係を示せ。
15-4 の回答を +
3/5 ...1点以上 60%
問題 15-5
$$ 小麦10kg + 2時間の労働 \longrightarrow 小麦30kg\\ 2時間の労働$で$15kgの小麦が購買できる。 $$
小麦1kgの価格を $p円$, 時給を $w$ とおく。
小麦1kgを生産するのに必要な労働時間を $t$ とする。
$p/w-t = 2/15-1/10=1/30時間 つまり2分$は何を意味するか。
15-5 の回答を +
1/5 ...1点以上 20%
解答と解説 15-5解答
賃金労働者は8分の労働時間のうち2分は雇い主のためにはたらかなくてはならないという関係。
解説
- 1kgの小麦を買うには8分はたらかなくてはならない。
- こうして買った1kgの小麦は6分で生産できる。
- $8分-6分=2分は、雇い主の取り分。$
- $\displaystyle\frac{雇い主の取り分}{労働者の取り分}=\frac{2}{6}=1/3$
- この$1/3$は第14講ででてきた。なにか?
- 価格と賃金の関係を等して、労働者は 搾取 されている。
- つまり $支配労働量 > 投下労働量 \iff 搾取の存在$
一般的なケース
- n種類の商品が存在し、その価格ベクトルを$\mathbf{p}=(p_1,p_2,\cdots,p_n)$とする。
- また投下労働量を表すベクトルを$\mathbf{t}=(t_1,t_2,\cdots,t_n)$とする。
- 労働者の生活物資を表すベクトルを $\mathbf{B}=(b_1,b_2,\cdots,b_n)$とする。
- 賃金率を$w$とする。
- 労働者の総労働時間を$T$とする。
問題 15-6
問題 15-7
解答と解説 15-7解答
$$\mathbf{Bp}$$
解説
- 物量ベクトル$\mathbf{B}$と価格ベクトル$\mathbf{p}$の内積です。
問題 15-8
解答と解説 15-8
解答
$$Tw$$
問題 15-9
労働者の収入と支出が一致するなら、$$\mathbf{Bp}=Tw$$が成りたつ。
すべての商品について、$支配労働量>投下労働量$つまり$$\mathbf{p}/w>\mathbf{t}$$であるとする。
このとき、$Bt$と$T$の大小関係はどうなるか。理由を述べよ。
解答と解説 15-9解答
- $\mathbf{p}/w>\mathbf{t}$の両辺に$\mathbf{B}>0$ を乗じると$$\mathbf{Bp}/w>\mathbf{Bt}$$となる。
- $\mathbf{Bp}=Tw$で左辺をおきかえると$$T>\mathbf{Bt}$$となる。
問題 15-10
$T>\mathbf{Bt}$ という式は何を意味するか、解釈せよ。
15-10 の回答を +
0/1 ...1点以上 0%
解答と解説 15-10解答
- 労働者がおこなう労働時間$T$のほうが、労働者が生活物資のかたちで取得する労働時間\mathbf{Bt}より長い。$
- 労働者は$T-\mathbf{Bt}$時間の剰余労働時間を搾取されている。
解説
- 資本主義のもとでは、労働者は$T$時間はたらいて必要な生活物資を$B$を購買している。
- これは等価交換である。不等価交換から利潤が生まれるのではない。
- しかし、賃金率と価格ベクトルは、支配労働量が投下労働量を上まわるかたちになっている。
利潤の存在
- $A\mathbf{t}+\mathbf{l}=\mathbf{t}$: ①投下労働量の定義式
- $\mathbf{p}/w < \mathbf{t}$ ($支配労働量>投下労働量$) ならば
- $A\mathbf{p}/w+\mathbf{l} < \mathbf{p}/w$
- $A\mathbf{p}+\mathbf{l}w < \mathbf{p}$:②利潤の存在条件式
- すべての商品について「$コスト < 売値$」となり、利潤が生じる。
- $T>\mathbf{Bt} \iff \mathbf{p}/w < \mathbf{t} \iff A\mathbf{p}+\mathbf{l}w < \mathbf{p}$
- $剰余労働の存在(搾取) \iff 利潤の存在$:置塩信雄が「マルクスの基本定理」とよんだ命題
経済学批判:搾取論の使い方
- 純生産物の分配(=剰余労働の存在)は、(いままでの)どの社会でも存在してきた。労働者が労働の成果をすべて自分で「消費」することなかった。労働者は直接的に収奪 Expropriation されてきた。
- 資本主義のもとでは、純生産物の分配が「価格(と賃金率)を通じて」おこなわれている。労働者は間接的なかたちで 搾取 Exploitation されている。
- 「搾取」という言葉は、道義的な意味合いをもつ。しかし純生産物の分割は、どのような社会でも存在してきた。「搾取」の存在をもって、資本主義の経済社会を非難しても、問題の本質は捉えられない。
- K.MarxのDas Kapital『資本論』は「資本主義が搾取のうえに成りたっていることを証明しその不正を暴いた」といった素朴な資本主義批判をしているわけではない。
- 搾取は商品売買の観点からみれば「不正」ではなくその理にかなったもの。
- 問題は、搾取に基づく利潤が蓄積され、生産力が上昇していった、その行き先にでてくる、というのが『資本論』(第一部)の主張。巨大な小数資本による生産拡大のもとでの失業の増大。資本主義はその成功のうちに自らの限界を示す。
- とはいえ、それまで傍観していればよい、というわけではないだろう。
- 実質賃金率$w/p$(分母の物価$p$正確には説明していませんが)は、「市場における需要供給できまるのだ」といった経済学者のお伽噺に根拠はありません。
- 失業がつねに存在する労働市場(均衡しているかといえばしていません。「均衡・不均衡」という用語では捉えられない「状態」です。前期の講義で「在庫と貨幣の実在する市場」としてお話ししたとおりです。)における賃金率は、労働者と資本家の社会的な力関係で変化します。ほっておけば、だいたい資本家側に有利になるので、労働者側のさまざまな抵抗が試みられ、どこかに落ち着くのです。生身の労働者としては、資本主義が老成し成仏するのを傍観しているわけにはゆきません。賃金は需要供給の法則できまる(べきものなのだから、ムダな抵抗はするな)といった、経済学者の説得を論破する必要もあるわけです。